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439話 ユーピテル同士の戦いその2

前回のあらすじ「ぶつかり合い」


※作者の都合により、今回の話は短めになっています

―「旧ユグラシル連邦第一研究所 野外実験場」マクベス視点―


「……」


 アンドロニカスがいた場所から今も煙が立ち上がっており倒せたのか分からない。いや……恐らくだが。


「未知の力……いや浮遊石の力か」


 その声と共に煙が掻き消され、アンドロニカスの姿が現れる。少しくらいはダメージがあってもいいのでは無いかと思っていたが……汚れた服に付いた埃を払うその身体は無傷であった。


「あの力を理解したのか? そうでなければ我が槍を浮かせるのなど不可能のはずだ」


「ええ、理解しましたよ。あちらの文明は世界の理をイレーレやこの私達より深く知っているようで……あの浮遊石を小さいながらも作ってましたよ。しかも手慰み感覚で」


「……ふっ! フハハハ!!」


 アンドロニカスは少しだけ沈黙した後、盛大に笑い出す。「そうか! アレを手慰みで作れるのか!」と更に高らかに笑っている。


「それなら……我ならアレを大量に作るなど造作も無いということだな! 後はその作り方さえ知る事が出来れば……!」


 そう言っているアンドロニカスの瞳は先ほど見せた曇った物になっていた。明らかに様子がおかしい。何かしらの目的があり、その目的が叶うはずなのに全く嬉しそうではない。


「ふッハはは!!!!」


 アンドロニカスの笑い声に変なノイズが走る。もしかして、先程の攻撃がしっかりと決まっていたのだろうか? だが、それにしては……。


「ピィーー!!」


 すると、こちらの会話を遮るかのように甲高い鳥の鳴き声が周囲に響く。そして、いつの間にか莫大な魔力を持った何かが動いていることに今更になって気付き、何があったのかを確認すると、青白い大きな鳥型の魔法がヘカトンケイルへと突撃してその姿を霧散させた。


「ヘカトンケイルにあの程度の攻撃など無駄だがな……」


「そうですか……こちらが油断している所を狙うなんて趣味が悪いと思うのですが?」


 自分がシーエさん達の戦いに気を向けていると、アンドロニカスが死角から攻撃を仕掛けてくる。まあ、しっかり警戒はしていたので用意していた防御魔法でアンドロニカスの槍攻撃は防いでいる。 


 そして、その直後にカシーさん達がヘカトンケイルに爆発魔法を撃ち込むとヘカトンケイルがガラスのように木端微塵になり、あちらの戦いが終わったのを確認する。


「なっ!? ネルが敗れただと……」


「そのようですね……!!」


 アンドロニカスがネルの敗北を知り動揺していたところに、もう一度『フレイム・ブラスト』を近距離で放つ。この距離から放たれた『フレイム・ブラスト』ならアンドロニカスに何らかのダメージを与える事は出来るはずである。


「うぉおおお!!?」


 『フレイム・ブラスト』に飲み込まれたアンドロニカスが声を上げながら後ろへと吹き飛ばされる。アンドロニカスが来ていた衣服が燃え、さらに本体へと燃え広がっていく。


「もう一度……彗星!!」


 もう一度、アダマンタイトの球体をアイテムボックスから取り出して高速でアンドロニカスへと落とす。『彗星』は火に包まれていたアンドロニカスに直撃。今度こそしっかりとしたダメージが入ったはずである。


「ウィンド……」


「が、ガアアああアああああ……!!」


 アンドロニカスに追撃を加えようとすると、アンドロニカスがいきなり大声を上げ纏わりついていた火を掻き消す。その際、風魔法で消したのかと思ったのだがそのようは気配が無く。そもそも、先ほどまで感じていたアンドロニカスの気配も別人の者になっていく。そして……その姿も。


「ぐぁああアアアア!!!!」


 アンドロニカスの今の姿は前と同じであり、もっと具体的に言うと両手に口が付いた人型であるイレーレを模した姿だったのが、背中に非対称の蝙蝠のような鳥のような奇妙は羽、さらに右腕も一本追加で増え、衣服が消失して露になった上半身に、人なら心臓のあるはずの位置に大きな目玉が生え、こちらを睨み付ける。


「gしぎとthlれlrkyr……fdじゃおんgl」


 そして放たれる言葉……もはや何を言っているのかが不明である。すると、アンドロニカスは最後に自分の槍を拾い上げ、自分の左腕を左手の口に槍の柄をぶっ刺すと、左手が変形して槍と一体化する。


「hjれおgmhfsk? てぇおておあmkhfdpおn!」


 何が起きているのか、何を言ってるのか全く不明なこの状態。これはアンドロニカスの作戦なのだろうか……? いや、もしかしてこれはアンドロニカスではなく、別の何かであって……。


「hrじょいgじゃ!!」


 すると、アンドロニカスだった者が槍と一体化した左手を前に出し、複数の火球を放つ。それは槍の先端から左右上下、8つの火球が放射状に広がって僕の所で再び1つの火球になるように撃ち出される。僕はそれを避けると、火球達は僕がいた場所で再び1つとなって大きな爆発を引き起こす。これなら『エクスプロージョン』1つ放った方がいいはずだが……このあまりにも無意味な攻撃はアンドロニカスらしくない。


「gふぃhtjy!!」


 何語……いや、そもそも言葉を話してるのか怪しいアンドロニカスだった者……。一体、こいつは何なのだろうか? 普通に考えれば、アンドロニカスをアンドロニカスと在らしめる物……人なら脳と同等の箇所に障害が先ほどの攻撃で生じたと考えられる。が、それが原因で内部の障害が起きても、今の体のような変化は無いはずであり、あのような胴体の変化が起きるようにするには、自身の体を作る際に事前に仕込まなければならないはずである。


「べhtkじょえd!」


 2本の右腕から無数の水球がこちらへと向かって放たれ、自分の近くまで来ると「パンッ!!」と弾ける。その衝撃はかなり強く、ダメージこそ無いが周囲の音が掻き消され、さらに自分の体が弾き飛ばされてしまう。このままだと別の魔法によって追撃される恐れがあるので風魔法でそれらは吹き飛ばす。


「ここrgjrhろおp!!」


 すると、アンドロニカスだった者は同じ属性である風魔法を撃ってくる。これまた不思議な魔法であり、2つの『ウィンド・カッター』に似た物が右側へと進み、途中で進路を変えて自分の元へと向かって来るという物だった。


「ウィンド・ブレード!」


 自分はそれを杖の先端に作った風の刃で切断して霧散させる。どうやら威力はこちらの方が強いようだ。


「bhれあgf! hろhjh! ヴぃhこhnーー!!!!」


 すると、今度は2本の右腕と左腕がそれぞれ別の魔法を放つ。こちらも負けずに連続で別属性の魔法を放っていく。


「ゆgkんkgr!!」


 そして、アンドロニカスだった者はさらに自分が放った『彗星』を真似して放つ。他の魔法への対処でそちらもで気が回らなかった自分はそのまま『彗星』を喰らってしまう。


「くぅ……!?」


 コッペリアは機械人形である。それ故、一度ケガするとポーションによる治療は出来ないので、魔法攻撃には当たらないのが原則である。そんな当たり前のことを思い出しつつ、『彗星』によって地べたに寝転がされた自分の体をすぐさま起こす。


「hjろjgろ!!!!」


「何を言ってるのかさっぱりですよ」


 盛り上がっているアンドロニカスモドキにそう苦言をしつつ、自分は再度戦闘に集中するのであった。


 

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