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117話 少しずつ変化していく世界

前回のあらすじ「お盆休みはまだまだ続く」

―「ビシャータテア王国・屋外プール」―


「器用に泳ぎますね」


「まあ、上半身隠さないといけないからね……」


 僕はパーカーを着たまま、プールの中に入って泉やユノみたいにプールで遊ぶ派に混じって満喫している。


「泳ぎにくくないの?必要ならあんた用に泉ちゃんに頼んでビキニを用意してもらったからいつでも……」


「着ないから!というか何、用意してるの!?」


「……見てみたいかも」


「ユノ!!??」


「今度、おねだりして着てもらいなよ~!上目遣いして迫れば……」


「薫兄が落ちる!!」


「落ちないから!!」


「た、大変ですね薫さんも」


「ですね……」


「そこ!何、関係ないふりしてるの!この国のお姫様だよ!!」


 お姫様としての品行方正はどうするのか……。


「そこは個人の自由です。外と内をしっかり使い分けれれば問題ありません」


 王子様がきっぱりと答える。つまりバレなければお相手が女装しても問題無いと!?


「……あれ?レイスちゃん達は?」


「おばさん。あっち。浅い場所で精霊同士で遊んでる」


 泉が指差す方向でレイスたちが水着を着て遊んでいる。プールでは体格差があるため、どうしても今みたいに分かれて遊ぶことが多いらしいとサキとマーバが教えてくれた。


「でも、女性の精霊ばっかりでワブーって名前の男性精霊は退屈じゃないの?」


「いや。バッチリくつろいでいるぞ」


 カーターが指差す方向。そこはパラソルが立てられた区域でその下でカシーさんがサングラスを付けてビーチチェアでくつろいでいた。


「どこ?」


「その隣にあるテーブルの上」


 あ、カシーさんと同じようにくつろいでいた……優雅にドリンクを飲みながら。


「本当だ……」


「シーエさんもバッチリだね」


 その隣にシーエさんがオシャレな眼鏡をかけてビーチチェアでくつろぎながら持ってきた本を読んでいる。さらにプールサイドを見ると足をプールに付けた状態でお喋りとスマホで撮影している昌姉とマスターに父さんのグループ……。


「あれ?撮影オッケーなの?」


「ドローインは家族なら……それ以外はああなります」


 王子様が指差す方向を見ると、屈強な男性が頭を鷲掴みにした顔の腫れた男性客を引きずっていた。


「なるほど」


「それと監視員の奴らには俺達が言っておいたから撮影は問題無いから安心してくれ」


 いつの間にそんなことを……。まあ、助かるけど。


「おーい!明菜ー!こっち向いてー!」


「上手に撮ってね茂~!!」


「薫に泉ちゃんもこっちいいかしら!?」


 父さんたちのグループが撮影隊になっている。


「はーーい!!ほら!薫兄!それにユノちゃんも!」


 泉に言われて、僕たちはそちらに手を振る。


「そしたら……流れるプールにいこう~!」


 母さんがそう言って、ユノと王子様を連れてプールから出て移動を開始する。その姿は年上の兄妹が下の親戚の子供をお世話しているように見える……。


「年齢さえ知らなければ、違和感が無いんだろうな……」


 違和感が仕事しないのはお決まりだからしょうがない。


「私達も行こうか」


「うん」


 その後、流れるプールに波のあるプール、そしてウォータースライダーとプールを満喫する。その一番、先頭で遊んでるのは母さん。それに釣られてユノと王子様、そしてその後を付いていく僕らという感じで遊んでいく。……小説ならここで水着がポロリ!というハプニングがあったりするのだろうが……。


「そんなことがあるはずが無い……」


「薫兄?どうしたの?」


「ううん。何でもない」


 思わず、頭の中で思っていたことが口に出てしまった。


「きゃ!水着が!」


 と思っていたら、別のどこかのグループでそんなハプニングが起きたみたいで、猫獣人とウサギの獣人のビキニトップスが外れてしまったようで、とっさに水に潜って隠している。


「波のプールならありえるわね……」


「そうだな……で、何で俺は目隠しされている?」


「薫兄はともかく男のカーターさんは見ちゃダメです!」


「僕!男!!」


 その後、仲間が流されたトップスを持ってきてこと無き事を得る。そんなハプニングがありつつもプールを楽しんでいくのだった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―お昼頃―


「薫さんの作ってきたお弁当美味しいです!」


「ユノの言う通り本当に美味しい!」


「多めに用意してきたからいっぱい食べてね」


「俺の方でも用意しているから食ってくれ」


 遊び疲れてお腹が減ったので、僕とマスターの持ってきたお弁当をユノたちが食べている。ちなみに出店があるのだが……ワイルドな塩と胡椒のみで味付けした串焼きとか、バリエーションが少ないとのことだったので持参したのだが、見てみるとそうでもなかったので、今、母さんたちが買い出しに行っている。


