66話 ステンバーイ
前回のあらすじ「エーテルすげぇー」
*今回作者の都合でいつもより短い話になってます。今日の18時に追加で投稿します。
―異世界会議前日の夜「薫宅・居間」―
「充電オッケー……メモ帳に……」
明日は遂に異世界の各国の代表が集まる会議が始まる。そんな人たちの前で発表もするので、念入りに荷物をチェックして、忘れ物が無いよう確認している最中である。
「念入りなのです」
「なんせ異世界の代表たちが一堂に集まるんだもの。そんな所に入れるなんて一生にあるかどうか……しっかり取材して、小説に生かさないとね」
「そう……ですね」
「どうしたの?」
「いえ! なんでもないのです」
「そう?」
そう言って、笑顔を見せるレイス。この頃、様子がおかしいとは思っているが、僕からその事に関して訊くことはしていない。しかし……その原因が今回の会議と繋がっている可能性はあるとは思っている。ただ、それの何が理由になっているのかは分からないままである。
「それで明日は昌さん達も一緒に来るんですよね?」
「うん。僕たち以外に泉とフィーロ、それと昌姉にマスターと直哉と他2名。それだから9人で会議に出席だね」
「大人数なのです」
「そうだね……と、準備完了!」
荷物の確認が終わった。これで異世界の会議に出席する為の準備は整った。後は寝るだけ……あ、そういえば。
「魔導書も更新しとこうかな?」
「そういえばあれから一回も直してないのです」
「そうなんだよね。使える呪文も増えたしそろそろと思っていたし……それに会議で『見せて欲しい』って言われた時も考えるとね」
僕はアイテムボックスから魔導書を出して、自宅の庭やカーンラモニタで練習して出来るようになった新しい魔法についての情報を書き込んだり、既存の魔法で、新たに分かった事を書き足したりしていく。時には図や絵を載せたりもして、その作業はおよそ1時間ほど掛かった。そして……最後に内容に間違いが無いかを確認していく。
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―「薫の魔導書」―
火属性
火弾:火の玉を一つ飛ばします。物に当たると火の粉を撒き散らします。
火連弾:火の玉を複数飛ばします。物に当たると火の粉を撒き散らします。
水属性
水弾:水の玉を一つ飛ばします。物に当たると水が飛び散ります。
水連弾:水の玉を複数飛ばします。物に当たると水が飛び散ります。
氷弾:氷の玉を一つ飛ばします。尖った状態にも出来ます。
氷連弾:氷の玉を複数飛ばします。尖った状態にも出来ます。
氷壁:氷の壁を目の前に出します。かなり堅く砕けにくいです。
津波:水属性最強の呪文。大量の水を一気に対象へぶつけます。
風属性
風弾:風の玉を一つ飛ばします。物に当たるとはじけて当たった対象を吹き飛ばします。
風連弾:風の玉を複数飛ばします。物に当たるとはじけて当たった対象を吹き飛ばします。
鎌鼬:風の刃を複数飛ばします。また鵺が黒刀の時には、風の力でより鋭い斬撃を与えられます。
地属性
石弾:近くの石を一つ飛ばします。強さは石の硬さによっても変わります。
飛翔:自由に空を飛ぶことが出来ます。
虚空:対象の重力を減らし、対象を軽くさせたり浮かせたりできます。
呪縛:対象の重力を増やし、対象を束縛します。
獣王撃:鵺を籠手にした時に利用可能。打撃の際に斥力は解放してダメージを与えます。
彗星:地属性最強の呪文。核となる物体の重力を増やし上空から相手に当てます。
神霊魔法
雷撃:対象の頭上から雷を落とします。当たった相手を麻痺させます。
雷連撃:対象の頭上から雷を複数落とします。当たった相手を麻痺させます。
雷刃:鵺を刃状にした時に利用可能。斬撃に雷撃の追加ダメージがはいります。
無属性魔法
異世界の扉:専用魔法陣から異世界に行けます。
鉄壁:防御力を上げます。装飾品にも有効です。また身体能力向上もあります。
氷結:物体を瞬間凍結させます。ただし範囲は超近距離で、生物には使用不可です
沸騰:水を一瞬にして沸騰させます。
光球:周囲を照らします。目潰しにも使用できますが自身にも影響するので対策はしましょう。
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「絵が可愛いのです!」
「誤字とかも直して……後は鉄壁使用時の追加内容も直したよね……」
防御魔法である鉄壁について調べてみると、多少の身体強化があることが分かった。握力計の数値が20も上がったのには驚きだった。
「こう見ると全属性の連弾系が使えるのって凄いのです。さらに獣王撃に彗星なんていう強力な呪文もありますし」
「でも、こう見ると火属性には向いてないんだね僕」
「エクスプロージョンとか……後はトルネードは使えなかったですしね」
「でも、風属性に適性がないのに鎌鼬が使えるんだよね……炎を鵺に纏わせるのも試したけど、あちらは微妙だったのに……どうして、そんな違いがあるのか不思議だよ」
僕が色んな呪文を使える事から、試しにカシーさんたちとカーターたちの指導の下、津波を習得の際にその2属性も試してみたがダメだった。具体的には、適性が無い属性の最上級呪文を発動させようとすると、魔法は発動せず、気分も悪くなってしまう事が分かっただけだった。
他にも、色々な魔法が使えるとはいえ、火属性に適性があるカーターたちと比べて、僕たちの火属性の魔法は弱く、また鎌鼬という魔法は、泉のウィンドカッターより威力が弱いというのが分かっている。
「そういえば……アレはいいのですか?」
「雷霆は練習中だし……しかも上手くいってない。鵺を手に入れたお陰でかなり形にはなっているけど……持続できないからな……」
ただカッコ良さと強さ、そしてロマンを追求した魔法……皆をビックリさせるために、アレの練習は誰の目にも触れない場所でやっているため、誰からのアドバイスも受けられず、失敗の連続だったりする。
「でも、アレって使う場面とかあるのか分からないのです。もし、思った通りに出来たとしたら……」
「まあ……ロマン呪文だからね。しょうがないよレイス」
「それはそうなのですが……今更、気軽に使えない魔法を作っても意味が無いように思えて来て……」
「まあ……ね。こんな危険な魔法は見るだけが一番だからね……って、もうこんな時間!? さっさと寝ないと……」
時刻はすでに深夜12時を過ぎていた。僕は加筆した魔導書をアイテムボックスの中に収納して、さっさと床に就くのであった。




