4月21日-2
間に合いました。
空港に帰り始めてしばらくすると、誰かに肩を叩かれる。
「?」
相手は――
「リ、リーパー!?」
いつものようにフワフワした表情のリーパーがそこに立っている。
「は? え?」
淡雪も一瞬対応を取りかねているが――
「見つけました!!」
シートベルトを外して、一歩踏み込み金属でコーティングした拳を打ちこむ。
俺も慌てて、剣だけ取り出して斬りかかる。
「ふふ、物騒ですね」
と一歩だけ踏み込んで淡雪の手を取り、体を少しだけずらした。
そのせいで斬りかかる軌道に淡雪が移動させられた。
「くっ!」
慌てて剣を引き戻す。
淡雪もそのまま引き倒された。
が――
「よいしょ!!」
その瞬間四方八方からリーパーに向けて銀の針状のもの――自動操縦を破壊した金属が襲い掛かる。
「なるほど――」
余裕すら見せる様子で一本ずつ弾いていくが――
「さすがに無理ね――」
と言って無理やり跳んで下がって切り抜けられた。
その頃には淡雪も膝をつくところまで姿勢を持ち直している。
「逃がしませんよ!!」
そのまま嵐のようにリーパーに向かうが――
「ここで私が弾くと、乗客に当たりますよ」
「えっ!!」
大慌てで止まった。
「ふふ、相変わらずですね」
そうしてリーパーがたどり着いた先は橘が寝かせれているところだ。
そのまま簡単に担ぎ上げる。
「私は橘君を連れて帰るだけなので見逃してくれませんか?」
「断る」
じりじりと距離を詰めて切りかかるタイミングを計る。
その時だ――
足元から突き上げるような衝撃が入る。
同時に爆発音もなった。
「これ以上いたらハッキングされて無力化されそうなので、お暇しますね」
といって床に大鎌を振るって、床をくりぬいて落ちることで脱出した。
「逃げられたのは仕方がないです!!」
淡雪がそう口にして、コックピットに一緒に入る。
すると様々な機器の光が全くついていない一種異様な光景になっている。
「何があったかは聞かない、この機に起きたことを話す、エンジンが停止してあらゆる機器が動いていない、グライダーのようなものだ」
「え?」
背筋に氷が入れられえたように冷めていく。
助かったかと思ったのに、まさかの事態だ。
「二人は何ができる?」
年配の男性――機長が質問を飛ばしてくる。
すると淡雪がまず口を開き。
「電源の確保と一部のコンピュータの計算くらいです、あとは広範囲は無理ですが部材の間をつなぐことができます、この場に居て」
「……分かった、電源確保してあと飛行コンピュータの回復させることができるものはドンドン回復させてくれ」
その後に次々と危機に光がともり始める。
機長は俺の方に視線を向けている。
少し悩み。
「ええっと助けになりそうなのはパッとは思い浮かばないです」
「なんでもいい、この場ではとにかくできることを出してほしい、あとおかしいと思ったことでも何でも意見はドンドンだせ、一連托生だ」
なので覚悟を決めて話す。
「装備を着れば、空を飛んで、物を切断できます、力も乗用車くらいなら放り投げれます、最後にものすごく頑丈です多分飛行機にはさまれても無傷です」
「よし、外に回って被害状況を見てきてくれ」
すると若い男性――副操縦士がおずおずと。
「僕は計器の監視をします、あとは通信も僕が行います、機長は操縦に専念を」
「わかった」
話はまとまったので早速強化外骨格を着て、外に飛び出る。
見ると、機体の真ん中がえぐられたように欠けている。
高度はそれほどでもないので息はできるだろうが、この高さから落ちたらひとたまりもないだろう。
「外に来ました、今ちょど機体にあいた大穴から出たところです」
と連絡を入れる。
すると無線で――
「エンジンはどう? 火は吹いてない?」
見ると火どころか全くごいている様子はない。
「いえ完全に止まっています」
「……再始動させてみる、火を吹いたら報告をして」
「わかりました」
が、いつまでたっても――と言っても数分程度だと思う。
「動かない?」
「はい、動いている様子はないです」
「……どう思います? このまま再始動は続けてもいいですか?」
相談相手は副操縦士だろいうか?
少し後に――
「燃料の善量はわかるか? 明らかに減っているなら燃料漏れの可能性がある、こだわって火が出たらまずい」
「了解、幸い供給される電源で機器の稼働は問題ないです」
その後――
「機内に戻ってきて――いや、周りをぐるっと見てきて」
「わかりました」
言われた通り、ゆっくり見て回る。
気になるのは下にあいた大穴と突入に使った扉がなくなった搭乗口だ。
「大きな傷はなさそうです」
「外装にしわはある? あったら場所と範囲の報告、ススがついているでもいい」
「ええっと」
見たところ穴が開いた場所の周りはあぶられたような黒い跡が残っているがそこまでひどい跡ではない。
「穴があけられた場所以外はきれいなままです」
「ということは、機体自体はまだいけそうか」
「ですけど、このままでは海に落ちますね」
その話を聞いていて思うのは――
「いっそ落ちるのはどうですか?」
「はぁ!?」
機長からかなりの声量で通信が来た。
しかしすぐに――
「いや、すまん、言ってくれ」
「ええっと、この機には二人空をとべる人間がいます、なので救命胴衣を着て、海におろしていきます」
パイロットの二人は無言になる。
「頭がちょっと受け入れるのを拒否するが――」
「考えてみれば、空を飛べる人間がいるのでできるだけ長く滞空し、ピストン輸送も可能なわけか」
「申し訳ないですけど“ディープスロート”もこっちからエネルギーを供給すれば空を飛べますね」
しばらく淡雪が黙りこくり。
「風防を作れば多分安全に降下可能ですね」
無言。
しかし――
「やろうか、ともかくできるだけ長く飛ばす、降下させるのは頼んだぞ」
「わかりました」
「頑張ります」
気合を込めて返事をして、早速救助にかかった。
明日も頑張ります。