「買ってきたよ!串焼きとフライドポテト……それに焼きおにぎり!まさか、こんな洋風な世界に米とは……驚いたね」


「フライドポテト……やっぱり、こっちで流行ったんだね」


「ああ。それと食べ過ぎ厳禁と言われた通り注意喚起しといたぞ」


「何?これあんたが流行らせたの?」


「うん。会議とかでグージャンパマに来る際に、こちらの材料でも作れそうな物をイスペリアル国の厨房で教えてるんだ。あ、ちょうどいい所に泉たちも来た」


「お待たせ!これ、かき氷!味付けはチーゴとクート、スクメね」


「チーゴ?、クート?」


「チーゴはイチゴ。クートは桃でスクメはメロンみたいな味のする果物だよ。それを砂糖と煮立たせて最後にレモンに似たレーモンドを入れて作ったんだ。あ、上にかかっている練乳も作ったんだ」


「今やかき氷屋さんがあっちこっちに出来てるからな……」


「フライドポテトも飲食店で当たり前になりましたね……」


 二人が料理を食べながら、最近の食糧事情の話をしてくれる。買いに行っていたグループが戻ってきて食べ始めたので、僕もおにぎりを一口食べる。


「後はケチャップがあればフライドポテトは完璧なんだけど……香辛料が見つからないんだよね……ニンニクはあったけど、他のローリエとか……ビネガーはもう少しで出来そうなんだけど……」


 グージャンパマの食べ物への執念というのが、こっちの情報が入ったことで一気に爆発したみたいでどんどん新しい食材が見つかっている。ビネガーは笹木クリエイティブカンパニーとこちらの酒蔵と協力して現在、発酵中である。今後は醤油や味噌。さらに長期保存が可能な漬物とかも着手する予定である。


「おかげさまで、行商人の利益がうなぎ上りらしいわよ。あっちこっちで食材の取引が行われてるわ」


「それと薫兄……ちゃっかり焼きまんじゅうを流行らせたよね」


「味噌が無いからそれっぽくだけどね……」


 グージャンパマではお菓子はまだまだお高い高級品といことで、お腹が一杯になって値段が安く済むお菓子ということで教えてみた。そしてもう一つの理由が、よく漫画やSNSで話題になっている全国○○化計画を参考にしてここを第二のグ〇マー帝国として……その第一歩……。


「(……まあ、無理だな)」


 小説のネタにいいかもと思ってやったけど……あまりこれには期待はしていない。


「何か言ったのです薫?」


「ううん。何でもない」


「しかし、こう見ると種類豊富ッスね」


「最高だぜ!」


「まあ、周りの視線が痛いけどね」


 サキの言う通り実は羨望の目で見てくる人たちが先ほどからいたりする。目立たない場所で昼食を取っていたのだが……やっぱり目立つか。


「というか……別の意味で視線を集めていたけどな……幾らなんでも美男美女が多すぎねえかこのグループはよ?」


「イケメン男性はカーターさんとシーエさんに王子様の三人だけど……残りは美女だからね」


 父さんとマスターがそう言って、水筒から淹れたお茶を飲む。


「って父さん?」


「はいはい。お前は美女な」


「マーバの言う通り全員、満場一致だから諦めなさい薫」


「……解せない」


 玉子焼きを食べながら、皆のその意見に否定をする。


「しっかし、食べ過ぎちゃいそうね……」


「うん?それがどうかしたのです?」


「水着で食べ過ぎると……お腹が……」


 そう言って、女性陣がお腹を気にする……確かにそういえば……これ以上は何がとは言わない。


「変わらないッスよね?」


「そうね」


「太るとかはあるが、食べ過ぎてお腹が大きくなることは聞いたことが無いな」


 その精霊たちの言葉に、解せない……。と女性陣全員が呟くのだった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―それから十数分後―


「きゃ!」


 昼食を取り終えて、食後の休憩を取っているとまた、女性の悲鳴が聞こえた。今度はドワーフかな?小柄で幼い顔立ちをした少しふくよかな女性が胸を腕で隠していた……って。


「今度は普通のプールか……」


「シーエ隊長」


 すると、先ほどの屈強な男性……監視員がこちらに来る。


「休暇のところすいません」


「どうかしましたか?」


「どうやら、魔石を使って女性の水着をはぎ取っているヤツがいるようで……」


「そうなんですか?」


「ええ。被害に遭った女性の連れの方が不自然に水着の紐が解けたのを見ています」


「困りますね……」


「こういう奴って中々、捕まえにくいんだよな……」


 シーエさん達が考え出す。


「……どんな手段でもいいの?犯人がどんな姿になっても?」


 母さんが何か閃いたようである。しかし、どんな姿とはどういうことだろう?


「何か名案でも?」


「うん。ということで……皆、ちょっと耳貸して」


 そして、その妙案が発表される……いや!


「嫌だからね!!」


「まだ、何もいってないじゃないの?」


「あ~……なるほど。それは確実かも」


 僕が否定したところで、その妙案が何かが全員に伝わったようで。


「ということで、頼んだ薫!」


 その後、全員から押されるような形で無理矢理この作戦が実行されるのだった。


―クエスト「水着をはぎ取る変態野郎を捕まえろ!」―

内容:うら若き乙女の水着をはぎ取ろうとしている悪い奴がいます。そいつをとっちめましょう!!

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