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157話 魔導研究所クロノスへご案内

前回のあらすじ「1番はポーション系、2番目は魔石の順」

―翌日「カーター邸・馬小屋にある秘密の地下室」―


「この家にこんな物があるとなは……」


「驚きだわ」


 カーターとサキの二人が階段を下りた地下の魔法陣を見ながら答える。ここはカーター邸の馬小屋で通路の両方に馬を飼育する部屋が5部屋ずつ、計10部屋あり、さらに奥には干し草や用具入れなどがある。そして肝心の魔法陣はこの馬小屋の通路の一番奥に地下室があった。


 そんな目立つ場所にあったのに今まで見つからなかった原因だが、地下室へ続く金属扉が完全に土に埋もれていたためにそこに扉があるとは誰も知らなかったそうだ。ちなみにクロノスからここの地下に来た時、当然金属扉は開くはずが無いので、扉を開けるために獣王撃でぶん殴った。そのせいで金属の扉にパンチした後が残っていたりする。


「これが例の研究所であるクロノスに繋がってるんだな!」


「異世界の研究所……ワクワクが止まらないね!」


 後ろを見ると直哉とカイトさんが子供のように体をうずうずさせている。いや……さらにその後ろにいる各国賢者にソフィアさん、内調関係者もそわそわして……。


「人数が多すぎるよ!!ってカーターたちは逃げたシュナイダーを追ったり、対策したりしないでいいの?」


「俺達は城に行くぞ?ここに来たのはあっちの要人の護衛のためだしな。まあ、カシー達にも城に来て欲しかったんだが……駄々をこねたからこっちだ」


「それはしょうがないじゃないのよ!あの異世界の門を作った研究所が見つかったのよ!?そこにある膨大な研究内容……ああ!どんな情報が眠っているのかしら!!」


「薫。早く行くぞ!今回ばかりはカシーを止めるのも、そして俺自身止められないからな!」


 ワブーがはりきっている。いつもカシーさんと違って一歩落ち着いた行動が出来るのに、今回に限っては自重というのは捨てたらしい。


「分かったよ……」


 僕は二人から今度はソフィアさんたちと内調の人たちに目を向ける。


「総理の命で今回の視察にどうこうすることになりました田辺です。よろしくお願いします」


「どうも」


 内調の田辺さんと挨拶して握手をする。


「私もアメリカ大統領と組織の両方から視察するのでお願いします」


「大変ですね」


「そうですね……まあ、その分私の幹部への近道になりますから」


 幹部というのは組織の幹部という意味だろう。表向きはアメリカ外交官、裏では世界を牛耳る有名な組織の幹部……将来、そんな人物になるであろうソフィアさんと親しくしている僕たちって結構すごいような気がする。


「内調である私の前で言っていいんですか?」


「なりふり構っていられませんからね……お互いに」


「はあ~……。ですね」


 二人が意気投合している。


「それにしてもお二人ずつなんですね?」


「たくさん連れていくと迷惑ですから。そこで今回は特技兵の人に来てもらったんです」


「へえ~……特技兵……?」


 特技兵?それって軍に所属してるってことじゃ……。


「それってつまりアメリカ軍と自衛隊の方?」


「そう言う事です。軍の上層部は既にご存じですよ。それでも一部の方々ですが……」


 ソフィアさんが説明すると連れの二人が敬礼をする。


「それって僕たち大丈夫なんですか?」


「うーん……」


 ソフィアさんが悩んでいる。しかも田部さんも悩んでいる。


「言ってもいいんじゃないですか?」


「そうですね」


「な、なんですか?何か問題でも?」


「いや。薫さんたちについて現実世界ではすでに協定が結ばれつつあるってことですかね。もはや国同士で」


「待って下さいよ?それどういうことですか?」


「まあ、移動しながら話しましょうか。あまり待たせるのも……」


 ソフィアさんが後ろを見ると、猛獣の目をした研究者たちが……。


「マッドサイエンティスト化されるのも困るので行きましょう」


「あ、はい。ただ……」


「お待たせ!薫兄!」


「遅れたッス!」


 遅れて泉たちがやってきた。


「どうしたのです?」


「それは……あ、カーターさんちょうど良かった!」 


「うん?どうした?」


「執事さんに頼まれていた防具をお渡ししておいたので確認してくださいね」


「自信作ッスよ!」


「そうか!それは助かる!シュナイダーの件の前に出来たのはありがたい!」


 どうやら製作依頼されていた防具の仕上げと納品で遅れたってところか。 


「泉、フィーロ?問題無いなら行っていいかな?」


「うん」


「問題無いッス」


 僕たちは魔法陣へと移動して発動させる準備する。


「それじゃあ!先に僕たちが行きます!皆さんは後に付いて来て下さい!」


「こっちの事は大丈夫だから心配するな!」


「任せたわよ!」


 カーターとサキに見送られながら、僕たちは魔法陣を起動させるのだった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―「魔導研究所クロノス・ポータル場」―


