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卯月廿四日-2

何とか間に合いました。

 会議を行う部屋に戻りながらどこか頭の片隅がひりつく感覚を得る。

 前を案内役が歩いている。


「順調なのに……なぜ?」


 そう前の人間に聞こえないようにつぶやく。


 ちがう、そもそも――


()調()()()()()()


 今までの感覚からするととっくの昔に日本のどこかで災害ないし事件が起きているはずだ。

 それもなく次々話が進んでいく。


 確信こそないが何かが起きている。


 このままだと危険だ。

 そう頭のどこかで思っている。


「なにか?」


 前を歩く人間がこちらを振り返りながら聞いてくる。


 ()()()()()()


 胸の内で頭を抱える。

 気を抜いていたのは確かだが、監視されるような覚えは全くない。


 が、そこである事件を思い出す。

 昭和に起きた事件だ。


「あの、少しお手洗いに行きますね」


 と宣言して女子用のトイレに入る。


 幸い相手は中まで来ない様子だ。


 スマホを起動して、淡雪ちゃんに電話をかけようとして気づく


 ()()()

 ここは向こうのテリトリーだ。

 盗聴は難しいが不可能ではない。

 一か八かで連絡するのは得策ではない。


 どう考えてもこっちの監視役の人間がこっちを拘束する方が早い。

 下手をすれば懐の得物で殺される。


「……」


 考える。

 淡雪ちゃんかブラックスミスと落ち合えれば逃げ切ることはできるだろう。


 逆に言えば相手は何が何でも合わせるつもりはないということだ。


 考えてみれば昼食も別の場所でとっていたことから最初からそのつもりだったのだ。


「これはある意味で賭けですね」


 ただ分断された状態で偶然を祈るより、圧倒的に分のいい賭けだ。


 トイレは丁寧なことに嵌め殺しの窓で逃げることはできそうにない。


 ただある個室のトイレの天井にメンテナンス用のハッチが見える。

 あそこからなら逃げられるだろう。


 がスマートホンを持っていたら探知される可能性が高い。

 連絡手段をとるか、追跡されるかをとるか。


「まぁ、もう決めていますけど」


 と言って電源を入れたままハッチ真下の個室に放置する。

 もちろん中身のデータが入ったマイクロSDカードは引き抜いて。

 入念に白紙化したうえでだ。


 鍵をかけて、水をながして雑音を立ててハッチから急いで天井裏に潜り込む。


「さて、逃げますか」


 ほぼ明かりがない狭い場所を這うようにして移動する。

 よく見ると電源関係の配線があるのですぐ行き止まりではないと思う。


 ここでずっと隠れていても危険だ。

 となるとどこかでこの天井裏から出る必要がある。


 結局大本の電源を管理する場所に向かうしかないので急いで進む。


 タイムリミットは見張り役が不審に思うまでだ。

 もしかしたらスマホの場所がトイレから移動していないのでもう少し時間が稼げるかもしれないが気やすめだろう。


「よい、しょっと」


 電気室は明かりが落とされている。


 一瞬ほっとするが――


()()!!」


「その通りだ!!」


 ()()()()()


 肩に激痛が走り、ハッチから転がり落ちる。


 色々な場所をぶつけたらしく体中が痛い


「あいたたた」


 電気室は管理する人間が常駐していてもおかしくない場所だ。

 そんな場所が明かりが落とされているとしたら待ち伏せを受けているときくらいだ。


 相手はおそらく暗視装置を装備している。

 万事休す。


 と覚悟を決めた。


 次の瞬間、銃声が連続で鳴った。

明日も頑張ります。

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