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48話 武器の性能を試してみよう!

あらすじ「暗黒武器とか憧れるよね!」

―「魔法研究施設カーンラモニタ・演習場」―


「……なるほど」


「あたしはいつも通りッスけど……何か違うんッスか?」


 演習場に場所を移した僕たちは早速、武器を使用するとどうなるかを確かめるために的に向かって攻撃を仕掛けたのだが……泉たちの視線の先には自分たちが出した巨大な氷で粉々になった的があった。


「何て言うか……武器無しと比べて魔法が使いやすかったわ。負担が少ないというか……」


「魔法使いの武器は基本的に魔法使用時の負担減が目的なの。だから、より強力な魔法も使えるし、より細かい操作を必要とする魔法も使えるようになるわ」


 そう言ってカシーさんが紐上の炎を杖の先端から発生させる。持つ部分が杖で長すぎるが、鞭のような武器となった。


「はあ!」


そして杖を振るうと炎の鞭が的に向かって進み、遠くにある的の中央に当たる。そして、もう一振りすると、今度は的の支柱に絡み付く。しかし、的は延焼せずにその姿を保っている。


「凄い……燃えていない」


「これはファイヤー・ウィップって名前でね。武器があれば、こんな風に対象を燃やさずに縛り付ける使い方も出来るってわけ」


「なるほど」


「ふーむ。つまり人がパソコンの本体なら魔石や精霊はソフト。専用の武器はコントローラーってところか」


「パソコンとかソフトとか良く分からないが、まあ理解出来てるなら問題無いだろう」


 ワブーとは違って僕は意味が分かるので、直哉の言いたいことはなんとなく分かる。


「ウィップか……」


 僕は鵺を取り出し、形をイメージするすると全身が真っ黒な鞭が出来る。


「はあーー!!」


 鞭を扱った事は無いが、振ってみると的に当たる。そしてそのまま絡みつくイメージをするとそのまま的に絡みついてくれた。


「できた!!」


 この武器は『ここに当たれ!』とかイメージすることで、自動的に調整・追尾をしてくれるみたいだ。これって凄く便利だな……。


「……あれって、どうなってるのか説明して欲しいのだが?」


 直哉が近くにいるワブーに質問する。


「俺にどう説明しろと?」


「なのです……」


 僕の武器を見て、1人を除き、ここにいる全員が呆れたような表情を浮かべる。それも仕方がない話だろう。何せ作成時に魔法の技術は使っていても、この武器の形を変えるのには魔法は一切使っていないのだから。


「さすが薫兄……あれなら様々なコスプレが出来るわ……」


「お前も大概だな……コスプレなんて。魔法先進世界のやつらが困ってるのに……」


「だって、私の本業だし」


「それはそうだが……とにかくだ。あれにどうツッコミを入れればいいのか分からん」


 そう言って、唸る直哉。『そんなの魔法の力です!』で、とりあえずはいいのではないかと思うのだが。


「そういえばなんッスけど……それで物を引き寄せられたり、逆に自分の体を移動させたりとか出来るんッスか?」


「え? それはどうだろう……」


 フィーロの質問は当然であり、ここまで自由自在に動くのだから、それ位は出来てもおかしくはない。さっそく僕はイメージを膨らませて……。


「ストップだ!! ストップ!! 引っ張るはともかく、自分の体を移動させるとしたら、肩が脱臼するぞ!!」


 いざそれをやろうとしたら、危険だという事で直哉に止められる。


「物を引き寄せるならまだいい。自分を片手で引っ張るなんて使い方したら、負荷が大きすぎて大変な事になるわ!!」


「じゃあゲームみたいな使い方は無理ってことッスか?」


「あんなのは地球にも無い! 第一にそもそもあんな風に人を持ち上げるほどの小型モーターが無い。仮に武器がフックショットみたいな使い方が出来ても絶対に体を壊す! まあ……あんなのパワードスーツ装着とか無重力とかなら使えるかもしれないが……」


