表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/503

25話 魔法の練習をしよう!!防御魔法を覚えよう!!

前回のあらすじ「地属性の底力」


2019/9/23 「呪縛(グラビティ)」の効果を一部変更。


―「カーター邸宅・練習場」―


「重力……」


「私達、風魔法で飛んでた訳じゃないんだ……」


 飛翔について一通りの説明を終え、聴いていた2人が呆気に取られている。


「まさか、そんな力が常に働いていたなんて」


「うちも理解するのに大変だったッスよ。泉に何回か訊いたり、ゲームっていうやつで、疑似的にその力を見たりしてやっとイメージ出来たッスから」


「……試しにやってみるか。えーと、ふらいと?でいいのか?」


「はい。地面から出てる鎖を外して浮かぶ感じで」


「よ、よし。いくぞ。ふらいと!」


 カーターは呪文を唱えた。しかし何も起こらなかった!!


「浮かばないな」


「絵を見せたけど難しいかな?」


「イメージが……な。まあ、練習すればいけるはずだ」


「しかし、空飛ぶ呪文ね……ねえ。念のために聞くけど他に呪文作ってないわよね?」


「私達はないけど……」


またまた、皆がこちらを見る。


「で、レイスどうなんッスか?」


「……1つだけ」


「見せなさい。確認しとかないといけない気がするわ」


「分かったよ。レイスやるよ」


「はいなのです」


 的に向かって集中する。ゲームではド定番のあの魔法。空からバチバチと音がする。


「薫兄……まさか……」


「雷撃!!」


 ピシャーン! と音を響かせて雷が落ちる。的には雷で焦げた跡が残った。


「やっぱり雷か~」


「うん。ゲームで雷の魔法を見たとき使えるのかなって」


 先日、泉が泊まっていった際にゲーム内で雷魔法を使用していたのを見て、レイスに雷の発生の仕組みを教え、何回か練習してみたら使えたのだった。


―雷魔法「雷撃」を覚えた!―

効果:上から雷が落ちてきます。感電するので範囲には気をつけましょう。


「うんうん。雷魔法って夢があるよね」


「言っておくけど、泉の押しのキャラみたいに使えはしないからね」


 流石に自身を帯電させて、超反応や高速移動するということは無理だと思っている。


「す、すげぇーー」


「や、やっぱりフィーロも驚くのですよね……」


「使えるとは思っていないッスよ。レイスも知っているはずッスよ。だって……」


 フィーロが何かを言い切る前に、先ほどから呆然と立ち尽くしていたカーター達が駆け寄り、僕の肩を掴んでくる。


「神霊魔法を何故使えるんだ!?」


「神の槍を放てるなんて……」


「え?」


 少し理解出来なかった。というより神霊魔法って?


「あの魔法不味いのかな?」


「古代、魔物との戦争を終結させた最強の呪文といわれている。使用者の命を対価に使えるとも云われている究極魔法……それなのにそれを軽々と……」


「2人とも異常は無いの?」


「ないよ。それに雷の仕組みを知っていれば簡単に想像できるから使えるよ」


 この世界の魔法は火、水、風、土そしてその他に分かれている。ただ、その他の魔法にドローイン、浄化魔法、転移魔法などかなり色々な魔法があるので、もしかしたらどれだけ事象を理解しているかで幾らでも魔法を作れるし負担を減らせるんじゃないかと考えた。恐らくだが対価うんぬんは無理やり雷を撃った事による脳への反動だと思う。


「そんな……そんなレベルの呪文だったなんて」


「泉もイメージ出来るんッスか?」


「ええ。というよりあっちの機械はこの力て動いている物が沢山あるから、そんなにレアとは思えないのよね……」


「な、なんだって……」


「このスマホだって電気で動いてて、雷の威力を弱らせたような物よ。他にもテレビやエアコンだってそうだし」


「……」


 カーターたちが黙る。伝説の力があちらでは日常的に使われてるなんて思いもしなかったのだろう。


「俺……訓練すれば使えるかな?」


「多分いけるんじゃないかしら……多分」


「私達もやってみようか?」


「はいッス」


 そんなこんなで、お互い教えながら、アイデアを出しながら魔法の特訓をする。イメージ次第で作れるのならと思い、使いたい魔法を考え呪文というキーワードをつけて何度か試してみた。


