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4月23日-15

間に合いました。

 聞こえてくるのは金属と岩がぶつかり合う轟音だ。


 それが間断なく響き続ける。


 互いに無言で拳をぶつけ合う。

 意地の張り合いのように――いや実際に意地の張り合いが近いのだろう、互いにフェイントすら挟まず全力で殴り合う。

 俺はディザスターの拳を受けた瞬間にわざと内部の体の構造を砕いて受け止める。

 ディザスターもまた同じように硬化と軟化を組み合わせて受け続けている。


 俺の目的はディザスターの急所を探し出すことで、ディザスターは俺ごと外に出ることだろう。


 そういう点から見ると優勢なのは――


「くっ!!」


 思わず息を漏らす。

 簡単に言えば押されているからだ。


 俺は一歩たりとも押し返すことができていない。

 しかしディザスターの急所を見つける手掛かりらしきものすらつかめていない。


「さて」


 とつぶやいては見るが今はとにかく気をそらすことなく真正面からの殴り合いを続ける。


 一手が足りない。

 切実にそう思う。


 拮抗状態ということは後がないこっちが不利ということだ。

 両腕の感覚がもうなくなっており、殴り合うというより操作をしている気がしてくる。


「ああ――」


 唐突にあることが思い浮かぶ。

 淡雪からずいぶん前に言われたことを思い出す。


「やるぞ!!」


 肩か先の腕どころか背中全体から石が砕けるような音が連続する。

 とっくの昔に痛覚は完全にマヒしているので思い切りやる。


「おぃ、まさか!?」


 初めてディザスターが慌て始める。


 ディザスターが攻撃の回転数を上げるが、もう遅い。


「おぉ!!」


 前腕分の装甲が裂けるように別れていき、()()()()()()()()()()


「お前、頭おかしいだろ」


 即死以外は無理やり直せる、そして強化外骨格を操作することでかなりの変形を行える。


 なので試したらできた――()()()()()()()


「っ!!」


 手数が単純に倍になった。

 そのために行ったことがどんな意味を持つのかは今は考えないようにする。

 まだ慣れていないのでぎこちないところはあるがほぼ確実にクリーンヒットを入れているのでこのままいけば押し返せるだろう。


 ディザスターが慌てて対処をするためか下がろうとする。

 だからさらに詰める。


 そうしているうちにあることに気付く。

 下がるときがなぜかすり足だった。


「ん?」


 その動きは不自然だ。

 明らかに負傷した人間のように精彩を欠いている。


 思い返すのは殴り続けた感覚だ。

 おそらくディザスターはただの泥の塊で重要なものは何もない。

 だったらなぜあんな動きをしたのかが謎だ。


 そこで逆の可能性が思い浮かぶ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()

 そんな可能性だ。


 急所があると思わせればそれを探すのに躍起になり、重要器官がないという事実から遠ざかる可能性がある。

 そう考えるなら散々殴り合っていたので回復する条件がないとおかしい。

 それこそぶつけ合っていた拳のせいで破壊される可能性がある。

 そんなそぶりも見せず殴り合っていたので回復しながら行っていたのだろう。


 となるとすり足が気になる。

 ただ下がるだけならすり足をする必要などない。

 そして足を引きずる様子でもなかった。


「あ、そうか!!」


 思いつき、ただ全力で殴り始める。

 ディザスターは慌てたように迎撃し始める。

 が、もう遅いのだ。


「おぉ!!」


 ある程度殴ったら、()()()()()()()()()()()()()


 だからその足にローキックを放って足首から先を破壊した。


「なっ!?」


 明らかに顔色を変える。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()殴り続ける。


 すると二・三発目で大きくひびが入った。


 そこでようやく確信が持てる。


()()


 改めて口に出すと納得できた。


 泥は乾きすぎるともろくなる。

 しかし()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 そういうことだと思う。

 下がるときにわざわざすり足だった理由は少しでも多くの面積を地面に接することでダメージの回復を早める目的があったのだと思う。


 そしてある程度の大きなになったら首根っこをつかみ逆側の壁に押し付けた。


「これで終わりだ!!」

明日も頑張ります。

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