「じゃあ、鉄壁と浮遊を使った状態なら可能ってことなのですか?」


 レイスの発言を聞いて、皆が静かに直哉の方を見る。直哉が一回皆の顔を見渡した後、目を瞑って思考する。


「……多分」


「じゃあ……試しにやってみる?」


 僕は鉄壁をかけて浮遊を使って体を浮かして鞭に引っ張ってもらうようにイメージしてみる。


「うわ!!」


 そのあまりの速さに、そのまま的を通り越して、演習場の壁に激突する……少し痛い。


「ちょ! 大丈夫!?」


「いてて、大丈夫……勢いが強すぎたみたい。もうちょっとゆっくりやればよかった」


「いや!? 今の速度なら骨折してもおかしくないのだが……魔法って本当に規格外だな」


「あれと私達を比べられるのはちょっと……」


「同感だ。あれをカシーがやったらどこか折れていてもおかしくないぞ」


 何度も驚きの連発を起こした僕に、ついにカシーさんたちが僕を『あれ』呼ばわりしてくる。


「そもそもこの武器が規格外ッス。好き勝手に形を変えるなんて……」


「そうね。私達のヨルムンガルドなんて魔石がセットできるように加工してもらったのに、薫兄の武器ってそれが必要なかったもんね」


 武器が出来た後、ドルグさんとメメが泉の武器を加工して、持ち手の部分を泉が使いやすいように調整したり、その持ち手の部分に魔石を嵌め込めるようにしてくれた。またそれに合う魔石もらっている。


 一方、僕の武器は形が変わってしまうため、特に手を加えることは無く、魔石だけを渡されてしまった。


「何か薫兄の武器って敵キャラが使うような物だよね」


「泉の武器が魔石を変えて必殺技が変わる主人公の武器って感じに対して、確かに僕のってそんな気がするかも……。もしくは闇落ちした主人公が一時的に使う中間の武器って感じかな?」


「そんなアニメ見たッスね」


「そんなのがあるのですか?」


「今度レイスも一緒に見るッス。なかなか熱い物語ッスよ!」


「うん!」


 今度、レイスが泉の家にお泊りする際の予定が決まったようだ。


「とんでもない武器ですね……」


「ああ。そうだな」


 声のする方に顔を向けると、カーターとシーエさん、それとそれぞれのパートナーであるサキとマーバがいた。


「ういッス。姉御!」


「こんにちはなのです。」


「あら。4人ともどうしたのかしら? ちゃんと仕事をしてるわよ?」


「見れば分かります。私達が来たのはドルグから報告があったからです『神霊魔法が使える情報とヤバイ武器が出来た』と……それを聞いてカシーが何か変な事をしてないか心配して見に来たんですよ」


「分かってないわよねそれ?」


「これまでの事を思い返してください」


 話を聞く限り、どうやら4人はカシーさんが暴走した際の抑止力として来たようだ。


「さすが薫……ついうっかりキレて敵をフルボッコにしただけあるわ」


「関係ないよねサキ?」


「もはや、何と声を掛ければばいいのか分からないだけだ。少し前から見ていたが形を変える武器なんて……」


「カーターの言う通りそうなんだよね。イメージするとこんな事も出来たし」


 悪魔の爪イメージをすると、手に武器がまとわりつき真っ黒な悪魔の籠手が出来る。


「鬼の手みたい」


「そうだね……鵺・籠手モードってところかな? 爪を展開出来たりするかな?」


 イメージすると指先の部分が伸びて、鉤爪みたいな武器になる。


「何か物語の悪魔みたいね」


「これで蝙蝠のようなの羽とサキが尖った尻尾があればね」


 サキとカシーさんが僕の今の姿を見て感想を言う。


「へえ~。悪魔のイメージってこっちの世界でも同じなんだ」


「もしかしたら、私達の知る悪魔とはそっちから迷い込んだやつかもしれないな」


 確かに。直哉の言う通り考えてみたら魔物側も転移魔法を研究して、僕たちの世界にやってきていてもおかしくないのか。


「まあ、話を戻すが……とりあえず3人の武器を用意出来た。これでこの前のような問題が来ても何とかなるだろう」


 戦争はゴメンだが、まあ街を守るために戦うぐらいは良いと僕は思っている。ただ泉は勘弁してほしいが……。


「いいえ。まだよ……」


「泉?」


「まだ服装がそれになってないわ!」


 まだって、そこですか。まあ、ハンター服を作るっていってたし、変な物が出来る事は無いだろう。


「という事で薫兄。作ったから試着してみて欲しいんだけど?」


「今、ここで?」


「うん」


 そう言って泉が服を何も無いところから出す。


「ふぇ?」


「薫兄には言ってなかったね。アイテムボックスよ。カーターさんが衣服をプレゼントしてくれたお礼にって」


「薫の持つ物には劣るがな」


「いいえ! これで十分です。むしろ助かってますから!」


 そう言って、慌てて衣服を僕に渡す。


「という訳で着て頂戴!」


 渡された白と薄紫の衣服……その場でその衣服を広げてみる。って……こ、これは!


