Apr/22/ 2019-1
間に合いました。
「こちらの方で流行の兆しが見られました、避難所に移動をお願いできますか」
とドアをノックする男の声がする。
奥で膝を抱えるようにして待機状態だった“ウォーモンガー”が開口一番。
「敵だね、“ブラックスミス”!!」
と、とてもテンション高めで立ち上がる。
その単純さに少し頭を痛めながら――
「いまは潜入中だからちょっと黙ってて、あとカバーの内容覚えてる?」
「もちろんさ、アタシが在宅の仕事で、“ブラックスミス”――四谷クロが少しずれてこっちに来た転校生ってやつだろ」
「色々抜けている気がするけど、まぁ大丈夫かな」
と思い、ドアスコープから覗く。
こういう時は基本的に目に頼らなければならないのがもどかしい。
ともかく相手は多少厳ついところがあるが人の好さそうな青年だ。
迷彩服を着ていることから自衛隊員だと思う。
「はーい、今出ます」
ドアを開けて顔を見せてもとくにおかしな様子は――いやある。
相手は僕の顔を見て気が抜けている――見惚れている様子だ。
奥から出てきた“ウォーモンガー”が出てきたときもそっちに視線を向けている。
そういえば僕たちの外見はなかなかいないレベルの容姿だったことを思い出す。
普段恩恵を受けていないのでピンと来ていなかったが、こちらを不審に思っていないようにみえるので利用することにする。
「非難という話だけど、何を持ち出せばいいの」
わざと一歩距離を詰めて質問する。
そこで落ち着くために一つ呼吸をした。
「そこまで長い間の避難にはならないので身の回りの品と戸締りをお願いします」
「はーい、ほら姉さんも聞こえてたでしょ、行くよ」
と促して不審に思われない程度の手荷物をもって、言われた通りの事をおこなってついて行くことにした。
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連れて行かれた先は普通にバスだった。
ここまで特に怪しまれている様子はないのでこのまま隔離施設、おそらく近くに研究施設に当たる物がるのでそこの破壊を考えている。
すると、近くに座っているおばちゃんから話しかけられたので対応していると、なぜかミカンを手渡された。
“ウォーモンガー”の方を見るととくに何か思うところはなさそうだ。
そういえば“ウォーモンガー”はテンションが上がりやすいので忘れていたが。
戦闘向けに調整されているので自然な情緒から程遠い精神だった。
しかしそこまでおかしな反応でもないので無視をしてミカンを食べていると――
「すいません、収容先にトラブルがおきまして行き先を少し変更します」
という車内アナウンスが入り、来た道をUターンし始める。
「……だいじょーぶだいじょーぶ」
自分に居聞かせるように繰り返す。
そうしてしばらく進むと、ごく普通のビジネスホテルのような場所につく。
「集団内での感染が怖いのでお1人ずつ別の部屋は言ってもらいます」
といっている引率役の自衛隊員の指示に従って降ろされていくその際にキーを渡される。
どうやらこのまま中に入ればいいらしい。
「さてどうなることやら……」
“ウォーモンガー”と引き離されたと言えば引き離されたが、周りの人間は一般市民だ。
まだ大丈夫だと思いながら指示された部屋にくる。
エレベータに相乗りしていた人は別の階で降りて行った。
「……いくらなんでもおかしい気がする」
少し疑問が頭の片隅によぎったので何でもないふりをしながら部屋に入ると――
「普通か……」
なにもおかしなことがないので胸をなでおろしながら、この場所がどこに位置するのか確認するつもりで窓にむかった時――
窓ガラスを破って、閃光手りゅう弾が投げ込まれた。
明日も頑張ります。




