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血を吐いた口元と流した血涙を拭い、立ち上がった俺をリトラと四天王が困惑した表情で見ていた。
「ご、ご主人様・・・大丈夫なのですか?」
「・・・ククククク・・・・・あぁ・・・最高の気分だ・・・・・」
リトラが俺に声を掛けると四天王達は跪き俺に頭を下げていた。
「陛下・・・いえ、最早〝王〟等と言う器では御座いませんな。これからは〝主〟と呼ばさせて頂きます」
「あ、あたいはご主人様と御呼びしても宜しいでしょうか?」
「・・・・・フッ・・・呼び方なんぞ如何でもいい・・・好きにしろ。それより・・・先ずは服だな。お前達の主として相応しい服を用意するとしよう。その後はマサトの所に行く」
「「「「御意!」」」」
歩き出した俺の後に四天王達が付いて来る。本当の意味で彼等の主としての力を得たと確信し、非常階段へ向かった。
「ご主人様・・・・・」
非常階段へと続く扉に手を掛けた所でリトラの呼ぶ声が聞こえて振り返った。
「何なんですかその口調は!その翼とか角もです!いい歳して中二病でも患ったのですか?!確かに強大な力を得たようですが慢心するなどご主人様らしくありません!それと、貴方達もなんですか!忠臣で在るならば先ずは諌めるべきでしょうが!」
「ぐはっ!」
リトラの苦言に胸がえぐられた。三十過ぎて中二病とか言われるのはマジでキツイです。
「それに・・・私は以前の貴方の方が・・・良かった・・・です・・・・・」
消え入りそうな、今にも泣き出しそうなリトラの言葉に胸が締め付けられた。
俺は頭を掻きながらリトラの元へと歩き、彼女を抱きしめた。
「ごめんリトラ、俺が悪かった。お前の言う通り慢心してたよ。許してくれ」
リトラの頭を撫でながら、どんなに強大な力を得ても惚れた女には勝てないなと嘆息した。
603号室へと帰り鏡を見た。背中の翼は上半分が黒でそこから徐々に白くなっている。
側頭部の角は斜め前方に向かって伸びているが視界範囲外でギリギリ収まっていた。
そして、髪は左右に黒と白の半々になっていた。
これでは中二病と言われても仕方ないと、ちょっと落ち込んだ。
「ご主人様、翼は仕舞われた方が宜しいのでは?室内では邪魔でしょうし」
そう言えばリトラの翼は出し入れ自由だし、俺も出来るだろうと仕舞っておいた。うん、自在に出し入れ出来るな。角は・・・仕舞えないのか、残念だ。
通販で買った服・・・と言ってもいつも着ているスウェット上下のサイズ違いだが。まぁ着がえてマサトの所に向かった。
マサトの部屋、601号室の呼び鈴を押そうと手を伸ばすと、デミスがそれを止めた。
「あ、ご主人様、あいつ呼び鈴押しても出てこねぇんだよ。鍵は開けっ放しだから気にせず入って良いんだって」
ん?デミスは何度も来てるって事か?案外上手くやってそうだな。
「無用心・・・と言っても誰も来ないから良いのか?一応聖女が居るんだし鍵位・・・・・なんか奇声が聞こえるけど・・・大丈夫なのか?」
「・・・・・まぁ、マサトだし?」
解った様な解らない様な、もう慣れました臭が半端なくする返事が返って来たが、それで納得するしかなく部屋へと入って行く俺達だった。
ここまで読んで頂き有難う御座いました。