「ここが……」


 全員が薄暗い施設を見て驚いている。このポータル場はドームのような円形上の施設なっていて、出入り口を含めて12等分されている。今回はその一つに出て来た感じである。


「薫様。お待ちしていました」


 ちょうど全員が集まったところで魔法陣の前に待機していた投影機が起動。セラさんを映し出す。


「こちらの方々がこの施設の修復を?」


「それも含めた人員だよ。僕の権限でこの施設滞在の許可をだすけどいいかな?」


「かしこまりました」


「うお~~!!完璧な3Dホログラム!!どうなってるんだこれは!!」


「魔石を使ってるのは当然だろうが……見事だな」


 直哉たちがセラさんに近づいてあっちこっち見ながら体を奮わせている。ただ、男共がセラさんのじっくりと観察している光景を見ると……。


「変態にしか見えないね」


「研究者とは変な奴が多いですから……頭がいいほど」


 女性陣から冷ややかな目が男共に送られる。しかし、狭心中の彼らを止めるほどでは無いようで気にせずに観察している。しかしセラさんが少し困った表情を見せているな……。


「……雷連弾」


 落ち着け!っという意味を込めて男共に雷を落とす。全員が感電してその場に倒れ込む。


「さて、行きましょうか」


「ですね」


「それではご案内します。それで……」


「起きたら勝手に来るから大丈夫!」


 セラさんにそう説得して、僕たちはメインコンピューターのある部屋に移動を開始する。


「それで薫さん。先ほどの話なんですが……」


 歩きながらソフィアさんと田部さんが話しかけてくる。ちなみに二人の連れは男性だったが終始冷静で、今は僕たちの後を付いて来ている。


「何どうしたの?」


 そこに泉たちも加わる。


「泉たちにも話していいの?」


「はい。問題ありません。というよりりお二人にも関係があるので」


「私達にも?というよりこっちの人は?」


「内調の田部さんだって」


「ないちょう?」


「内閣情報調査室。縮めて内調。官邸直属の情報機関だよ」


「お初お目にかかります」


 田部さんが泉たちに対して挨拶する。


「それで先ほどの続きとは?」


「私の所属する組織が笹木クリエイティブカンパニーの隣の土地に研究所を建てることになりました。これには日本、アメリカそれとイギリスにEUも関わってます」


「そこまで広がってるんですか?」


「元々、私の組織の発足場所がヨーロッパなので。それだから色々融通が利くのです。それと中国とロシア、オーストラリアとどんどん事を進めているようです。まあ、バレないように裏からですが」 


「2、3年後の発表に向けてですか?」


「ええ。事前に知ってる権力者を増やしておけば少しでもややこしい事柄を省けるので。そこにいる田部さんもこちらとのパイプ役として動いてもらいます」


「まさか連れの方も?」


「勿論」


「軍部にもこちらの事情をしってもらい、いざという時の事態に備えているのです。すでに薫さんの住んでいる地域の近くの駐屯地は対グージャンパマ用に配置を変えたりしてますよ」


「うわ……そこまで?」


「むしろ、そこに駐屯地を造りたいぐらいと上層部はボヤいてましたよ。それと薫さんたちが希望するなら駐屯地の案内も喜んでするということですよ」


「それって……そういうことですよね?」


 僕は田部さんが連れて来た特技兵を見る。自分より年配で何故か熟練兵のオーラを漂わしている。それはソフィアさんの連れもそうなのだが……。


「ちなみにアメリカも日本にある駐屯地ならオッケーですよ」


「……考えときます」


 きっと、この連れの方はただの特技兵じゃない!と思いつつ黙って施設内を歩くのだった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―「魔導研究所クロノス・メインコンピュータールーム」―


「大分破損が酷いな……」


「まずはメインの動力炉の復旧に配線だな」


「施設内に資材を運べるように転移魔法陣を設置したいですね」


「魔道具セシャトを作って正解だったな……お陰でこの設計図に書いてある必要な材料が分かる」


 麻痺から立ち直った男共も混ざって施設内の感想とこれからを話し合っている。ちなみに彼らにはそれぞれこの施設内にあった電子パッドで確認してるのだが……ディスプレイは空中に浮いてたりする。それを普通の電子パッドと同じように操作して話し合っている。ソフィアさんたちの連れも一緒で特技兵というのは嘘では無かったようだ。僕たちは専門家に任せて会議に参加しているセラさんとは違うセラさんと会話をする。


「なるほど……つまり、そちらの泉様にも権利があるということですね」


「え?そ、そうなの!?」


「条件はアンジェ様の血縁者ですから」


「……薫兄?」


「どうしようか……」


「それと……薫様?ご婚約者様と領主様が正面玄関においでです」


「え?ユノが?」


「どうされますか?」


「入ってもらって。案内は……」


「すでに予備の機械を向かわせてます」


「ありがとうございます。……直哉!修繕関係の話を任せていいかな?」


「うん?ああ!問題無い!とりあえず方針を固めとくからそちらはそっちのやるべきことをやるといい」


「分かった。許可が必要ならすぐに訊いてね」


「ああ」


 僕たちは修繕関係を直哉のグループに任せて、僕たちのグループはユノたちと合流して別の問題の話をしに部屋を後にするのだった。

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