「呪縛」


 的が呪文を受けて少し沈みこむ。


「虚空」


 的が地面から離れて浮かび上がる。


「……重力を自由に出来るってやっぱりおかしい気がする」


「まあ、そうよね。今の科学でもここまで出来ないでしょ。絶対に」


 泉達も試しに挑戦してみる。


「グラビティ!!」


 的が沈む。成功のようだ。


「これって凄く便利な気がするッス」


「でも、複数にかけるというのは無理っぽいのです」


 他の呪文は複数の火球とか水球を出すことができるので、これも出来るかなと思ったのだが複数にかけるというのは無理だった。もしかしたら、特訓次第では可能なのかもしれないが。


―地属性魔法「呪縛」を覚えた!―

効果:1つの対象にかかる重力を増やし地面に拘束します。


―地属性魔法「虚空」を覚えた!―

効果:1つの対象にかかる重力を減らして低重力・無重力状態に出来ます。重い物を運ぶ時とかに使いましょう。


「意外に簡単に出来たッス!」


 フィーロがゲームや漫画を見ていたことでイメージがしやすかったらしく、泉たちも雷の魔法なんかも案外早く覚えられた。でも……。


「む、難しい…」


「で、出来ないわ……」


 カーター達は苦戦している。やっぱりゲームや漫画とかで形となった状態を僕たちは見たり、仕組みを知っているから出来るのだろう。重力の感覚なんて、遊園地の絶叫マシンやら身近なところだとエレベーターなんかで感じたりすることが出来るし。


「やっぱり難しいんだね……空飛ぶって」


「それでも、始めから浮くはうちらは出来たじゃないッスか」


 フィーロのその発言を聞いてカーターはさらに落ち込むのだった……。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―昼食後―


 持ってきたお弁当で昼食を挟んで今度は違う魔法の訓練をする。それは……。


「そしたら、防御魔法を説明するか」


「魔法使いのもう1つの特権ね」


「特権?」


「薫はこの前の城壁での戦いを見たと思うけど、兵士達は盾を持って戦いに出てたの覚えてる?」


「そういえば……」


 体を隠せるほどの大きい盾を持っていたり、バックラーと言われる小さな盾を着けて戦う魔石使いもいた。


「武器を持つ相手に防具無しに立ち向かうやつはまずいない。戦いのスタイルでどんな防具になるかは個々で違うけどな。だから、どうしてもその分、かさばったりするんだが……魔法使いにはそれがない。」


