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04/23/2019-1

間に合いました。

 作戦通りにしっかり首の骨を折って殺しておく。


「さて、“リーパー”の作戦通りやるわね」


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 洗脳されて殺されに来るというおかしな行動を、実際にやってのけた。


「それにしてもさっきは本当にギリギリだったわね」


 起こした瞬間、私が殺しに行くと知っていたから周りの人間をあらかじめ退避させていた。

 そして、あと少し行動不能にするのが遅れていたら無力化されていただろう。

 動きやセンスというものは“リーパー”の方が上でも、避けようのない範囲攻撃を打ち込まれたら弱いおかげで首がつながった。


 それを抜いたとしても、まず私を起動させるという手順を踏んでいたから隙ができていたというのが大きい。


「さて、と」


 “リーパー”の包帯をはがす。

 すると前身は火傷に覆われて半ば崩れかけている印象を受ける。

 目も熱か光かは分からないけど目のたんぱく質が変質して白濁しかけている。

 頭髪も焼け焦げてほぼ残っていない。


 しかし、半ば壊れかけている姿は朽ちかけた芸術品に似た魅力がある。


 そこでふと手を止める。

 一瞬このまま殺したままにしてリーダーを引き継ぐことを考える。


 が、すぐに首を振ってその考えを追いやる。


「ありえないわね、ここまで先読みができる存在なんていない」


 首にはへし折ったときについた手形が残っている。

 それにもう一度添わせるように金属で作られた戦闘用の手を当てると当たり前の話だがピタリと一致する。


 その事実に暗い喜びが湧いてくる。


「さて遊ぶのはここまでにしておきましょう、まずは組織の回復からね」


 とつぶやいて生身である首に手を当てて――


 掻き切った。


 赤い液体が噴き出て、焼け爛れた肌を覆っていく。


 そのまま勢いが弱わるまでそのままにする。

 危険な状態を飛び越えて死亡寸前であることを示す警告が視界の端に映る。


 そこでようやく“リーパー”は目をゆっくり開ける。

 私たちはなくなった部位を生やすことはできないが、壊れていてもその部位が残っていれば修復は自動で進む。


 が、電脳の表層部の構造体がないので意識は有していないだろう。


 額に手を当てて“リーパー”の電脳に構造体のコピーを書き込んでいく。

 その時だ。


「よし!! うてぇ!!」


 と銃で武装した集団が襲い掛かってくる。


 装備からすると自衛隊員だろう。


「もぅ!! 乱暴ね!!」


 ニ・三発は被弾する覚悟を決めて腕から先を発射してまず一人目の上半身と下半身を爆ぜるようにして別れさせた。

 そのまま横に振って一人を捕まえてそれをハンマーのように振り回して全員をミンチに変える。


「さて……」


 最初のパスさえ開けば離れていても書き込み自体は続けれらる。

 となるとここにこもっている意味はない。

 むしろこの場所にこもっているとジリ貧になるだろう。


「じゃあやっぱりあれしかないわね」


 立てこもるのがダメならば襲撃をかけに行く。

 そうしてかく乱を行い時間を稼ぐ。


「時間的に外部からの増援はほぼないでしょうし、来るのは山上君と淡雪ちゃんね」


 私の生きていられる残り時間と書き込みの終了時間はほぼ同時だ。


「とりあえずこの施設の人間は……人質にした方が良いかもしれないわね」


 部屋を離れる寸前。

 最後の別れを言おうとして――


「ま、そんな性格じゃないわね」


 と苦笑をのこして部屋をあとにした。

明日も頑張ります。

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