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441話 変異型アンドロニカス戦 その1

前回のあらすじ「主人公VSアンドロニカス」

―「旧ユグラシル連邦第一研究所 野外実験場」―


「うこjthじょr!」


 奇声を上げながら突撃してくるアンドロニカス。僕は鵺を黒槍にして迎え撃つ。石打の部分が左腕に飲みこまれているアンドロニカスの槍……同じ獲物だがこちらに利があるだろう。そこにアンドロニカスが槍の鋭い突きを繰り出す。それを僕が体を逸らして避けると、そのまま腕を振って横薙ぎを仕掛けてくる。そのタイミングで、僕は黒槍を回してその軌道を上へと逸らし、懐に入って『セイクリッド・フレイム』を放つ。


「jこgkh;おじぎrげふぇ!?」


 火を掻き消そうとするアンドロニカス。すると、水魔法で自分の上に水球を作ってそれを自分に落として火を消化してしまった。すかさず、自分の周りに無数の火の玉を作り出し、お返しと言わんばかりに火の玉を放っていく。


「薫!」


「ロック・バレット!!」


 この場所に多くの瓦礫が散乱していたので、それを弾として撃ち出す。いくつかは火の玉に当たるのだが、それをすり抜けてしまうのもあるので、鵺を黒槍から大盾に変えて火の玉を防ぐ。対して、アンドロニカスはそのまま『ロック・バレット』を受ける。


「yるおyrぷg!!」


「薫さん! レイスさん! 上です!」


 マクベスの声に反応した僕たちはすぐさまその場から離れると、氷の槍の雨が先ほどまでいた場所に降り注ぎ地面に刺さっていく。


「hりおj……」


 お互いの距離が離れた所で攻撃を止め、こちらの様子を伺うアンドロニカス。すると先程、僕が切った左胸の目が復活して恨めしそうにこちらを睨んでいる。


「これで魔法が使えない状況に戻った感じですかね……」


「僕は体験して無いから分からないけど……」


「薫。あのアンドロニカスの姿って……」


 僕とマクベスがアンドロニカスの魔法封じについて話していると、レイスがアンドロニカスの今の姿について僕に何か伝えようとする。レイスの伝えたい内容……それは既に分かっている。


「ギアゾンビ……しかも変異種かな」


「やっぱりそう思うのです?」


「うん。ただ……アンドロニカスの体だけど生体と機械が融合しているからギアゾンビのような体に、変異種の能力を足した感じかな」


 ゾンビゲームのクリーチャーみたいな姿になったアンドロニカス。そして、マクベスの話を踏まえるとあの水没した研究所で作られたギアゾンビと酷似している。


「そうなると……あの契約書に書かれていたアンドロニカスは被験者の契約事項って事かな。あの店主さんの読み通りだったってところかな」


「アンドロニカスが望んであの姿になったとかは……」


「無いと思うよ? あんな奇声しか上げられないなんて、宿敵であるマクベスに愚痴とかこぼせないからさ。それと……あの姿って非合理だと思うんだよね」


 今のアンドロニカスは背中に非対称の羽を持ち、右手が2本に槍を飲み込んだ左手1本。そして左胸に大きな目玉……あれではバランスが悪すぎるし、弱点っぽい大きな目玉が再生機能があるとはいえ丸出しというのもいただけない。


「マクベスはどう思うかな?」


「薫さんの意見に同意です。彼ならもう少しバランスを考えると思いますし……それよりも、生物と機械の融合した肉体を用意していたことに驚きです。一体、どうやって維持しているのか……」


 僕たちの後ろで休んでいるマクベスが今のアンドロニカスの姿を見て疑問点を上げるのだが、この戦闘で役に立つかどうかはいささか疑問である。


「……それと薫さん。アンドロニカスがあの姿になったと同時に他の魔族達が活発……いえ、同じような現象が起きています」


「それ……本当?」


「はい。魔国で僕が話した内容を覚えてますか? 『アンドロニカスを放置すれば他の魔族達が強くなる』が実際に起きています。全ての魔族がアンドロニカスと繋がってるような気配はあったのですが……この変異時に全ての魔族も変異させるのが目的だったようです。ここの周辺にいる魔族達の波長が今のアンドロニカスと似ていますね」


「それって……魔法封じも?」


「そこまでは分かりません。ただ、あまり長引かせると魔国が危機的な状況に陥るかと……」


「そこは秘策を用意しているので時間は稼げるかはずだよ。だから、今の僕たちがしないといけないのは早くアンドロニカスとを倒すべきってところかな」


 こちらの様子を伺っていたアンドロニカスが動き出そうとしているので、僕も鵺を黒盾にし……そして四葩をアイテムボックスから取り出す。


「rがほえh!!!!」


 四葩を見て唸り声を上げるアンドロニカス。どうやらこれと似た武器にやられた記憶を思い出したようだ。先ほどよりも鋭い殺気をこちらに向けてくる。


「薫さん……」


「マクベスはそこにいていいよ……」


 僕は黒盾を前に構える。防御よりの構えなのだが、アンドロニカスは魔法を使え、その体は普通の生物には当てはまらない構造になっている。それによって、思いがけない反撃が出来るかもしれないと思い警戒しているのである。それと、魔法封じの効果のせいで掛けていた『鉄壁』も解除されてしまい、ちょっとの攻撃が致命傷になる可能性がある。


