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457話 ナイトオーシャン その2

前回のあらすじ「海に到着!」

―「フロリア女王が住む屋敷・プライベートビーチ」―


「ナイトプールなら知ってるけど……ナイトオーシャンは初めてかも」


「私もよ」


 父さんたちの様子を見ていると、そこに泉たちが到着。着くと否や精霊であるレイスたちは泉特製のビキニを着た状態で3人共ビーチチェアの方へと飛んでいってしまった。そして、白のビキニを着たフロリア女王と赤のビキニを着たリーリアさんは僕たちに「楽しんでね」と声を掛けつつ、トラニアさんを連れてビーチチェアとテーブルが置かれた場所へと行ってしまった。さらに、胸元にフリルが施されている白のワンピースを着たアリーシャ様もミリーさんと一緒にビーチチェアがある方へと行ってしまった。


「ひとまずは私達も海を楽しみましょうか」


 そして、最後にユノがやってくるのだが……サイドが紐の青みがかった紺色のワンピース水着を着ており、あからさまに僕の好みを付いてきた水着を着ていた。


「どうです? 去年の水着を参考に選んだんですけど……似合ってますか?」


 そう言って、腕で胸を寄せ、その谷間をより強調させながらユノが僕に尋ねてくる。思わずそこに目が行ってしまのだが、僕はすぐさま目を逸らし、泉たちも含めた4人で海へと向かった。


「あまり暑くないから、どうかなと思ってたけど……海の水も少し暖かいね」


「そうですね……おかげさまで楽しく遊べそうですね」


 海に触れながら楽しそうに会話を続ける泉とユノ。そこに僕は大きな浮き輪やフロートボートをアイテムボックスから取り出して、それを海に浮かべる。


「お、良いのがあるね……あかね」


 すると、母さんがあかねちゃんを連れて、フロートボートの上に乗る。そして、父さんがゆっくりとフロートボートを海へと押し出していく。そして、ユノと泉が浮き輪に乗ったところで僕たちも父さんたちと同じように海へと入っていく。


「こうやって寝転がると……ほら、ゆらゆらと波に揺られているのが分かるかな?」


「うん……何かふしぎな感じ……」


「こうやって浮かぶなんて、日常ではなかなかあり得ないですもんね」


「うんうん」


 波の揺らぎを初めて味わうあかねちゃんを見ながら、僕たちは何気ない会話を楽しむ。すると、泉が何かに気付いて何かに指を差した。


「あ、見て! この海……暗くて分からなかったけど、底が見えるぐらい透明度高いよ!」


 泉がそう言うので、海を再度見ると、外灯によって照らされている場所は底がくっきりと見えており、下の砂地が見えるほどに綺麗な海だった。


「ほんとだ……! おさかなさん……いるかな?」


「うーーん。どうだろう……こんなに人がいるから近付かないかな。もっと、深い場所まで行けば見れるかもしれないけど……」


「そうか……」


 残念そうにするあかねちゃん。ここで頑張ってお魚を捕まえて見せてあげようかと思ったのだが、ここは異世界なので、下手するとかなりグロテスクな魚型魔獣を引き上げる可能性があり、それを見たあかねちゃんがトラウマになる可能性が高いので止めておく。


「けれど……逆に言えばお魚さん達にご迷惑をお掛けすることなく遊べるということですから、悪いことでは無いですね」


「ユノちゃんの言う通り! 思いっきり騒いで遊ぼうよ!」


「うん!」


 そこにユノと泉が魚がいないことによる利点を上げ、落ち込むあかねちゃんの機嫌を取り、そのままこれから何して遊ぶかを楽しそうに相談し合っていく。そして、それらの道具を持っている僕へと皆の視線が集まり始めた。


「薫、海で遊ぶ道具ってどんな物を持ち込んでますか?」


「定番のビーチボール、それと水鉄砲……後、スイカ割りに砂遊び用の道具一式揃えてるよ」


「準備がいいね! 流石、薫兄!」


「いや、僕が用意したのその浮き輪とビーチボールだけで、それ以外は別の方々からの提供なんだよね……」


 今日の親睦会の前日のことなのだが、菱川総理からこれらの品々を笹木クリエイティブカンパニー経由で貰っている。その際に、菱川総理の息子であり笹木クリエイティブカンパニーの社員である榊さんが()()()()()()()()()()()()()に持って来たのだが、その際に「ゆっくりと休んできてくれと、是非とも成功させてきてくれだそうです」と言っていた。恐らく、菱川総理以外にも大勢の人達が一枚噛んでいるのだろう。


