4月21日-1
間に合いました。
「つ、疲れた」
なんだかんだで墜落現場から全員を運ぶのは骨が折れた。
脇には端末で何かを確認している淡雪がいる。
「よし!! これで全員ですね」
「よかったぁ」
そこでようやく気が抜けてへたり込む。
墜落したのが東京湾なので比較的はやく海上保安庁の船が着てくれたので助かった。
場所は埠頭の一角。
そこに救助された人を寝かせるためのマットレスや体を温めるためのブランケットが山ずみされており、手際よく処置されていく。
すると遠くから車が近づいてくる。
降りてきた人間は針山さんだ。
「お前ら、無事だったか? ってお前らはそうそう死なないか」
それは置いといてだ。
と前置きをして話始めた。
「全員生存って本当か!?」
「ただ、橘は奪回されました」
「とりあえず良かったな、青木の判断は正しかったわけだな」
ええ。
とうなずくと針山さんは海上保安庁の人たちの元に向かった。
ようやく強化外骨格を脱ぐ。
そして地面に寝転ぶ。
空気がかなり温かさを帯びてきたとはいえ、ひんやりとしていて気持ちが良い。
ゆっくりと眠気が襲ってくる。
この後どうなるかはわからないが、とりあえずのその眠気に身を任せて目を伏せて本格的に寝ることにした。
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目が覚めるとすっかり朝で、なぜか清潔なベッドに寝かされていた
「ん?」
そして、なぜか足元の方に点滴を吊るしておくスタンドがつけれており、ついでに足が固定されている。
服は入院患者が着ているような薄手のパジャマだ。
何が起きているのか全く理解できないのであたりを見渡すが、ごくごく普通の病院だ。
「一体なにが起きているんだ?」
とつぶやいていると、枕元にナースコールがぶら下がっているのでつかんで押そうかどうか迷っていると、病室のドアが開いた。
「あら? お目覚めですか?」
と中年の看護師が声をかけてきた。
大分頭はすっきりしているので、うなずきながら。
「ええっと、何が起きているんですか?」
「まぁまぁ、まずはご自身の名前っていえますか?」
「ええ、山上奥谷です」
うんうん。
とうなずきながら手もとのボードに何かを書き込んでいる。
「ご気分はいかがですか?」
「元気ですけど、なんで足が固定されているんですか?」
そこで看護師は申し訳なさそうに。
「腕に点滴ができないので足から点滴をおこなっているんです、変に動くと危ないので固定させてもらっていました」
といいながら足の拘束を解いてくれた。
そして、足の甲にはテープで固定された点滴針が刺さった場所が見える。
「それにしても、若いのにたいへんね、航空機事故で左手がとれちゃうは、右手もそれ妙な薬品を被ってなっちゃたんでしょ」
「んん?」
かなり大切なところがずれている気がする。
話を聞いていると、俺が航空機事故の被害者になっている。
確かに救助の混乱のなか、片腕がなくてもう片方の腕も明らかにまともじゃない人間が倒れていたら確かに誤解されても仕方がないだろう。
「え、いや違いますからね」
「まぁ、何があったのかは知らないけど詳しくは先生と話してね」
別の仕事もあって忙しいのかそれだけ残して部屋を出て行った。
追いかけようとするが、点滴が刺さっているのでうかつに動けず、結局横になることにした。
「参ったなぁ」
とりあえず武装に装備されている通信機能を起動させて淡雪に連絡を取ることにした。
「そういえば、入院費用とかどうなるのかな?」
当たり前だけど今はほぼ無一文。
淡雪が来るまで移動できそうにない。
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「遅れてすいません」
淡雪に頭を下げられるのは非常に気まずいので、
「いや、こっちもあんな場所で寝ていたら勘違いされるからごめん」
とこっちも頭を下げる。
すると針山さんが愉快そうに。
「いくら探してもいないから驚いたが、まさか重傷者扱いで病院に担ぎ込まれているのは流石に予想外だ」
「でも、いま調べたら猛烈な疲労と骨折やらで普通なら確かに重傷者だったんですよ、救急隊員の人は悪くないと思います」
「ああ、そうか山上の体はガンガン直ってくだっけか」
そこで針山さんは居住まいを正して。
「で、山上、嬢ちゃんからも話を聞いたが改めて話を聞きたい、あの時何が起きていたんだ?」
「ええっとですね」
あの時の飛行機の中でのことを思い出しながら口を開いた。
明日も頑張ります。




