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Apr/24/ 2019-3

間に合いました。

「戻りましたー」


 と話しつつ、目いっぱい濃く淹れたコーヒーを二つ持ってきた。


 穂高二佐ともう一人の男はテーブルをはさんで向かいあって話している。


「はい、そこに置いといて」


「はいはーい、と」


 そんなに長く穂高二佐の下で働いていないが、二佐は超がつくブラック派だ。

 同じくコーヒーが趣味の針山警部は甘党なのでそこは相いれないらしい。


 などと意味の薄い事を考えながらコーヒーを給仕する。

 二佐がためらわず口をつけたの見て男性が飲んで――


「ぶっ!!」


「あらお行儀が悪いですよ」


 と二佐が抗議するが、男性がものすごい剣幕で言い返す。


「いやいやおや、これはいくら何でも濃すぎるし、舌がひりつくほどにがいのよく飲めるな」


「嗜好に口を出されて()()()()()()、と言っても?」


 そう言われて、男性の方も肩をすくめて。


「客の嗜好も察せず迎えるのがそっちの流儀か?」


 そこまで話して互いに同時に表情を崩す。


「では要件をお聞きしましょう」


「ああ」


 二人が急に話始めたので驚く。

 理由はわからないけど話は進んだので静観することにする。


「さて前に手土産の話をしていたな」


「ええ、そうです」


 そこで二本指を立てる。


 つづいてボクをちらりと見るけどすぐに視線を外す。


「さて、実質一つだが話は二つある」


「では意味のなくなった方の話から」


 軽く肩をすくめて――


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「え?」


「あ、そういえば伝えてなかった」


 うっかりしていた。


「え? 空を飛べたり、見た目は人なので監視カメラをごまかしながら移動をしていたのかと思っていたのですが」


「いや、なんといえばいいのか、一言で言うと()()()()()


「え?」


 この答えにはさすがに二佐も絶句している様子だ。


「待ってください、以前ディープスロートを確保したときは車で移動していましたけどあれは?」


「テレポートは自由に使える方法じゃないみたいでさ、方法はリーパーしか知らないし、あの時は淡雪に追われていたからね、不審な移動をしたら見破られていた可能性が高かったからだとおもう」


 二佐は頭が痛そうに額をおさえてつぶやいた。


「色々規格外だとは思っていましたけどここまでとは思いませんね」


「まぁ、こっちでわかったのもついさっきだ、ドラッグでとち狂った人間いただろ?」


 その言葉にたいして時間をかけずに二佐が――


「えぇ、噂程度ですが」


「そいつの持っていた端末の位置情報がいじられていたみたいでな、直したらわかったんだ、ごくわずかな時間で高速移動した記録が残っていた」


 そこで机をコンコンとたたいて。


「そのスピードで移動したなら衝撃波で地面がえぐれるレベルの高速移動だ、だがそんな痕跡はどこにも残っていなかった」


「だとすると移動したわけではなく、現れたと考えたわけですね」


「そうだ」


 としっかりとうなづいた。


「でも、こっちにブラックスミスがいるからそれは目新しい情報じゃないと思ったのですね」


「ああ、そっちで裏付け取られた情報で胸を張るのは流石にな」


 そしていよいよ二つ目の情報を開示するようすだ。


「さて二つ目は在日アメリカ軍で起きている混乱を収束させる方法だ」


「なるほど」


 二佐は背筋を正し向き直る。


「……どうぞ」


「基地内で影響を受けているのは数人だ、その数人が周りの人間たちを感化させている」


 懐から一枚の写真を取り出して見せてくる。


「司令部は情報途絶、接触したら疑心暗鬼に近い感情が感染してどこかから下される命令に従うようになる、だからほぼすべての基地は総合指令部のある基地と接触を避けている」


「自衛隊は動けませんよ」


「知っている、だから単体であの基地に乗り込んで中心人物の確保が可能と思われる人間がいるここに接触に来た」


 なるほど。

 と穂高さんはうなずいて。


「山上君次第ですが、その恩を売りに行きましょうか」


「ああ、そうだな」


 と二人は固く握手をした。

明日も頑張ります。

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