「今言った防御魔法があるからですか?」


「そう。防御魔法があれば体で攻撃を受けても軽減出来るし、全くの無傷って場合もあるわ」


 つまりゲームの切られてるのに何で血が出て無いの? とか、どうしてそのまま普通に攻撃できるんだよ? 的な状態になるってことか。


「あれ?防御魔法って何属性なの?」


「これも属性の無い特殊魔法よ。しかも他の魔法を使っていても常に発動し続けるようになっているわ」


「へえ~~」


「あ! だから、よく勝てたね。って言われたのか」


 アンコウ男を倒しただけで、どうしてそこまで言われるのか分からなかったけど、その理由がはっきりした。


「ええ。だけどあの時は防御魔法を張る前に薫が瞬殺してたけどね」


「それで防御魔法ってどう使うの?」


「イメージで自分の体中に薄いベールを纏う感じで、プロテクションって唱えると出来るぞ」


 意外に簡単そうなのでレイスとイメージを相談してやってみる。


「鉄壁」


「……和風に拘るのね」


 すると、自分たちの体中に薄い膜みたいな物がまとわりついた感じがする……多分。


「なんか目に見えない膜みたいな物がまとわりついている感じがする。というか実感が湧かないねこれ」


「それならこれはどうかしら?」


「へ?」


 何をする気かと思った矢先に、サキが顔面に向かって飛び蹴りをくらわせる。


「きゃ!!」


 そのまま尻餅を着いたが、特に痛みとかはなかった。


「あ。痛くない」


「よし。成功ね!」


 サキ様。いきなりの飛び蹴りはお止め下さい……でも確かに痛くない。


「いきなりは止めろサキ。こっちもビックリするから」


「こういうのはいきなりがいいのよ。いきなりが」


「全く……」


「衝撃はあったけど痛くはないんだね」


「へー凄いかも」


「それだから、魔法使いはまず最初に防御魔法をかけてから戦闘に入るのが基本だな」


「そういえば、これってどれくらい持つの?」


「かなり長いぞ。正確には……よく分からん」


「なら、測ってみようか。ちょうど腕時計してるから」


「……それもあった方がいいかもな」


 カーターが僕の腕時計を見る。確かに時間が正確に測れるのはあらゆる分野で活躍するだろう。


「……あまり普及しすぎると時間に縛られる可能性があるからほどほどがいいと思うよ」


「そうなのか?」


「いるいる。少し遅れただけでいちゃもんをつけてくるんだよね」


「どのくらいなのですか?」


「ひどい人は1秒ずれただけでも……って秒が分からないか」


 時計を見せながら時間の説明をする。


「そんな短い時間くらいいいじゃないの?」


「サキの意見に同じく」


「うーん。普及しすぎるのも問題なのです」


「何ごともほどほどが一番よ」


 会社員だと時間に追われる日々だったからな。塔の鐘の音で時間を知るこの世界ぐらいの時間感覚が僕にはちょうどいいかもしれない。


「それでも軍には欲しいな。全員の息を合わせるのに丁度いい」


「でも、私が言ったことには注意して下さいね。それが原因で周囲から孤立したら意味が無いですから」


「分かった。注意しよう」


「じゃあ今度見に行こうか。ついでに直哉を紹介したいし」


「あの変人って言っていた人?」


「そうそう。魔法と科学の技術を1つにするには絶対に必要だからさ」


 発明が変な方向に向かわなければだけど……それに、カシーさんに会わせていいのか不安なんだよな……。


「それより薫。さっきの、きゃ! って……」


「言わないで……」


 あまりにもドッキリして思わず言っただけだ。決しってアレではない。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―夕方―


 夕方になり、今日はここまでとなった。今回の練習で基本の魔法は完璧だと思う。そしてプロテクションの魔法が約1時間ぐらいは、効果が持続するということも分かった。


―無属性魔法「鉄壁」を覚えた!―

効果:あらゆる攻撃を軽減します。身に着けた装備品も有効なので戦闘前には発動させましょう。効果は一時間ほど、また強力過ぎる攻撃の場合は上手く効かない可能性もあるので注意しましょう。


「私達も完璧ね!」


「ウッス!!」


 泉たちもサンダー、グラビティ、プロテクションを習得できた……でも。


「カーターしっかりしなさい」


「で、できない……」


 激しく落ち込んでいるカーターに、サキが優しく肩を叩く。僕たちの魔法を見て一緒に猛練習をしたのだが、どれも習得には至らなかった。


「今日はここまでにして休みましょう。明日は仕事なのだから」


「もう日が暮れてきたのです」


「それじゃあ僕たちも帰ろうか」


 泉たちも首を縦に振って僕の意見に同意する。


「あ、ああ。そうだな。魔法陣の所まで送るよ」


 僕たちは実に充実した休日を送れたのであった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―「ビシャータテア王国・執務室」シーエ視点―


「マジかよ……」


「はい。マジです」


 薫さん達が魔法で空を飛んでいたことを伝える。駄々をこねるカシーをなんとか仕事に戻らせた後、その足で王のところに来たのだった。報告を済ませた後の王は思わず頭を押さえていた。


「普通に飛んでいたぜ!」


「明日、カーターから話を聞かんといかんな」


「それとカシーもお願いします。あれを見た後だったので落ち着かせるのが大変だったので……」


「分かっとる。しかし……飛ぶって……うむ……」


「言いたいことは分かります。まさか、魔法使いになって日の浅いはずなのに、既にそんな魔法を創り出すなんて……」


 私は思わず溜息がでる。長年研究されていた物があっさりと完成形となっているのだから。


「すまんがこのことは内密だ。異世界との交流は知られても構わなかったが、この魔法は軍事機密とかに引っかかるからな」


「分かっています。カーターにも言っときます」


「いや~。面白くなりそうだぜ♪」


「能天気で良いですね……マーバ」


 それほどでも! とイタズラっぽく笑うパートナーを見ながら、これからのことを考えるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