「どう?」


「これ巫女服だよね!?」


「うん」


「うん。じゃないけど?」


 渡されたのは巫女服……しかも、袴は薄紫色のキュロットスカートで、白衣の部分は袖はあるのだが、肩の部分が丸見えである。


「いや。最初はハンター服をデザインしたんだけど、それだとどちらかというとカーターさんの方が似合っていたのよね。それでそっちはカーターさんにプレゼントしたんだけど」


 なるほど。アイテムボックスのお礼はそれが理由か。きっと豪華な素材をふんだんに使った鎧にも負けない強力な防具だったんだろうな。


「で、もう一度薫兄の服をデザインしたんだけど……薫兄の呪文名って和名でしょ? だから最初は真面目に男性と考えて忍者をイメージしたんだけど、カッコいいとも可愛いとも言えない服になって……そうしたら今度は陰陽師かなって、そうしたらフィーロが『陰陽師ってことは巫女服ッスかwww』って言ってきたからデザインしてみたら………そうなった」


「フィーロ?」


「いや~。ジョークッスよジョーク……あはは」


「フィーロ……そう言って、僕から目を逸らさないでくれないかな?」


「で、上は動きやすいように肩が見えるようして袖も大袖と小袖の中間ぐらいにして。下はキュロットスカートにして残りはニーハイソックスでカバーって感じかな。それと靴はシークさんに頼んで厚底草履を用意したわ。これにはこの柄が似合うんじゃないでしょうか。って話し合いしながら」


 確かに全体的に見て動きやすかもしれない。しかしこれは女性が着るものだ。男性が着る物ではない。


「それとカシーさんが話を聞いて『これはどうかしら』ってことでお面の方を提供してもらいました」


「え?」


 カシーさんもですか!! と思いつつ、泉が取り出したお面を見る。


「……ネコ? タヌキ?」


「タヌキね。そう翻訳されたし」


 泉が手にしていたのは口元が隠れていないタヌキのお面だった。そしてそれも渡される。


「……」


「そのお面の魔石って認識を阻害する作用があるの。もしそっちで魔法を使う時に役に立つかなって思って用意したのよ」


「認識阻害……そんな魔法もあるのか。実際には、魔法って何でもありじゃないのか本当は?」


「そうでもない。魔法使いにはこの認識阻害が効かない。それに一度誰かと気付かれればその時点で効果が無くなってしまうしな」


「十分だと思うが……?」


 ライトに転移魔法、水の浄化魔法、通信魔法に認識阻害、それに僕たちが来たことが分かる魔道具をガゼポに仕掛けたってカシーさんが前に言ってたような……うん。直哉の言う通りで、魔法って何でもありだと思う。ここまできて、何で魔法で空が自由に飛べなかったのかが不思議でしょうがない。


「ねえ薫兄? ということで……」


「着ないから!」


 そう言って、僕はアイテムボックスにそれらに仕舞い込むのだった。魔石が嵌められているお面はダメだったが。


「せっかく防具が出来たのに」


「あら。凄い防具なのに……」


「かわいい服だったのです」


 『レイス……お前もか……!』と、僕は心の中でそう叫ぶのだった。


「あ、ちなみに第二弾は悪魔っ娘ね♪」


「いやだからね!!」


―魔法戦闘服「巫女服」を手に入れた!―

効果:月の雫によって強化された巫女服みたいな戦闘服です。着た状態で鉄壁を使用することでかなり強い防護服、また服に刺繍された魔法陣と魔石の効果で魔法の威力と速度上昇が付与されます。


―マジックアイテム「タヌキみたいなお面」を手に入れた!―

効果:『タヌキ?』をモチーフにしたお面です。魔石の効果で認識阻害効果があり、周りの人から見られても顔が覚えられにくいという効果があります。

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