4月24日-12
間に合いました。
「GggagGARagaAGa!!」
今度はもうもうと煙を吐き出して視界がふさがれます。
その煙からはガソリンの匂いがかすかにしています。
「ええと――」
ただ私にはほぼ意味がない行動です。
耳に神経を集中させて、立体的に周囲の状況を聞きます。
すると、ガチガチと歯を鳴らして――
「まずい!!」
叫んで、急いでクリーチャーの顎先にキックを入れて閉じさせます。
しかし、一歩遅く――
引火した。
「く……」
思った通り燃えた。
迷うのはこの場の人を無理やりでも避難させるか、クリーチャーを先に倒して被害を抑えるかだ。
その時です――
「サイレン!!」
遠くから消防のサイレンが聞こえてきました。
なら答えは決まっています。
「よいしょ!!」
また煙を吐こうとしたクリーチャーを力任せに地面にたたきつけます。
岩を叩きつけたような音がして動きを止まりました。
「今のうち!!」
炎に巻かれそうな人をひきづりだして、安全な場所に転がしておきます。
「G Aa rrRG」
クリーチャーが呻いているのが確認できます。
よし。
と胸の内でうなずいて――
「さて、と」
片手で持ち上げて――
「GAGAGgGggGGgGGGG!?」
出口に向かって全力で投げます。
うろたえるような叫びをあげていますが、気にせず空を飛んでドロップキックを放ってさらに蹴りだします。
吐いた煙から弾かれるようにして離されるので無効化することができます。
何とか体勢を立て直そうともがいていますが――
「甘いです!!」
私は空が飛べるのでそれを崩すように蹴りを放つ。
そのたびにクリーチャーが砕けていく手ごたえを感じます。
「……でもこれ明らかに、やりすぎかもしれません」
「 Aa raaa」
トンネルの外まで空中でドリブルをするように蹴り続けました。
その結果クリーチャーは体中が崩れかけています。
その様子を見て私自身がやったことですが、若干引いています。
「ですがこれでととどめ!!」
かかと落としを入れて強く地面に叩きつけようとしたとき――
「GAGAGagagagagagagggga!!」
勢いよく煙を吐いて着火させました。
爆発の直撃を受けてさすがに距離を離されます。
「く……」
燃える火のせいでうまくクリーチャーの様子が視認できない。
だから痛覚を切ってその炎の中に降ります。
火の中で体から飛び出た鉄筋がどろりと溶け――
「いえ、劣化して砕けている」
粉末になった鉄は燃焼し始めている。
「RuruUuRRRURrr――」
そして火を吸い込み――
「AAAAAaaaAAaaa!!」
火炎放射器のように吐き出した。
それを一歩横に身をずらすことで避けましたが――
「なるほど」
燃焼し、溶解した鉄が風に巻かれるようにして飛ばされてきます。
一個一個はしぶきのようなものなので視認しにくいが体の表面をじわじわと焼いていきます。
「ただ――」
腰を低くして疾走準備にうつります。
「悠長ですよ」
言い切って全力で突っ込む。
燃焼している物はメインがガスです。
つまり液体の火炎放射器とは別に体に付着した年老が燃え続けることはなく。
溶けた鉄も吹き付けられる程度の量では私に対して有効打にはなりえなません。
「GAraraahara!!」
一瞬きすらしない間に隣接しクリーチャーの口の中に設置されているファンを殴って壊す。
長居するとさすがに無視できないダメージを受けるので素早く下がって、距離を取り構えます。
「Aa Raaagg――」
そんな弱弱しい声をのこしてクリーチャーは砕けていきます。
「もう大丈夫、ですよね」
そして私は奥谷さんに連絡を取ります。
一コールもしないうちにつながりました。
「あ、淡雪!? そっちは!?」
「ええとですね、奥谷さん」
絞り出すように声を出します。
別れを切り出すためです。
「え? 淡雪?」
「さようなら、奥谷さん」
「淡雪!! ど――」
決心が揺らぐ前に通話を切って、私の通信機器をすべてオフラインにする。
どうするべきかの結論はまだ出ていません。
ただ、今までの私自身の立ち位置が根底から揺らいでしまっています。
「私は――」
駆けつけてきたレスキューが次々と人を助けていきます。
その様子をぼんやりと認識しながらつぶやきます。
「どうしたいんでしょうか?」
明日も頑張ります。




