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Apr/24/ 2019-3

なんとか間に合いました。

 淡雪には遠く及ばないとはいえそこらのメインフレーム級のスーパーコンピュータが束になってもかなわない計算能力と、引き継いだドローン群を使用して通信網を回復させる。


「と言ってもさすがに百分の一いくか行かないかの量は流石に格差を感じるね」


 複数の地点から解放するのは難しいから少しずつだ。


 場所はスカイツリーのてっぺん、アンテナ設備に腰かけるようにして行う。

 というのも少しでもドローンをコントロールする出力を上げるためにスカイツリーの出力を拝借している。


 もちろん許可なんて取れないので無断で行っている。

 まぁ、基本的に通信障害を受けて無用の長物になっているからその間かりるだけなので問題ない。


 と思うことにする。


 すると――


「あれ? 山上君?」


「おぅ」


 強化外骨格を着た山上君はそう短く答える。


 基本的なモデルは男性向けにカスタムされた厳ついスタイルだ。


 首をかしげて聞き返すことは――


「なんでここに?」


「……」


 言いにくそうに言葉を詰まらせているけど意を決したように話始める。


「淡雪の居場所ってわかるか?」


「笹子トンネルって言ってわかる?」


「ありがとう、すぐに言ってみ――」


 そこで静止する。


「やめた方が良いね、トンネルの中と外は通信が通らないから、緊急の連絡を受けれない」


 ゆっくりと指をさして話しかける。


「ボクは“ナード”と出会ったら行動の制限をかけているプログラムが解体されてノスタルジストに戻る身、相手できるのは山上君だけだよ」


「ぅ」


 小さく唸ってくる。


 不満なのはわかるけどあきらめてほしいので気づかないふりをする。


「何にせよボクだとようやく日本の三分の一を開放できたくらいかな?」


「早いのか遅いのかわからないな」


 肩を落として話しかける。


「今はあくまで開放しただけだから、淡雪なら情報を整理してつなげるべきどころ同士を繋げていたりするね」


 苦笑して話を続ける。


「いつだったか日本全体の電子機器がダウンしたときあったよね?」


「ああ、確かにあったな」


「あの時、開放するだけでなく()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()っぽいんだよね」


 山上君はこのことの意味がうまく受け止めて入れない様子だ。


「ええと、言い方を変えれば淡雪のあの時あの瞬間、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「は?」


 そこまで言われてようやく気付いた様子だ。


「そこまでの事をやらかしていたのか?」


「もちろん特別に借りれた施設とそのほかの事全部投げ捨ててもいいって条件があったからだけどね」


 山上君は、へぇー。

 と気のない返事をしている。


 雑談をしていると――


「あーもう!! また取られた!!」


 解放できた場所がとられた。


 ナードが動いている様子はないけど、やっかいだ。


「? 能動的に通信障害を起こさせている奴がいるのか?」


「そういうこと、淡雪みたいに一気に全部って流石に無理、開放した場所に居たら見つけられるからそこを山上君に叩いてもらおうかなというレベル」


 とったり、取られ返したりを繰り返しているのでなかなか進まない。


 すると山上君が――


「空って調べたか?」


「え?」


 聞き返すと、もう一度言ってくれた。


「空――衛星の通信を回復させれば遠隔地も探せないか?」


「それは、気づかなかった……」


 目の前のことに集中してしまう悪い面が出てしまった。


 なので言われた通り急いで衛星方面の通信網を見ると――


「いた!! NASAにも登録されてない静止衛星!!」


 衛星との通信ログを漁ると、一定期間で日本にアクセスしている衛星を見つけた。


 それは日本が見える静止衛星の軌道に浮かんでいるが、湧いて出たとしか思えないほど唐突に現れた。


「? どこだ?」


 山上君も空を見上げて探しているようだけど、こと視覚なら僕の方が優れている。


 すぐに大型の銃器を呼び出して構える。


「試射開始――」


 一応、コリオリ力と空気の揺らぎから計算した軌道で試射する。


 装填した砲弾は一種の曳光弾で飛ぶ軌道がはっきりと目に映る。


「次弾装填」


 装填したの一定距離飛んだあと小型の矢をばらまく砲弾だ。


 その矢の素材はドライアイスで効果範囲はごく短距離で十メールもない。

 しかし余計なデブリを発生させずに衛星を落とすのはこれが一番だ。

 外れた弾は空気中に溶け消えて、命中すれば軌道を変化させて大気圏に突入させて燃やし尽くす。


「すぅ……」


 三万五千キロ以上離れた的をじっくりと狙い。


「っ――」


 引き金を絞った。


 その静かな動作と反して轟音が響き空に向かう。


 そのまままっすぐ進み、地球の自転の関係によってゆっくり弧を描き――


「よし!!」


 ほんのすぐ手前に矢をばらまいて命中させる。


 するとすりこぎ運動をするように揺れ始めて――


「あれって?」


 大気圏に落ちる際に真っ赤を通り越して白く発行して燃えて落ちてゆく。


「件の衛星だね、昼間に見える流れ星ってなかなかないよね」


 通信障害を引き起こさせていた存在は地面に真っ逆さまに落ちていった。

明日も頑張ります。

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