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13

入り口から直線距離にして約700m程に有る湖は横に広い楕円形をしていた。

湖の周囲5m程に木は生えておらず、ベンチや椅子とテーブルが幾つか見える。

そして湖面を三分割する様に左右の端から1/3の所には木で出来た橋が掛けられていた。


「あ、黄色いアヒルっぽい水鳥がいますよ。あの子供がお風呂に浮かべて遊ぶ奴にそっくりで可愛いですねぇ・・・・・」


「迂闊に近寄るなよ、何処に管理者の精霊が潜んでいるか解らん」


『警戒する必要は有りません。皆様ようこそお越し下さいました、歓迎致します』


警戒しつつ周囲を探っていると、湖の中心付近から美しく澄んだ声が響いてきた。


「管理者のお出ましか・・・何処だ!姿を見せろ!」


湖に向けて小銃を構えた俺の呼び掛けに応える様に、湖の中心が盛り上がり人型をなして行く。


「始めまして。私は主より迷宮の地下を任されております『アクア』と申します。皆様は自衛隊の方でここの調査に来た、と言う認識で間違い無いでしょうか?」


「でたな化け物め!総員構え!・・・・・如何したお前達!構えんか!」


「いや、だってなぁ・・・・・」


「ああ・・・・・隊長、相手は水ですよ?銃弾なんて効く訳無いじゃないですか」


「それに、言葉使いとか丁寧で友好的な感じだしな」


「任務は調査だし、対話が可能なら先ずは話し合いからでしょ・・・・・早くねこちゃん撫でたいし」


「お前等ぁ!もう良い!俺一人でやる!喰らええぇぇ!!」


異形の者を前にして何とも不抜けた部下達を放置して俺は戦闘を開始した。


構えた小銃から「タタタン!」と三点バーストで発射された弾丸がアクアと名乗った精霊へと着弾・・・・・したが、そのまま通り抜けてしまうと副隊長から呆れ声が。


「ほら、無理ですって。如何考えても勝てませんから、話し合いしましょう隊長」


「落ち着いて下さいって。任務は調査ですよ隊長」


「そちらの方々の仰る通りです。この地に生まれ出でて300年、嘗て水神と呼ばれ奉られし私に人が敵う道理等御座いません。無益な行いは御止めになって下さい」


俺は隊員達と精霊の声を無視して小銃を撃ち続けた。


「くそっ!小暮!いや、誰でも良い予備の弾を!!」


「嫌ですよ。無駄だと解ってて使ったら何言われるか解ったもんじゃないし」


「そうですよ隊長、本部に報告する時だけならまだしも、報告書を読んだ上層部からも叱責されますし、減棒とか洒落になりませんから。隊長は独り身だから良いでしょうけど、私は家族持ちですからね。そんな事になったら嫁に何言われるか・・・・・・」


「副隊長~、隊長はあんなだし、私周囲の散策に行っても良いですか?」


「ん?・・・ああ、そうだな、行って良し!但し余り構いすぎるなよ。ねこは騒がしいのは嫌いだろうしな」


「なっ!榊!勝手に許可を出すな!越権行為だぞ!待て小谷!一人で行動するな!何が有るか解らんのだぞ!くそっ!貴様か・・・貴様が誑かしたんだな!駒田!至急本部に応援要請を!!」


「えぇ?!別に何もされて無いのに応援要請なんて出来ませんって。隊長、落ち着いて下さいよ」


俺は弾の切れた小銃に銃剣を装備して精霊へと立ち向かい、何度も突き刺し切り付けたが全く手応えは無かった。

だが、それでも魔王の手先に屈する訳には行かないと戦い続けた。


「隊長、もう良い加減諦めて下さい。我々は何も危害を加えられていないじゃないですか。そろそろ話し合いをしたいんですよ」


「五月蝿い!お前達はこいつに操られているに決まっている!今助けてやるからそこで待ってろ!くそっ!この!」


「仕方ありません。このままでは埒が開きませんし・・・・・私の方で無力化致しますが宜しいでしょうか?ご主人様には出来るだけ穏便にと言われてますので怪我をさせる様な事は有りませんが」


「あ、そうして貰えると助かります。普段は冷静な方なんですけどね・・・・・一度火が付くと手が付けられなくて」


「榊!お前何を言って・・・・・うおっ!・・・くそっ!離せ!」


俺の足元から水が競り上がり、あっと言う間に頭部を残して全身を拘束されてしまった。

それでも諦められるかと足掻き声を上げ続けた。


「・・・・・これでもまだ大人しくなりませんか・・・・・では、失礼して・・・・・・・」


「くっ!・・・次は何を・・・・・なっ!止めろ何故服を・・・ひっ!・・・あっ・・・やめっ・・・・・あっ・・・あ―――――」


体中の穴から水が浸透し、全身を中と外から洗い流していく圧倒的な洗浄力と言う快楽に俺の意識は押し流され・・・いや、洗い流されて気を失った。

ここまで読んで頂き有難う御座いました。

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