4月23日-10
何とか間に合いました。
2019/08/19 処理排水に直しました。
手を柄に添えたままダッシュする。
策もなくただ突っ込め。
それがリーパーから伝えられた作戦だ。
「!?」
巨人は明らかに戸惑っている。
その隙に
今までこちらは力任せの突撃などはしていなかった。
その流れがあっての無策の突だ。
なまじ理性があるからこそ引っかかってしまったらしい。
「よしっ!!」
鞘を抜いて斬りかかる。
巨人は前面から蒸気を吹きだして後ろに飛んだ。
言われたことは無策での突撃だけではなく――
「ウォーモンガーを想定した実戦!!」
ウォーモンガーはプラズマを体の各部から発射して加速することで圧倒的な攻撃の回転数を手に入れた。
同じ攻撃をしてくるかどうかはわからないが、この巨人もまた蒸気の加速を使用する戦闘方法だ。
「やるだけやる!!」
蒸気を突っこむ。
視界は一瞬で真っ白になるが――
「頼むぞ、リーパー!!」
目を伏せる。
すると少し引いた視点の視界が映る。
リーパーが見ている視界を送ってもらっている。
巨人は後ろに跳んですぐに、蒸気の加速を入れたローキックを放ってきている。
だから、タイミングを合わせて居合抜きの要領で叩き斬った。
「ぐぁぁぁぁっ!!」
地響きのような叫び声が上がる。
だから恐れずそのまま突き抜けて目を開く。
「あと少し!!」
バランスを崩している。
そのまま首を一直線に切り落とそうとして――
「――」
ニィ。
と巨人が笑った。
まずいと思う前に、切断面から蒸気を吹きだした。
「ぁっ!!」
それを支えとして、ジャブ気味に拳を放ってきた。
腕の各部から同じように蒸気を吹きだして、おかしな体勢から放たれたにしてはまっすぐ伸びてくる。
「がっ!!」
クリーンヒットが入り、距離が離れてしまう。
地面に剣を突き刺しすぐ止める。
まだ一足で飛び込める距離だから飛び込もうとして――
「なに!?」
巨人は残った足を自分で破壊した。
そして断面から蒸気を吹きだすことでホバー移動を行い始める。
どこぞのロボットアニメでああいう形のロボットがあったな。
などとずれたどこかずれたことを思いながら。
機動力が大きく上がった巨人を攻めあぐねていると。
リーパーから言葉が来る。
「山上君!! 目を閉じて!!」
一瞬迷うが言われた通り目を伏せる。
すると驚いた。
「何が!?」
視界に様々な色の線が引かれている。
何事かと思っていると――
「あくまで私の勘ですが、あの巨人が動くであろう軌道です」
勘。
というのがとてもひっかかるが、相手はリーパーだ。
信じてもいいと思うので――
「わかったどうすればいい?」
叫んだ。
すると間髪置かず次の指示が来る。
「より可能性が高い軌道の輝度を高くしています、急角度で曲がる軌道がスピードが落ちるのでそこでバッサリやってください」
無茶を言う。
と思うが、それでも手掛かりなる物があるのは幸いだ。
目を伏せて、どことなくゲームのキャラを操作するような感覚で動く。
離れた目で見ると、動きは機敏になったが大雑把になったことがよくわかる。
そしてもう一つ分かったことは――
「攻撃が拳しかなくなってる」
そうなると気を付けるべき範囲が狭まっているのである意味相手しやすくなっている。
そうやって拳をよけたり、処理排水タンクに突っ込もうとするのを阻止していると。
「ぐ、ぁあぁあららrakara!!」
キレた。
めちゃくちゃに騒いででたらめな軌道を描き、体中から蒸気を噴出してあたり一面が真っ白になる。
リーパーのところまで。
だから一番機輝度が高い軌道。
つまりリーパーに殴りかかる軌道を断つように剣を振るった。
理性がなくなって暴れたような振る舞いはブラフで、情報を提供する大本を倒しに行ったらしい。
そして何かを真っ二つに斬り飛ばす手ごたえを感じる。
そしてそれは――
「GralagaaAaaAAA!!」
と、叫んで気配が消えた。
守られたリーパーは嬉しそうに笑いながら。
「ありがとうございますね」
「守る必要はなかったかもしれないがな」
俺のぶっきらぼうともいえる言葉に対して気分を害した様子もなく。
「では、ついに大詰め――臨界状態の炉心の対処にいきましょう」
そこでようやく獲物である大鎌――それの柄だけを取り出した。
「今更だけどなぜ今まで全く使わんかったんだ?」
「簡単に言えば温存ですね、物が物ですからちゃんと中身の整理が必要なんですよ、中は広い事広いのですがめちゃくちゃに突っ込んでおくと意図しないものが出てくる可能性もあるので」
「なるほど」
その説明に納得しながら、大詰め――福島第一原子力発電所の原子炉建屋に向かった。
明日も頑張ります。




