4月22日-9
間に合いました。
タイトルのナンバリングが間違っていたので修正しました。
瓦礫の中からなんとかはい出した。
周りの光景は一変している。
「これは――ひどい」
そこまで大きくなかったとはいえビジネスホテルが一棟すべて崩壊している。
向かいのビルもえぐられたように大きな溝ができている。
強力なプラズマの砲撃の跡だろう。
一体何人死んでしまったのだろうか。
と思うった矢先、一本の連絡が入る。
相手は穂高さんだ。
急いでその連絡を受けると、開口一番。
「大体事情は知っています、口より先に体を動かして救助を急いで」
「あ!! はい」
いわれてようやく気付いた確かに救助を急ぐべき時だった。
人程度のコンパクトさで重機クラスのポワーと障害物は斬って掘り進めることが可能な俺はこういう救助現場で必要とされる人材だ。
「こっちの視界をそっちに送ります、支持をお願いします」
「二分後までに連れてくるから、それまではまずどかしても大丈夫な瓦礫の撤去を行っていて」
「わかりました」
やらなければいけないことができると、余計なことを考えずに済むので今は救助活動に専念することにした。
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「――み!!」
画面越しの指示に従い瓦礫をどかし、強化外骨格の人工頭脳が自動で補正を入れてくれた黒塗りのナニカを大切にきれいな場所に移動させて安置する。
「きみ!!」
もう一度向かおうとして、肩を揺らされてようやく呼びかけられていたことに気付く
「え? あれ?」
「もういい、ここからは我々が引き継ぐ」
相手は壮年に入ったところの自衛隊の方だった。
マスクと手袋をしておりしっかり防護している。
「でも――」
「でもじゃない、働きづめじゃないか」
「ぅ」
返答に困る。
呼びかけに即答できなかったのは確かなので下がった方が良いのが確かだからだ。
なのでここはおとなしく下がることにする。
「あの……生きている人はあちらに」
と言って指さす。
それに対して相手は敬礼一つで返してくれた。
“ウォーモンガー”をうまくさばけなかった手前相手の目を見ることができなかった。
すると相手が
「気にするな、と言われても無理なのはわかる――だから、後で墓参りくらいは行ってやってくれ」
「ぇ? それは――」
ゆっくりとしかし確かな言葉ではなしを続ける。
「葬式や墓参りってのは残された人間が気持ちを整理つけるものだ、いいか忘れるでも癒すでもない、整理するつまり思いの置き所を移動させることだ、いつか必ず自分自身が納得できる心の置き場所を見つけることができる、だから頼む」
「……はい」
その頼みにかみしめるようにして頷きその場をあとにした。
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拠点としている場所――穂高さんがいる場所に戻ってきた。
会議室に向かうとかなり憔悴している穂高さんがいる。
上半身は微動だにせず顔色も悪い様子ではないが、かすかに視線がぶれている。
「お帰りなさい」
とこちらを見て一言。
「大分疲れているでしょうから少し休んでてほしいの」
「あの――」
そこでごく自然な表情で、
「犠牲者が出たのはわたしのせいだから気にする必要はないのよ、ビルの両断ができるまで読めなかったから同じビルで戦わせたわたしのミス、山上君は全力を尽くした、そうでしょ?」
「はい……」
うなずく。
だけど腹のそこにたまったものは晴れない。
「責められることで安心したいなら無理ね、それに何かの想いを告げられる人は最低限わたしではない、そうでしょ?」
「……はい」
「わかっているなら大丈夫なようね、今はただ休みなさい、患者の増加は緩やかになり始めているからあとはこちらのお仕事」
とそこで疑問に思う。
「えっと、どうして患者の増加が緩やかになったんですか?」
「感染の拡大をとにかく押さえ続けているからです、P-1が水と親和性が高いのでマスクを二枚用意して外側に霧吹きでワンプッシュしたものでかなりシャットダウンできるというのがわかったことが大きいですね、そしてまだ発症していない人はシャワーを浴びせて洗濯した衣服に着替えてもらえば大丈夫なのでとにかく隔離ですね」
「お疲れ様です」
そこで小さく笑みを浮かべ。
「あと少しで特効薬、と言っても人用は一種のうがい薬と吸引ですね、それを集めています、元になったP-1は研究の結果自然界では長く存在できないので今日り患した人にしか残らず、喘息と同じ治療を続ければ大きな支障なく暮らせるようです」
ただ。
とくらい顔で続ける。
「家畜はほぼすべて出荷できない状態になります、なので優秀な種牛や豚以外は殺処分が基本になります、どこまでP-1が汚染しているかわからないので訳アリ肉としても一切消費できません」
「そうですか……」
結局経緯剤的には大打撃をうけることに変わりはないようだ。
「ただ平成二十二年の時よりは個体数の回復は容易ですし、何より完全別飼いの家畜は無事だったり、暗い話ばかりではないですよ」
「ならよかったですが」
そう返すと、穂高さんより。
「あとひと踏ん張りですよ、外部から運び込まれる衣料品の護衛、これがこの件でで最後の仕事になります」
「わかりました」
窓の外を見るとこれから陽が沈みゆく時間帯だ。
あと少し。
その言葉を信じて、いまは次の出番のために休むことにした。
明日も頑張ります。




