4月23日-4
間に合いました。
「さて、久しぶり――というほどの期間は空いていませんが、左腕の調子はどうですか?」
取った本人がぬけぬけとそう話しかけてきた。
にらむが、そんな視線などどこ吹く風というように流している。
場所は宮城県の沖合に震源地の真上に位置するところを飛んでいる。
「まぁ、問題はない」
実際には取れていたことが嘘のように快調だ。
話では位置が離れていただけでつながっていいたという話だが――
「ならいいです、とりあえずこれからの動きは知っていますね?」
「ああ、まず地震が起きて津波が来てメルトダウンで、それぞれに化け物が来る可能性があるんだっけ?」
「そうですよ――とそろそろですね」
といって地面からきしむような音が響く。
同時に沖にナニカが立ち上がる。
大きい――海面から出ている頭だけでグレイゴーストの数倍はありそうだ。
「あれを何とかしろって」
思わず絶句する。
あの大きさなら身長は確実にキロメートル単位だ。
アレを剣一本で相手するのは厳しい。
だが――
「まぁ、こんこともあろうかと、というやつですね」
とリーパーが口に出す。
すると何かが高速で通り過ぎていく。
ミサイルだ。
「私たちが測位してして、その情報を航空機に送ることで支援をもらえるように手配してくれた穂高二佐のおかげですね」
「たまに思うんですがどれだけコネとかあるんですかね?」
「さぁ? 最低限自衛隊の中でも情報を扱う部署なのですから、多少の協力をもらえる程度の情報は浮かんでいるでしょうね」
かなり空恐ろしいことを言われたが、今は気にしないことにする。
大切なのはかなりの支援をもらえるという事実だ。
「grARARAraraArtara――」
化け物が叫んだ。
それは音の大きさだけでミサイルが破壊された。
「あらら、やっぱりというかなんというか」
どこかのんきな感想をリーパーが述べた。
そして――
「AaaaAあああA!!」
空気が破裂するような音がして化け物が高速移動した。
「は?」
そんな間の抜けた声を出しながら見たのはあまりのスピードで動いたので海が押し分けられるようにしてえぐられた光景だ。
「なんであんなに早いんだ!?」
必死に追いかける。
「どうやらあのクリーチャーは津波がメインのようですね」
と分析しながらリーパーもついてくる。
「どういうこと?」
「津波は沖合、水深の深いところでは航空機クラスの速さになるんですよ」
それが水だけだったら大きな問題にはなりにくいが――立って歩く巨人がそのスピードで走られたら大惨事確定だ。
「大体でいいけど被害はどれくらいか予想がつく?」
「東日本大震災を下回るのは絶対にありえませんね」
きっぱり言い切られて頭をかかえる。
しかしすぐに思いなおし。
「穂高さんに連絡する、到達時間は?」
「ざっと十分」
リーパーがはっきり言い切った。
時間があまりにもなさすぎるがそれでも穂高さんに連絡を取ることにした。
明日も頑張ります。




