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402話 飛空艇での一晩……そして東の大陸

前回のあらすじ「謎の魔道具を発見!」

―「飛空艇1番艦シグルーン・甲板」―


 今日、何度目かになる襲撃が治まったタイミングで、謎の魔道具を取り付けたドローンを進行方向から少し離れた方向へと向けて発進させる。夜の大空へとテイクオフしたドローンはあっという間に夜の闇に飲まれ、その姿が見えなくなってしまった。


「自動操縦なんですね」


「ああ。決められた距離を走行した後、取り付けた魔道具をその場で放棄。それからこの飛空艇に合流する仕組みだよ。君達がグージャンパマの世界地図を仕入れてくれたおかげだよ」


「グリフォンの巣で見つけたアレがこんな所で生きるとは……」


「それだけじゃないよ。東の大陸に到着する時間の算出にも役立ったからね。おかげで必要最低限の物資を詰め込んで東の大陸に高速移動。後は、あっちに転移魔法陣を設置して西の大陸と行き来が出来るようになれば、今回の襲撃で消費した弾や食料を補給できるよ」


「これぞチートですね」


「全くだ。これが地球の戦争で使われたら、どれだけの大惨事になる事やら……」


 カイトさんがやれやれといったような表情で話す。このドローンが無事に役目を果たし、僕たちの元へと帰って来た時、今後のドローン戦術に多大な影響を及ぼす結果として報告されてしまうのだろう。


「第三次に繋がらないといいんですけどね……」


「そうだね……まあ、僕達はこっちに国を復興する予定だから、あっちの国々が例え滅んだとしてもそこまで影響が出ないかもしれないけど……むしろ、誰もいなくなった世界を僕達の都合のいい世界に……ぐふぁ!?」


 恐ろしい考えを話すカイトさんに、後ろで見ていたミリーさんが銃の持ち手の部分でカイトさんの首を殴り、一瞬にして気絶させる。


「薫……安心してちょうだい。アリーシャ様に言って、こいつの捻じ曲がった性格を正す調教プログラム立ててあげるから……全くもう!」


 僕にそう告げて、ミリーさんは気絶したカイトさんの足を引っ張って船内へと戻っていった。


「……私も戻ります」


「あ、はい。お疲れ様でした……」


 ペクニアさんはその場でジャンプして、この飛空艇より少し上を飛んでいた二番艦へと戻っていった。マンション5階相当のジャンプをして戻るとは……きっと魔法も使用しているのだろう。


「部屋に戻ろうか」


「はいなのです」


 残った僕たちも、今度こそ部屋へと戻る。明日の午前中には東の大陸に到着する予定……しっかり休息を取っておかないと。


「あ、お帰り2人とも。私達も出た方がいい?」


「戦うなら手伝うッス!」


 自室に戻ると、泉とフィーロ、それにリーリアさんとオラインさんがババ抜きをしていた。ちなみにグラッドルも一緒に乗船しているのだが……先ほどの船内散策にも連れてこなかった所からして、オラインさんが部屋で待機するように指示しているのかもしれない。


「多分、大丈夫かな……何か怪しい魔道具が見つかって、それを外した事だし……それよりも、何で僕たちの部屋でババ抜きしてるの?」


「リーリアさんが戦おうとしてたから、私達3人で抑え込んでたんだ。その替わりに、すぐに薫兄から何が起きているかすぐに尋ねられるようにここで待っていたって訳。その証拠に……」


 泉がリーリアさんに視線を向ける。そこでリーリアさんの格好を確認すると、泉特製のドレス風の戦闘服を着ており、その傍らには鞘に仕舞われた剣も置かれていた。


「薫……私、不要なのか?」


 プルプルと体を震わせながら涙目で訊いてくるリーリアさん。真面目な方なので、衣食住を提供してもらってるのだから、その対価として仕事をさせて欲しいようだ。しかし……だからといって、今は戦闘に出させるつもりは無い。


