4月23日-14
間に合いました。
剣を突き込んでくるディザスターに向かい、間合いの外だが右腕を振りぬく。
「がっ!! ぐぅ……」
その時、腕を動かすというより強化外骨格を操作するように全力で振りぬいた。
体の構造を無視して。
右腕全体から関節が――いや、腕が引きちぎれるくぐもった繊維質の音が連続する。
同時にショック死しかねない痛みが発生する――が、それは強化外骨格の防御機構によりシャットアウトされて、とても痛い程度に抑えられる。
もうずいぶん前のように感じるが橘もまた強化外骨格を無理やり動かして骨を砕きながら襲ってきたように、その気になればおそらく体の上限を超えて動かせる。
その無理をやった価値はあった。
「グ――」
ディザスターの心臓のあたりに拳が突き刺さっている。
そして手ごたえは――
「ない!?」
「オレが人間と同じ臓器でも持っていると思ったか?」
まずいとは思わない。
砕けた右腕を引き戻しまた構える。
「だけど影響がないわけじゃない」
証拠に影響がないなら、もっと深く踏み込んできてこっちにも突きが入っているはずだ。
腕が伸びたとはいえ、ディザスターの切っ先は半歩届いていない。
「体が全部崩れるか、どこかに急所がある」
「ほぅ」
再度口の端だけで笑いを浮かべている。
「探してみろ!!」
言い切った。
そこで剣の修復が終わる。
が、呼び出さない。
鋭すぎる切れ味はおそらくディザスターを破壊するのには向いていない。
泥の塊なのだから斬るより殴って広い範囲を叩いた方が良い気がするからだ。
「いくぞ!!」
ディザスターは今までのように力任せの大振りではなく、体に引き寄せるようなコンパクトな振りで斬りかかってくる。
立ち位置としてはやはり一歩下がったら壁際に追いつめられる。
おそらく今までのように受けたら後に弾かれる。
だからもう一度、ディザスターの剣をに叩き落とすようにして右手を振り下ろし迎撃する。
すると流れるように肩をぶつけるような体当たりに移行した。
「ふん!!」
そこに向かって左手で思いっきり殴る。
岩を削るような鈍い音がして、ディザスターの肩から先が破裂した。
「ちぃ!!」
おそらく直撃させるその場所だけ硬化させるか圧力を高めていた。
だからその準備ができる前に一撃でも入れば弾ける。
「なるほど」
知らず知らずのうちにつぶやく。
派手な攻撃動作や自信に満ちた言動。
それらはもろい体を気づかせないためだったらしい。
爆ぜたあとは、ディザスターは一歩下がった。
「さすがに気づかれたか」
そこでディザスターは表情を引き締める。
今までも本気だったと思うが、おそらく動きを変えるだろう。
「もう舐めた動きはできないな」
といって剣がなくなり代わりに各部に装甲のようなものが浮かび上がる。
考えてみれば、ディザスターが言葉にしていた通りの存在なら放射性物質の塊で、その気になれば核爆弾になることも可能なのだろう。
いまこの段階で爆発しない理由はわからないが、原発を覆うカバーの外に出たらディザスターの勝ちなのだ。
それを考えれば攻撃よりも生き残る力を強くして、隙あらばカバーを突き破る方が理にかなっている。
もう遊びではないだろう。
そう思いながらジワリと距離をつめていく。
明日も頑張ります。




