4月23日-7
なんとか間に合いました。
2019/09/19 誤字を直しました。
振り下ろされてくる巨大な手の平をかすめるようにしてすれ違いざまに指を切りつける。
浅いために対してダメージが入っているように見えない。
むしろダメージを与えているのは――
「自壊してない?」
巨人が巻きあげる瓦礫を蹴ることで軌道修正して、巨人に当てるというレトロゲームの攻撃方法じみたことをしているリーパーが答える。
「してますね、あそこまで巨大な生物が陸で立っていること自体が難しいからでしょうが」
グレイゴーストと比べると明らかに動きが緩慢だ。
同時に体の各部から何かがつぶれて砕けるような音が連続している。
しばらくは避け続けるだけで良さそうだが……
「あ、ついに崩壊が始まりますね」
言いながらまず腰が壊れ始める。
意外な場所から崩壊が始まったことに驚いていると、いつの間にか脇にリーパーが浮いている。
そしてそのまま解説にうつる。
「体の負担って実は腰に集まりやすいんですよね」
「そうなのか? 運動部は膝とか肩とかの筋を痛めたって言ってるが」
なるほど。
とリーパーはうなずいて。
「痛み方の質が少し違います、膝や肩というのはどちらかというと瞬間的に強い力がかかったなど使ったから起きる場合が多いです、つまり使わなければ回復に向かいますが、腰は常に体重を受けています」
と言って自身の腰のあたりに手を当てる。
「立っていようと座っていようとね、そして腰は動きの中心です、ここを痛めたら基本的には治るまでは絶対安静です」
リーパーは視線を巨人に向ける。
腰から真っ二つにへし折れたようになっている巨人は暴れるが子供の駄々のような動きでは大きな被害が出るはずもなく、いつしか動くが鈍くなって泥細工のように砕けていく。
「次は――」
「大体五十メートルくらいですね」
「うわぁ」
結構砕けているのにそれでもこの大きさというのはげんなりする。
と立ち上がった巨人は体の各部から火を吹き始めた。
「今度は火事ってことか」
「あー、あれはちょっと私が相手するのは厳しいですね」
「え?」
思わずリーパーの方を見てしまうが、考えてみれば当たり前だ。
「防具か」
「そういうことですね、火とか避けようがないのはどうしようもないんですよね」
いい事を聞いた。
と思うが、今はとにかく次の形態に入った。
そうしたら――
「まぁ、早い話が今までの中で圧倒的な熱量を発しているのですよね」
という言葉が終わるか終わらないかあたりでミサイルが撃ち込まれた。
効果は覿面で一撃で上半身が粉々になった。
「現代兵器の火力って……」
さっきから出オチのように破壊されているのが苛立たしいのか、ようやく学校の校舎くらいの大きさまで小さくなっている。
「なんというか、ほとんど実力が出せていない形ですね」
「相手に全力を出せないようにしてこちらが全力をぶつける、戦術の基本的な動きですよ」
なるほど。
と、思いながら巨人を見るが、その目には明らかな意志が宿り始めているように見える。
そのことに嫌な予感がするがあと数回で終わるのだから気合を込めて武器を構える。
明日もがんばります。