「もしもの事があった場合、魔国ハニーラスから非難を浴びてしまいますから……それこそ互いに協力関係を結ぶという事が難しくなりますので」


「うむ……それは分かるのだが……」


「あちらに無事だという事が伝わった後、魔王アンドロニカスとの決戦には参加してもらいますのでお願いします……ね。オラインさん!」


 僕は満面の笑顔でオラインさんに話を振る。後はオラインさんがこのノリで『そうですぞ姫様!』と言ってくれるとありがたい。


「そうですぞ……って、儂にその決定権は無いのじゃ! 魔王アンドロニカスとの決戦に姫様を前線に出れるかどうかは王様の判断じゃぞ!?」


「おお……引っ掛からなかったのです!」


「よく頷かなかったッスね……」


「儂を嵌めようとするな!? これから宿敵を共に倒す仲間じゃろう!?」


「オラインさん……国際問題と個人の問題……国を守る軍人として、どっちが優先されるべき事項だと思いますか?」


「それとこれとは別なのじゃ!!」


「っていう訳で……オラインさんの進退に関わる事態なので、ご配慮いただければと思いますリーリアさん」


「分かった。どちらにしても、私に何かあれば傍にいたオラインに迷惑を掛けるからな……」


 リーリアさんは溜息を吐いて、自身が飛空艇の防衛戦に参加することを諦めてくれた。しかし、オラインさんは、まだ何か言いたげな雰囲気を漂わせている。


「なあ! 儂の扱い酷くないかのう!? 何か弄ばれた感じなのじゃが!?」


「まあまあ……リーリアさんが前線に出るのを防ぐためです。少しくらいの冗談は大目に見て下さい。それで、もう遅いから寝ようと思うんだけど……」


「ババ抜きはここからが本番ッス! さあ、闇のゲームを始めるッスよ!」


 突如として始まる闇のゲームという名のババ抜き。この中で、オラインさんやリーリアさんが止めてくれると思ったのだが、オラインさんは負けが続いているらしく、リーリアさんは戦えない不満を発散するために、僕を熱心に誘って自身の不満を晴らそうとしている。


 これから戦地に赴くというのに、何をしてるんだか……僕は呆れつつ、腕時計で時間を確認する。時間は11時過ぎた頃か……。これが自分の部屋じゃなければ、さっさと退散して床に就いていただろう。


「受けて立つしかないのか……」


 覚悟を決め、僕は闇のゲームに加わる……結局、リーリアさんが眠気に負けてうたた寝した所で闇のゲームは終わるのであった……ちなみに、ポーカーフェイスの出来なかったオラインさんが一番のぼろ負けだった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―翌朝「飛空艇1番艦シグルーン・甲板」―


「ふぁ~……んーー!」


 眠い目を擦りながら、甲板にやって来た僕。レイスはまだ部屋で寝ているので、今は1人である。周りを見ると、甲板では大勢の人が襲撃に備えていた……が、その多くは毛布で自分の体を包んで寝ていた。起きているのは数名で、その全員が眠そうな表情をしている。


「あら? おはよう薫……何か大分眠そうね?」


 すると、起きていた数名の1人であるミリーさんが、僕に気付いて声を掛けて来る。


「おはようございますミリーさん……泉たちの闇のゲームに引っ張り込まれて、そのままババ抜きをさせられたんですよ……」


 僕は目を擦りながら、ミリーさんに身に何が起きたのかを順に説明していく。時折、欠伸をしながらも話し終えると、ミリーさんが少し笑っていた。


「助かるわ。この戦いに勝つためにもリーリア姫には我慢してもらわないとね……この戦いは如何にして、魔国ハニーラスと夜国ナイトリーフの協力を得られるかが重要。両国の代表に、しっかり紹介してもらわないと」


「そうですね。誤って三つ巴の戦い……なんていうのは勘弁ですね。ちなみに、あの後襲撃は?」


「来ていないわ。やはり、あの魔道具でこちらの位置を把握していたみたい……船底に取り付けられていたようだし、飛空艇が停泊していたアオライ王国の港で取り付けたのは間違いなさそうね。でも……何でアオライ王国で飛空艇を襲撃しなかったのかしら?」


「恐らく、僕たちを確実に仕留めるためですかね。アオライ王国の港で襲っても、陸地から救助が来ちゃいますから。今、この場所なら、対象が孤立した中で襲えますから」


「なるほど……ふぁ」


 すると、ミリーさんが大きな欠伸をする。もしかしたら、一晩中起きていたのかもしれないな……。


「おーーい! 交代だー!」


 船内の出入り口から、見張りの交代要員たちが現れる。寝ていた者たちもすぐさま起きて、これから見張る人たちとバトンタッチしていく。


「私も休むわ。薫はどうするの?」


「僕も自室に戻ります。少し眠いので……少し仮眠でも」


(前方確認! 陸地らしき物陰を発見! 繰り返す……!)


 突如として、スピーカーから流れるアナウンス。僕はミリーさんと一緒に飛空艇の甲板前方部分に行くと、薄っすらと陸地らしき物があるのを確認するのであった。

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