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Apr/24/ 2019-2

間に合いました。

「とうちゃく!!」


 そう言いながら拠点にしていた避難所についた。

 行き違いになったようで、男性陣三人はいないようだ。


 穂高二佐を抱えるようにして飛んできており、淡雪と一緒ではない。

 ここに来るまでの間にローラー作戦で調べ上げる途中である場所に向かった。


 穂高二佐は一度だけ伸びをするとすぐに表情引き締めて。


「さてブラックスミス、淡雪ちゃんが行っていた同時通話は可能かしら?」


「できます」


 相手の連絡先が分かっていればそれくらいはできる。


 ただ――


「淡雪とはオフラインですね、場所が場所なので」


「ですよね」


 と、一つため息をついた。


()()()()()()()()()()()()()


 つぶやいたのは大急ぎで向かってもらった事故現場だ。


 ボクは物を作ったり、爆破したりは得意だけど、事故や災害では何が必要とされるかわからない。

 なので全体的に優秀な淡雪を向かわせたらしい。


「あとは――」


 その先を続ける。


「豪雪と集中豪雨が起きているようです」


 報告すると、穂高二佐は少し渋い顔をする。


「豪雪の起きている地域が日本海側というのが痛いわね」


 地図を頭の中で浮かべる。


 東日本大震災で大きな被害を受けたのは太平洋側で、今度は日本海側。

 山を越えないといけないのだ。


「逆に集中豪雨は偶然ですが大分・熊本を中心にしているので被害から逃れた部隊がすぐ近くの県に集まっていたというのは幸いね」


「災害救助用の準備はされていたんですか?」


 ふふ。

 と軽く笑って――


「もちろんよ、というよりも殺処分した家畜の処分用の建設重機は元々持ち込んでいて、返すための準備は終了済み、宮崎県での活動も想定よりはやく済んだのですぐにでも動けるはずよ」


 となると問題は――


「日本海側の災害ね」


 顔の表情が曇っている。

 よほど頭が痛い問題なのだろう。


「そもそも政府からの命令が出ないと動けないのよね」


 やれやれとばかりに肩をすくめる。


 それでも今からやるべきことを考えているらしい。


「まずは通信の復旧ね、まったく原理不明だけれどここと東京に行った二人と連絡してその間で起きていることなどを洗い出すことが大切ね」


 ため息を一つつき。

 違うわね。


 と言葉を漏らして――


「この手の災害は対処に経験豊富な人材が上にも下にも多いのだから、私があれこれ考えるより通信網が寸断されていることの解決を最優先ね」


「なるほど」


 そこでボクの方を見て話し始める。


「頼むわね、そこらのメインフレームが及ばない性能の頭を持ってるのだから」


「ディープスロートと同じくらいで、ナードよりは下だからあまり期待しないでください、相手がナードだとお手上げなので」


「その場合は淡雪ちゃんの出番ね」


 としみじみ話す。


 その目はある一点に集中する。


 その視線の先は一つの花束だ。

 まだみずみずしさを保っている。


「買ってきたのは山上君でしょうね」


「へぇ~、淡雪に贈るため?」


 花束に近づきながらほほえましい物を見ているような顔をしている。


 と、急に怪訝な表情をする。


「あれは……」


「?」


 視線の先の花束の中のある花を見ている。

 それは濃い赤紫の花だ。


「あの花が何か?」


「ハナズオウという花ね、ごく普通の花言葉もついていますけど、一部が非常に不穏な言葉なの」


「どんな言葉なんですか?」


 一拍呼吸をして、恭しく口を開き。


()()()()()よ」


 ただの花言葉のはずなのに、冷たい風が吹き抜けたように沈黙が流れた。

明日も頑張ります。

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