45-2
奴は俺の放った炎弾を交わして上空へと飛び上がった。
「アハハハハ!その様な攻撃が当たる物ですか!地を這う虫けら共め!嬲り殺しにして・・・グベッ!」
奴は炎弾を交わした勢いのまま上空の自動修復された結界にぶち当たって気を失ったようで、そのまま城の周囲の地上部分へと落下して行った。
呆気に取られた俺達が呆然と落ちて行く奴を見送り、ドサッと墜落した音が聞こえて我に返った。
奴を捕らえに行かなくてはと非常階段へと身体を向けた時、リトラが俺達を止めた。
「お待ち下さい!・・・私の出番だと思い翼を出したのですが・・・・・その・・・せっかくなのでここでお待ち下さい」
「あ、ああ、解った。大丈夫だとは思うけど、気を付けてね」
そう言や黄金龍だったね。すっかり忘れてたわ。
空中戦をやるつもりだったのだろう。残念な結果に終って意気込んだ自分が恥ずかしかったのか、顔が少し赤かったのは見なかった事にしよう。
飛んで行くリトラを見送り周囲を見渡すとマサトが居ない事に気が付いた。
「あれ?誰かマサトを知らないか?さっきまでここに居たと思うんだけど」
「そう言や、あたいの後ろにさっきまで居たんだけど・・・何処行きやがったんだ、あいつ」
「ん~・・・あいつの事だ、何か考えが有って自分の部屋にでも行ったんだろ。天使を喰らったら見に行ってみるか」
と、そこに天使をぶら下げたリトラが帰って来た。
「・・・・・あ~・・・まぁご苦労様。でも足を持ってぶら下げてくるのは如何かと思うぞ。色々見えてるし・・・・・」
何かローブ?が完全に捲れてて逆さ照る照る坊主にみたいになっていた。
「細かい事は如何でも良いではありませんか。それよりも気を失っている間にサクッと食べちゃって下さい。あ、性的な意味でも構いませんよ。何でしたら、それ専用の奴隷にして頂くと言うのも有りですね」
「いや、普通に喰らうだけだからね?能力的な意味で。前にも言ったけどリトラ以外とそう言う関係になる気は無いから」
「私はご主人様が何人囲ったとしても気にしませんが・・・・・ご主人様を独占出来ると言うのは嬉しい限りです」
もしかしたら試されているのかとも思ったが違ったらしい。
ハーレムか・・・考えた事もなかった。って今はそれ所じゃないな。
魔王の時と同じ様に顔に手を当てて吸収する。反属性の為か抵抗が強く、多少時間は掛かったが取り込む事には成功したのだが・・・・・
「ぐっ!・・・グアアアァァァ・・・・・!!」
取り込んだ聖属性と元々の闇属性が反発しあい体内で暴れまわる。
全身を切り裂かれる様な痛みに視界は明滅し、意識が飛びそうになる度に激痛で呼び戻された。
「ガ・・・ァ・・・アアアアァァァアアアァァァァ!!」
体内で属性が反発する度に破壊されて行く魂と身体が修復されて行き、耐性を得ると共に外見が変わって行く。
身長が伸び、側頭部からは角が、背中からは翼が生え、全身の筋肉が肥大した。
「ぅあ・・・ガハッ!・・・・・ぁ・・・オオォォアアアァァァァ!!」
力が湧いて来る。魔王を取り込んだ時以上の力だ。
俺は反発する属性を内包し制御下に置いた、魔王や天使を完全に超えた存在へと変貌していた。
ここまで読んで頂き有難う御座いました。




