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Apr/25/ 2019-4

間に合いました。

 金属と金属をぶつけ合う鋭い音が響く。


 それ合わせて大きく飛んで距離を取る。


 凌がれたウォーモンガーは獣のような笑みを浮かべて叫ぶ。


「はっ!! あたしの腕をとっさにつけるとはね!!」


 そう、ボクはなくなった腕の代わりに()()()()()()()()()()()()()


 長さが若干違うが、似たようなシリーズの個体の上に、()()()()()()調()()()()()()()()()()

 接続できない道理はない。


「うまくいって良かったよ」


 たださすがにかみ合わせが悪くソフトはエラーを吐き出し、ハードの方は想定の出力が発揮できていない。


 左腕の制御系を一旦切断し、リセットをかける。

 ハードの方は使用できないプラズマジェットの放射装置を停止させて出力を確保する。


 持っている能力をフル稼働させているため髪が長く伸びる。

 同時に色を抜いた場所は灰のように散っていった。


「よし!!」


 ここまでが地面に着地するまでに終わらせた。

 放熱のために左腕と伸びた髪を中心に陽炎が浮かんでいる。


「プラズマジェットによる加速はできないけど――」


 手の平にプラズマを発生させることはできる。


「これなら!!」


 わずかな溜めと共にプラズマによる砲撃を行う。


 光の尾を引いてまっすぐ突き進み――


「あまいねぇ!!」


 大剣の一振りで切り払われた。

 その表面には確かに焦げたような跡が残っている。


 続いて体の各部からプラズマジェットを吹き、恐ろしいほど早い踏み込みでこちらに斬りかかってくる。


「そんなとろいの当たるわけないだろ!!」


「でも――」


 初めてガードしたのだ。


 おそらくこの攻撃なら有効打を与えられる。

 剣の側面に手を当てて、最大出力でプラズマをふかすことで軌道をそらしてよける。


 と、穂高二佐から連絡が飛んでくる。

 返答する暇がないと判断したのか、現時点での考えをまとめたテキストが送られてくる。


「えーと」


 内容は、この時点で日米の軍事力が強く結びつくのを阻止したいからだと思うということ。

 つまり明日以降までの時間稼ぎ狙いなのでウォーモンガーを排除出来たらすぐ基地内で本格的な探索を行ってほしい。

 この二点が書かれていた。


 内容がボクが勝つことを前提にしていることに濃い苦笑が浮かぶ。


「よし、と」


 もう一つ試すことを思い浮かんだので深呼吸をする。


「ふん、なにか思いついたようだね」


 だが。

 とウォーモンガーは続けて、()()()()()()()


「こっちの方が嫌だろう?」


 確かに、結局ボクは剣だろうがパンチだろうが直撃すれば大けが確定する。

 剣を使うとリーチで有利だけどさっきまでのように攻撃の合間にこっちからの攻撃が割り込むことができる。

 でも剣を捨てれば攻撃の回転数を上げれるので攻撃される隙を少なくすることができる。


 こと戦闘への勘は鋭い。


「さーね」


 言葉とは裏腹に焦りに近いものを感じる。

 が、気にせず左手を前に突き出すようにして構える。


「ふん!!」


 ウォーモンガーは掛け声と共に、軽く飛びあがり前転するようにプラズマをまとわせたかかと落としを放ってくる。

 喰らえば左手で受けても接続部が多々では済まない。


 だから、左前に軽く飛ぶ。


「そうくると思ってたさ!!」


 プラズマジェットを吹いて軌道がボクの首を刈り取る軌道に強引に変わる。


「二度は喰らわないって!!」


 わざと転び、急激に体の高さを変更する。

 目論見通り、空ぶったため背中をこっちに向けている。


 目的はウォーモンガーが捨てた大剣だ。

 だから、地を這うように空を飛ぶ。


「って!!」


 見張っているドローンから警告が来た。


 それはさっきまでのかかと落としを逆再生するような動きでウォーモンガーがボクを蹴り上げに来た。


 一か八かで手を伸ばし――


()()!!」


 ウォーモンガーの強化外骨格を整備していたのはボクだ。

 もしかしたらウォーモンガーより詳しい可能性がある。

 だから装甲を展開させる整備用コードを送る。


 本来ならじっくり行うことだ――


「ちっ!!」


 ウォーモンガーが舌打ちをする。


 対してボクは――


「いったぁ」


 右手首から先が折られた。

 が、プラズマによる消失や炭化は起きていない。


 不適切なコードが送られてので緊急停止が行われたみたいだ。

 ウォーモンガーからしてみれば急制動をかけられたようなものなので、つんのめるようにしてバランスを崩したので助かった。


「さて――」


 投げ捨てられた大剣に手を伸ばし、掴む。


 とウォーモンガーが馬鹿にするような口調で話しかけてくる。


「はん!! あんたが整備した武器だけど、使()()()()()()()、あたし以外が使ってもただのなまくらだよ」


 そう、セキュリティとしてウォーモンガー以外が握っても、刃はカバーされプラズマ砲も使用できない。

 たとえウォーモンガーのスペアの腕で握ってもだ。


()()()()()


 長く伸びた髪が握った剣に絡まるようにして伸びてゆく。


 いままで使ったこともない機能だし、完全に予想外の事だが何が起きるのかは理解できた。


「ブラックスミス!! なんだその機能は!?」


「さぁ? なんかできた」


 髪が絡んだ場所に光が灯り――()()、そして()()()を行う。


 拠点では悠長に窯に居れたり、作成用のツールを使っていた。

 こんな機能はボクには元々なかった。

 せいぜい大剣に展開コードを送って内部のプラズマ砲のモジュールを物理的につないで無理やり使うつもりだったが――


「ああ、そうか、()()()


 ボクを拘束するプログラムをインストールする時にボクのハードに手を入れておいたみたいだ。


 ノスタルジストに戻ったらどうするつもりだったんだろう?

 と疑問に思うが結果的には正解だった。


「よいしょ」


 髪から転がり出るようにして二回りほど小さくなったウォーモンガーの剣が出てきた。


 そしてもう一振りの剣をボクは握っている。

 刀身はボクの腰のあたりまでで特に飾りはないシンプルな作りだ。

 それを構えてウォーモンガーに向かって構える。


「さぁ!! いくよ!!」


 それにウォーモンガーは体の各部から咆哮するようなプラズマジェットを吹きながら――


「こいやぁ!!」


 空に届くような激突音が響く。

明日も頑張ります。

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