「レイスは隠れててね。あの目をどうにかするまで肉弾戦になりそうだから」


「気を付けるのです」


 レイスはそう言って、僕の服の中に入り、胸元から顔を覗かせる。そして、こちらの準備が整ったと同時にアンドロニカスが仕掛けてくる。魔法は一切使用せずにこちらへと向かって来る。対して、僕も盾を前に構えたまま近付いて来るアンドロニカスへと勢いよく向かう。互いに距離を詰めるのであっという間に互いの持つ武器が届く距離になる。


「rひぃれおht!!」


 走った勢いを乗せた鋭い槍の突きが襲い掛かる。それを盾でパリィし態勢が崩れたところで左胸の目玉を狙って四葩で攻撃を仕掛ける。が、それを突如として現れた氷の壁が邪魔をする。僕はそこからすぐさま後ろへと思いっきり跳ぶ、すると、その氷の壁を破壊しながら槍が僕の前を通り過ぎていく。この槍の攻撃に当たらなかったと分かったアンドロニカスは前に出て今度は槍を飲み込んだ左腕を上へと構える。アンドロニカスが左腕を振り下ろすタイミングを計り、僕は横へと跳んで避ける。


「hrls!!!!」


 すると、今度は突如として火球が3つほど現れて、こちらへと飛んでくる。僕はそれを四葩で1個は切断し、残りは盾で防ぐ。その間にアンドロニカスが近付いて来て槍で小さな動作による突き攻撃を仕掛けてくる。僕はそれを四葩と盾で捌いていく。先ほどまでの大振りの攻撃から、隙の少ない攻撃への転向……左胸の目への攻撃に対して警戒しているのだろう。


「hれろj!!」


 アンドロニカスは槍の攻撃を仕掛けていると同時に何度も魔法による攻撃も放ってくる。だが、その魔法攻撃は『ファイヤー・ボール』や『アイス・ランス』などの下級の魔法ばかりである。


(僕たちが魔法を使わせないためか……)

 

 アンドロニカスが魔法を使った後にすぐさま反撃の魔法を放とうとするのだが、魔法が出ることが無い。


「一方的に魔法が使えるなんてズルいのです!」


 先ほどから一方的にこちらだけに制限を設けるアンドロニカスの戦い方にイラつくレイス。そのイラつく気持ちは分からなくもない。が……そこまでムカつくような条件でもない。


「(レイス。次のタイミングで一気に仕掛けるよ)」


 僕は小声でレイスに攻撃を仕掛けることを伝える。このアンドロニカスの戦い方は実に効率的である。いかに相手が嫌がるような戦い方をするというのは勝つためには必要なことであるし、僕も出来るならそうしていただろう。だが……アンドロニカスはある事を忘れている。


「hろjpr!!」


 アンドロニカスと武器を使っての攻防をしていると、ついに『アイス・ランス』と思われるを使ってきた。そのタイミングで僕も魔法を使う。


「雷撃」


 『アイス・ランス』が放たれるよりも早くアンドロニカスの頭から落ちる雷。それによって、アンドロニカスの用意していた『アイス・ランス』が霧散し、さらにアンドロニカスの動きも止まる。


「はあーーーー!!」


 チャンスだと判断した僕はすかさず四葩で左胸の目を斬る。それによって、アンドロニカスがのけぞるのだが、すかさず鵺を盾から黒槍に形を変えてその胴体を突く。すると、雷撃による麻痺が治まったらしく、黒槍の柄の部分を持って僕の動きを封じてから、槍による反撃を仕掛けてきた。

 

「鵺にそれは無意味だよ? 鵺! 盾!!」


 僕は鵺を黒槍から盾に戻そうとする。それによって、柄を掴んでいたアンドロニカスの拘束を外すことに成功した。


「hsごじょht!!」


「ロック・バレット!!」


 アンドロニカスが奇声を上げながら魔法を放つタイミングで、僕も魔法によるカウンター攻撃を仕掛ける。すると、お互いの魔法が互角だったため放った魔法は粉々にってしまった。


「qぽsじょpthn41!!」


「怒っているみたいだけど……それはこっちも同じだからね?」


 斬られたことに激昂しているアンドロニカス。対して、僕たちも魔法を使えない状態で戦わされたのでほんの少しだけ怒ってたりする。そして……僕たちの戦いは次の局面へと移るのであった。

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