「スイカか……スイカ割りをやろうか!」


「僕が言った手前なんだけど……これ……」


 僕はフロートボートの上にアイテムボックスからスイカを出す。それは、大玉で……ブランド名が書かれたシールが貼ってあるスイカである。


「大きいですね……」


「うん。立派……って、明菜おばさんどうしたの?」


「いや……スイカ割りするには少々もったいないかなと思って……これ一玉1万は越える高級品でしょ?」


「そうなんだよね……で、後二玉あるんだけど……どうする? 本当に割る?」


「無理。もったいない……包丁でしっかりと切って食べようこれは」


「明菜の意見に同意かな。流石に……ね。それでだが薫。他にはどんな物をいただいたんだい?」


「他にも旬のブランド品の果物と……後、バーベキュー用にこれまたブランド品のお肉とお野菜に魚などなど……後は最新の電動式水鉄砲を貰ったよ」


「バーベキュー……一体いくらになるのかな……」


「数百万で済んでると思うよ……多分」


 それを聞いた母さんたちの顔が引きつっている。海水浴でやるようなバーベキューとしてはありえない金額だろう。この親睦会にどれだけ周囲が注目しているのかが伺える。


「何か分からないが……かなりヤバいというのは伝わった」


「そうですね」


 僕たちの表情を見て、カーターとユノも察してくれた。唯一、幼いあかねちゃんだけは僕たちの様子を見て首を傾げるだけである。


「何かあったの?」


「ううん。何でもないよ……今日のお昼はご馳走だから期待しなよ」


「わーーい!」


 ご馳走と聞いて大喜びするあかねちゃん。それを見た僕たちはこの話を切り上げ、再び海水浴を楽しみ始める。海で泳いだり、ビーチバレーしたり、水鉄砲で撃ち合ったり……その様子を見ていたビーチチェアでくつろいでいた皆も集まって楽しみ始める。


「いくのです!!」


「こいッス……ってうわーー!?」


「フィーロ!?」


 特注の水鉄砲で撃ち合うレイスたち。ただ、その威力が凄すぎるらしく、当たったフィーロが海へと吹き飛んでしまった。


「ミリー!!」


「了解!!」


「くっ!?」


「でかした!! とりゃーー!!」


 レルンティシア組とナイトリーフ組の2on2のビーチバレーが行われており、アリーシャ様のトスからのミリーさんがアタックを決めるのだが、それをトラニアさんがどうにかレシーブし、その出鱈目に飛んでいったビーチボールをフロリア女王が猛烈なアタックで相手コートに叩きこみ1点を取っている。


「砂でこんな風にお城を作るとはな……」


「楽しいね!」


「そうだが……父さんビックリかな。まさかここまでとは……」


「そう? もっと精巧に出来ると思うんだけどな……」


 母さんたちはリーリアさんと一緒に精巧な砂のお城を作っていた。それを見た父さんが少し困った表情をしているが……自分も同じ気持ちである。


「凄いですね……模型みたいに綺麗です」


「僕も驚きだよ……あんなのを作っちゃうなんて」


 僕は今日の昼食であるバーベキューの下拵えをしながら、皆の遊んでいる様子を伺う。結局、休んでいないような気もするのだが……。


「皆、手伝ってもらってゴメンね」


「いいよ。これはこれで楽しいし」


「そうだな。っと……こんな物かな」


 カーターがそう言って、マンゴーを綺麗にカットしてお皿に盛り付けていく。お皿にはすでに他の果物も置かれておりパーティーで見かけるような見事な盛り付けがされていた。


「カーターさんも器用ですね……」


「鍛練の一環でよくやってるからな。まあ……果物ではなく別の物だがな」


 意外な特技をみせるカーター。鍛練の一環ということだが何のためなのか分からないので、僕はそれを訊こうとした。しかし、そのタイミングでルーネさんが声を掛けてきた。


「薫さん。こっちはこんな感じでいいですかね?」


 そう言って、ルーネさんはお肉と野菜が刺さったたくさんのバーベキュー串が載っている皿を見せて来る。彩りも考えてくれたようで、野菜の赤や黄色などの色がバランスよく刺されていた。


「それでいいですよ。ありがとうございますルーネさん」


「薫さん。これの下拵えなんですが……」


「それは筋を切るように、この向きで切って下さい」


 今度は僕は手伝ってくれているこの屋敷のコック長に、分かるように一度実演して見せる。


「なるほど……こうですね」


「そうです。そうすることで食べる時の食感が良くなるんです」


「ふむふむ……」


 真剣に僕の話を聞きながら、下拵えをこなしていくコック長。ちなみにだが、ルーネさんとコック長以外にもこの屋敷で働いている方々が手伝ってくれている。その彼らも海で遊んだり、ビーチチェアで休んだりと交代しながら海を満喫している。


「この調子なら、準備もあっと今ですね」


「うん。おかげ様で大分楽に準備できたよ」


 僕はユノとそんな会話をしながら、手伝ってくれている人たちの姿を眺める。先ほどから気付いていたのだが、彼らは料理だけではなく、バーベキューという料理の食べ方やフルーツの飾り包丁や盛り付けなどにも興味津々の様子であった。また、料理に関わっていない人たちは浮き輪やビーチボールなどをじっくりと観察していたりと……遊ぶというより何か仕事をしているみたいな雰囲気がある。


「今日の親睦会……これが目的ですかね?」


「恐らくね」


 彼らの行動に気付いていたユノがそう話を切りだすので、僕はそれに対して肯定するのであった。

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