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卯月廿五日-1

何とか間に合いました。

 すべてが終わり、まだ日が昇らないうちに在日米軍の基地に再度向かった。

 目立たないようにYナンバーの自動車でこっそりと中に入る。


 ほぼ間違いなく政府機能が一時的にマヒするとにらんでいる。

 なので、ある種の治外法権であるアメリカ軍基地に入れば妙な拘束がされることもないはずだ。


「特に、昨日は混乱しっぱなしなので逃げ遅れたって言い訳が使えますしね」


 中に降りると、今まさに受けた被害を修復しているところだった。


 同乗してきたアメリカ軍の男性が――


「よっし、ちょっと話付けてくるから」


 といって降りてどこかに出かけて行ってしまった。


 いぶかしんだ眼を向けられるが、Yナンバー(米軍軍人)の車ということもあって非常に対応を決めあぐねているようだ。


「あー、嬢ちゃんは、その夜に来たアイツの関係者か?」


 見上げるような身長でそれ以上に筋肉が着いた黒色人種の軍曹が話しかけてくる。


「ええっと――」


 少し迷うが一枚の写真、変装をした後の写真を見せると――


「おお!! こいつだこいつ」


 軍曹は嬉しそうに表情を緩めるが、すぐに心配そうな表情に変える。


「その、こいつがどうなってるかなんだが……」


「確かに連絡は来ていないですね、それの確認も含めてきたのですが……」


 そうか。

 と言って明確に落ち込んでいる。


「ただそう簡単にやられる存在ではないと思います」


「そうだよな、ただ明らかにヤベーのと戦っていたあと誰も見てねーんだ」


 そこで肩を落として。


「まぁ連絡がついたら、助けられたやつらの一人が礼を言っていたって言ってくれ」


「わかりました」


 と素直にうなずく。

 あくまで自衛官として来ているわけではないのでそのつもりで話す。


 軍曹も別の仕事があるようでそのまま離れていった。


「まぁ、もうしばらく待っていますか」


 と腹をくくっていると、一つの封筒が車の助手席に置かれている。


「ん?」


 不思議に思って手に取るとあて先は――


「私ですね」


 振ってみるが特に不審な点はないようだ。


「送り主は――ブラックスミスですね」


 何か事情があるのかと思い封筒の中身を取り出すと一枚の手紙と情報メディアが入っている。


 嫌な予感がするが手紙を読み始める。


「ええと――」


 内容はまずこの手紙が届くころには自身は死んでいること、そして死体の場所が記されている。


 続く内容は、この基地にまず間違いなくテレポートをしていたからくりの一端が隠されていること。

 もしかしたらここに出入り口の一つが設定されている可能性がある。


 ノスタルジストに居たときテレポートしていた時の記憶はあやふやではっきりとしたことは言えない。

 でも出入り口をそうやすやすと作ることはできていない。

 多くて十人いくか行かないかぐらいの人しか運べなかったとおもう。


 などの情報が書かれている。


「最後になるけど――ですか」


 ボクは本質的にはノスタルジストの人間で簡単に戻ってしまう。

 それに為すべきだと思えたことができたから死んでしまうことに後悔はない。


 最後にこの基地をスキャンして不審な場所をリストアップしたので役立ててほしい。


 ということが書かれていた。


「満足を感じて死ねたのなら、良い最後でしょうね」


 とだけつぶやいて情報メディアをやさしくだがしっかりと握って覚悟を新たにした。

明日も頑張ります。

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