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4がつ21にち

何とか間に合いました。

「おかあさん、ここどこぉ?」


 学校がおやすみの日におかあさんに手をひっぱられて、いやなあの家につれていかれる。


 まえは明るくてやさしい病院でした。

 うけつけのおねえさんはにこにこ手をふってくれるし。

 お医者さんは大きいけどでもあったかい手だったし。


 わたしは毎日『とうせき』がひつようで、おなかから生えたホースの周りを見てもらったり、ちゅうしゃをされていました。

 ちゅうしゃはチクッとしていやだったけど、お医者さんは「えらいね」ってほめてくれたし、平気だった。

 そのころのおかあさんはたまにすごく悲しそうなかおをするけど、やさしかった。


 でもこのまえからおかあさんは変になった。


「良いから来なさい!! 良い子でしょ!!」 


「いたいよ おかあさん」


 グイグイ手をひっぱられていたい。


 まえはおこってくるけどちゃんとおこってくる理由はあった。

 でもいまはすぐにおこる、そしてぶってくる。


「いいから来なさいって、言ってるでしょ!!」


「きゃっ!!」


 ほっぺたをたたかれた。

 いたくていたくて


「ぅわぁ――」


 泣いてしまった。


「泣いちゃダメって言ってるでしょ!!」


 またたたく。

 もういっかいたたかれる。


 いたいのがいやだから。


「ごめんさい」


 まだまだなきたいけど、もっとたたかれるのがいやだから、ごめんなさいする。


「い  いいこにするから、たたかないで」


「いたかったよね、そうだったね」


 と抱きしめるけど前みたいなフワフワしたきもちにはならない。

 たたかれないことがほっとする。


「これから先生のところにいくからもうないちゃだめだよ、わかった?」


「ごめんなさい」


 ビクビクして答える。

 するとおかあさんは――


「ごめなさいってなんなの!! なんで謝るのよ!!」


 またきゅうにおこった。


 なんて答えればいいかわからずにあしがグラグラする。


「ぁ  ぁ あの」


「なんなの!! ママが悪いの!?」


「ち ちが――」


 顔が真っ赤で怒りつづける。

 そのままじっとみていてきゅうにめをそらす。


「ママだって頑張ってるのよ」


 そして手を思い切りひっぱられる。


 そしてあの家にはいる。


 中はいやな感じがする――


「くしゅん」


 いつもこんな風にくしゃみをしちゃう。

 目もチクチクしだすからいやだ。


 病院だとこんなことにならなかったからここが嫌いだ。


 でもおかあさんはズンズンひっぱるのでついて行く。


 奥のへやには変なやつがいる。


「いいあららいあいあららいいいあいああええあしゃいい」


「おくれてすいませんね、先生」


「liいいぃOkKOKkkOO」


「そういってもらえると助かります」


「くしゅん」


 おかあさんはふつうにはなしているけどぜったい変だ。


 よくわかんないおはなししかしないし。

 頭はクルマのタイヤみたいにおっきいし、水が入ったペットボトルみたいなのを体からいっぱい生やしているし、手もべたべたするし、おばけだ。


「ええ、すいません、まだ腹膜透析は続けてます」


「やmemeyた」


「ええ、ちかいうちにかならずやめます」


「おかあさん!! それ、お医者さんが」


「だまりなさい!!」


 ぶたれて首を絞められる。


「なんでなのよ!! ママだって頑張ってるのよ!! なのになんであんたは――」


 あたまがまっしろになる。

 でもめのまえはまっかになる。


「あんたは出来損ないなの!! あんたが出来損ないだからあの人は逃げたのよ!!」


 ぼろぼろなみだがでる。


「ごめんなさい できそこないでごめんなさい」


 本当は言いたくなんかない、でも言わないともっとひどいことをされる。

 だから仕方なく話す。


「わかればいいのよ」


 まだ顔が真っ赤だ。

 でもおかあさんは懐から白い玉を食べて急に落ち着く。


「興奮しちゃったね、でもほらもう大丈夫」


 でもわたしも食べされたことがあるからわかるけど、あれはただの砂糖の塊だ。


 それをお医者さんから出されたおくすりじゃなくて、その砂糖の塊をおくすりとして飲ませてくる。


 そしてもう一つがただの水にしか見えないもので飲まされる。

 なんかすごく難しい言葉だったと思う。


「これであんたのアレルギーも――」



「くしゅん」



 我慢できずにくしゃみをしてしまった。


 おかあさんはまっかになって何度も何度もぶってくる。

 私はただ丸まっておかあさんが落ち着くのをまってただ我慢します。

明日も頑張ります。

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