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突然現れた男性が魔王をボコボコにしている件。
正直訳が解らなかった。今現在も目の前で起こっている現実が信じられず、唯唖然と見ている事しか出来なかった。
俺達が固まって暫くすると玄関から暢気な声が聞こえて我に返った。
「主様~!靴、靴!靴脱がなきゃダメじゃないの?!」
「そうですよ!幾ら急いでいたからって拙いんじゃないですか?!」
振り返るとそこには金髪の男性と、今まで見た事の無い青銀の髪に犬の様な耳と尻尾の付いた女性が居た。
「へっ?!じゅ、獣人?!な、何で・・・・・」
「ん?・・・おお、すまんすまん。緊急事態だったみたいだからついな。ちゃんと掃除すっからちょっと待っててくれ、先にこいつを始末するからよ」
声を掛けられ殴るのを止めた男が左手一本で魔王をアイアンクローで持ち上げると、何時の間にか彼の腰には刀が下がっていた。彼は刀を右手だけで抜き放ち魔王を一閃すると、魔王は切り口から内側へと吸い込まれて行った。
「な・・・何が起こってんだ・・・・・消え・・・た?・・・・・助かったのか・・・・・」
魔王が消えた時には既に刀は鞘ごと無くなっており、彼がその場で靴を脱いで玄関まで歩いて行くと床が綺麗になって行った。
次から次へと起こって行く理解不能な現象に俺は困惑し、得体の知れないこの男に恐怖した。
「これでよしっと。それじゃあ先ずは・・・自己紹介からかな。俺の名はパンドラで、この子はライラ、こっちはケントだ宜しく」
屈託の無い笑顔でパンドラと名乗る男とその連れに警戒しながらも部屋へと案内しテーブルを挟んで話をした。
「え~っと・・・色々有り過ぎて何と言ったら・・・いや、先ずは助かったよ、有り難う。それで、君達は何者なんだ?それと俺に何の用なのかって事なんだが・・・・・」
「あ~解りやすく言うとだ、俺は元日本人で異世界転生者だ。で、こっちの二人はそこで知り合ったと。ここへ来た目的は魔界と天界に掛けられているちょっかいを止めさせる為だな」
「パンドラさん、貴方が俺達より強い事は解ったが、可能なのか?相手は異界の神で、しかも二人だ。とても勝てるとは思えないんだが」
「そうだな・・・先ず本当に〝神〟なのか?〝神の如き力を持った存在〟の間違いじゃ無いのか?そこが重要だ。本物の神ならどう足掻いても勝てないだろうし、今現在こうしている間にも処分されていてもおかしくは無いと思うんだが・・・その辺は如何思う?」
「・・・・・何とも言えないな・・・魔王を送り込んで来たのはゲームを続けたいだけなのかもしれないし、天神と邪神がお互い牽制しあって簡単に行動出来ないだけかも知れない・・・・・」
「いやいや、どちらだとしても別の星でやり直せば良いだけだろ。魔力の無い星なんて探せば幾らでも有ると思うんだ。俺が思うにそいつ等は多分、今の俺と似た様な存在で、直接ここに来れない理由が有るんだと思うぞ」
「ここに来れない理由?」
「例えばだ、魔力の無い世界では消費した魔力を補充出来ない・・・そして魔力の減少がそのまま神の如き力の減少に繋がるとか・・・後は迷宮を維持する為に常時魔力を放出していて移動出来ないとか・・・そんな所かな」
「・・・・・もしそうだとしてですよ・・・似た様な存在だと言う貴方はなぜ平気なんです?・・・・・貴方は・・・一体何者なんですか!?」
「俺か?俺が平気なのは周囲の物を取り込んで魔力に変換出来るからだ。何者かか・・・さっきの答えじゃ不満みたいだな・・・・・そうだな・・・創造神を名乗る者の全てを奪った男・・・これで良いか?」
彼の言う言葉の意味が解らずに一瞬呆けてしまったが、直ぐに思い至った。彼が神の如き力を持った存在である事に。
「まぁ俺の事は置いといてだ、今後の事を話したい。天神と邪神の事は抜きにして、今のこの生活を続けたいのか、それとも元の生活・・・人間に戻りたいのかって事なんだが」
「な・・・何を言って・・・・・」
「ああ、勿論全てが元に戻る訳じゃないぞ。時間を巻き戻す事は出来ないからな。出来るのは迷宮を消し、君等を人間に戻して戸籍と住む所を用意する位か。後は・・・そうだな、事業を起こす位の資金は与えよう。でないと生きて行けないだろうしな」
事態が好転した訳でも無いと言うのに今後の事を話し始め、人間に戻るかどうか選択を迫ったりと、目まぐるしく変わる状況に俺達は呆気に取られていた。
ここまで読んで頂き有り難う御座いました。




