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某月某日AM6:00
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【魔王城@603号室】
つい先程迷宮の出入り口となる魔法陣が起動しました。
TVのニュースでは十二ヶ所有る入り口の内の南、六時方向の出入り口
前に自衛隊の方達が陣取っている様です。
まぁ何処から入っても同じ所に出るんですけどねw
地下10階のコンセプトは『春』
中央の湖を囲む草原と果樹に迷宮でしか会う事の出来ない可愛い
動物達と触れ合える自然公園となっております。
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「・・・・・っと。アクア、自衛隊の人達と接触したら教えてくれ」
「畏まりました」
因みにアクア本体は風呂場だが、水さえあれば幾らでも分体をその場に送る事が出来るのだそうだ。
今俺と話しているのはモニター横に置いて有る水入りのコップの中に居るチビアクアだ。
「お、結構反応が早いな・・・・・『ケモ耳希望』『モン娘は何階に居ますか?』って・・・お前等ぶれないな・・・・・・・」
同日AM7:00
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【魔王城@603号室】
TVのニュースによると今し方自衛隊の調査隊が迷宮に入りました。
小銃で武装しといて調査隊とか言われてもねw
ちゃんと自然公園だと知らせて有るのですが、魔王の言う事だから
信じられないのは仕方ないですけどw
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AM7:20
「ご主人様、自衛隊の方々が参りましたので交渉に入ります」
「お、宜しく頼むよ。前にも言ったけど出来るだけ穏便にね」
「・・・・・はい、それは解っておりますが・・・隊長さんが話を聞こうとしなくてですね・・・・・銃を撃ち続けておりまして」
「は?・・・・・こっちから攻撃してないのにか?」
「はい・・・・・あ、弾切れの様ですね・・・・・次は銃剣で斬り掛かって来ましたけど無力化しても宜しいでしょうか?このままでは話し合いになりませんし」
「ああ、方法は任せるよ、怪我さえさせなきゃ好きにやってくれ」
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【魔王城@603号室】
調査に来た自衛隊の隊長が無抵抗で対話を望む私の代理のアクアと
言う水の精霊に他の隊員が止めるのも聞かずに銃を乱射し、弾切れ
になると銃剣で斬り付けて来ました!
この日本でこの様な事が許される筈が有りません!
皆さんからも抗議の声を上げて頂けると助かります!
どうか一般開放に向けて御力添えを!!
因みに隊長さんはアクアに身体の中と外から気絶するまで洗われた
そうです。
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この後、このコメントがTVで報道され、自衛隊が無線で連絡を取ろうとしたが無線が通じず、焦った本部長が一人で迷宮に突入しようとした所を取り押さえられると言う一幕があったが、それもTVで報道されてしまい始末書を書く羽目になったと言う。
俺は普通に携帯が使えたから気が付かなかったが、迷宮内では無線だけでなく一般の携帯も使えない事が判明した。
AM8:00
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【魔王城@603号室】
自衛隊の方が隊長と女性隊員を残して地下9階へ上がりました。
地下9階のコンセプトは『夏』
アクアの水流操作による流れるプールがメインの遊泳施設となって
おります。
更衣室やシャワールームだけでなく各種浮き輪も用意してあります。
尚、置いて行かれた女性隊員は動物達と戯れております。
楽しんでくれているのは私も嬉しいのですが・・・・・仕事しろよw
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この頃自衛隊本部では別部隊を中に入れるか協議中だったが、マスコミの目もあり俺のコメントで叩かれる要素が増える事を恐れた政府と上層部から許可が下りる事は無かった。
AM8:30
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【魔王城@603号室】
つい先程、現状公開出来る最上階である地下8階に自衛隊の方達が
到着しました。
地下8階のコンセプトは『秋』と言っても食欲のですがw
八つの釣堀と各種木の実や茸が盛りだくさん。
勿論言うまでも無く毒等は一切ありませんw
これら迷宮内の施設の使用や木の実等は全て無料で提供いたします。
木の実等は迷宮から出すと消えてしまいますのでお持ち帰りは不可
ですけどねw
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「ご主人様、視察を終えた皆さんが下に降りる様です」
「ん・・・上手く行くと良いな・・・・・お、『『冬』はやっぱりスキー場ですか?』か、やっぱり解るよな。『その予定ですが宿泊施設を挟みたいと思っているので来客数次第です』っと・・・・・『雪女きぼんぬ』・・・ねぇよ・・・・・」
色々有ったが上手く行く事を祈ると共に、自衛隊の隊長さんの行く末を案じつつ迷宮開放初日は終った。
ここまで読んで頂き有難う御座います。