4月24日-6
間に合いました。
淡雪たちが歩いて行った方に進むと青木さんと針山さんが何かを話し合っていた。
「あ、青木さんと針山さん!!」
「ん? なんだい?」
「なんかあるのか?」
と会話を切り上げてくれた。
そのことにありがたさを感じながら――
「淡雪を探してるんですがどこにいったか知ってますか?」
すると青木さんが説明を始める。
「ああ、二人なら在日米軍駐屯地への量子コンピュータの説明に出かけたよ」
「あれ? どういうことですか?」
二人で作るということだろうかと思っていると、青木さんが苦笑しながら否定した。
「二人が未来の人間ってのはアメリカさんも知ってるからね、で情報分野で圧倒的なリードを握るためにアメリカさんとしてはどうしても作りたいらしいね」
「一応聞きますがそのまま何かにつなげられて利用されることは……」
「ないね、それに二人が持っている情報も貴重だし、今回ばかりはちゃんと研究が進むだろうからさすがに手荒なことはされていないと思うよ」
そこまで聞いて安心する。
すると青木さんは俺に一つの話ふってきた。
「ところで昨日から二人の様子がおかしいけど何かあったの?」
針山さんも気になっていたらしくじっとこっちを見つめている。
「何かあったというか、話し合う時間がちゃんと取れてないんですよね」
「ふぅん、でさ、話し合えれば解決できそうなの?」
口調こそ軽いが、真剣そのものの表情をしている。
「正直なところ安定してノスタルジストと戦えて、裏切ることがない人員って山上君と淡雪ちゃんだけだからね、仲たがいまで行くとけっこうまずいでしょ」
「それはわかっていますし、大丈夫です」
はっきりと言い切る。
それを見ていた針山さんがこちらをからかうような口調で――
「なら花でも買っていくんだな、女ってやつは花束もって頭を下げれば機嫌がよくなるもんだ」
「そんなもんですか? 淡雪はそんなイメージはあんまりないですが……」
その様子に針山さんは笑みを濃くする。
「あのなぁ、誰だって憎からず思ってるやつから贈り物がされるならうれしいもんだ、そして花ってのはその時期で盛りを迎えた物だ」
そこで誰かを思い出しているかのように遠くを見つめる。
「いつかは枯れるが、それを先延ばしにするために手を尽くし、枯れて捨ててしまったとしても時間が過ぎてこの時期なれば思い出の花がまた咲いて、同時にこの時期の事も思い返せるようになる」
俺の頭に軽く手を乗せて話しかける。
「いつかは思い返せることを積み重ねていった方が良い」
「……淡雪とはいつか必ず別れる――苦い思い出になるとしてでもですか?」
そこで小さくうなずいた。
「そうとも、苦くても無味乾燥な過ぎたことより何倍もいい、それに時間が経てば受け取り方が変わる」
ゆっくりと、しかし力強く言い切った。
「全く同じ花が二度と咲かないようにな」
そこで青木さんが口を開いて。
「見た目によらずロマンチストだね、針山警部」
そこで少し不満げに鼻を鳴らして。
「違うさ、歳をとって感傷的になっただけだ」
んじゃな。
と針山警部は早速どこかへ向かった。
すると青木さんがまた別の方向をさして。
「あっちに早速営業してる花屋があるよ」
「ありがとうございます、青木さん」
と、頭を下げて早速そっちに向かう。
同時に穂高さんに連絡――つながらないので淡雪の居場所を聞く留守電をのこして花屋に急いだ。
明日も頑張ります。




