表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
147/359

20190423-1

間に合いました。

「アオヤマさん!! こんなに人が集めってくれましたよ!! やっぱり現政権に不満を持っていた人は多かったんですね!!」


「ああ、我々の怒りをまとめることで大きな力になるだろう!!」


 などと心にもないことを話す。


 僕の今の仕事は早い話がアジテーション。

 見た目は有志が集まって自然発生したデモだが、本質は日本の諜報機関が寄ってたかって用意したガス抜き用のデモだ。

 参加人数から見るといわゆる官側はそれほど多くないが、扇動者側に寄っているとはいえかじ取りを間違えたら暴動に発展しかねないので慎重に動く。


 正直なところマッチポンプでしかなく、山上君や淡雪ちゃんが関わらせるわけにはいかない仕事だ。


 いつもはスーツにサングラスで胡散臭いのを演出していたが、今はこざっぱりとした格好をして普段と真逆の自信に満ちた表情をしている。

 それなりに前から仕込んでいたので四桁は超えていると思うが――


「さて、動員できた人数はどれくらいかな?」


「ざっくり五万人ですね、こことは別の場所に集合しているので」


「ほぅ、なかなか集まったな」


 内心で大汗をかく。

 ここのところの立て続けに起きる災害でぶつけどころがない不満がたまっていたのは理解しているが、ここまで集まるとは予想できなかった。


 まずい。

 とそう思う。


 集団の数が多くなればそれだけ気が大きくなる。

 そうなったら手を付けられない暴動に発展しかねない。


 なので策を弄することにした。


「ならば合流するより、広く声を上げた方が良いな、我々の声は直接届けるべきものだ」


「なるほど」


 そんなでまかせをあっさり信じてどこかに連絡を取っている。


 そんな時一本の電話が入る。

 周りの人間に断りを入れてその場を離れる。

 相手は針山警部だ。


=======================〇========


「私だ」


 誰が効いてるかわからないので演技はやめないまま受け取る。

 すると相手が吹きだした。


「おいおい、おもしれ―口調だな」


「ご挨拶だな」


 僕自身あんまりなれないのでテレを必死に押し隠しながら話す。


「ま、ちょっと事前に聞いていた人数と違いすぎるって思ってるだろ?」


「ああ」


 するとそこからはまじめな口調になる。


「誰かがわざとバッティングさせた」


「……」


 少し押し黙るが、考えを口に出す。


「あいつらか……」


「そういうことだ、数日前に今日やるって見越して広く流布しておいたみたいだな」


 頭が痛くなる。

 集まればどうしても騒ぎが広がりやすい。

 それを見越して手を打っておいたのだ。


「理由は?」


「……わからねーな、とりあえず都内の警察はピリピリしてるよ、こうしている間でも日常業務はあるからな」


「なるほど」


 できたら穏便にガス抜きを終えたかったが、いやな予感がする。

 分断したとはいえ、おそらく一つの集団は数千人は下らないだろう。

 それが火のついたように暴れ始めては絶対に手が回らないことが出てくるだろう。


 怪しまれないように()()()()の参加者に連絡を取り、針山警部とも話し合いを大急ぎで重ねることにした。

明日も頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