無題2
喘鳴。弱酸性の染みが点々とついた床を浴槽から溢れ出した甘い甘い雲が覆ってしまうけれど、気を確かに持ってどうか響く時計の音に呑まれぬように。
吐息。眼鏡を直すその左手は震えてはいないか、どうも今日は惰弱な感性がここの世界も灰色の森林にしか見えないようで単調に流し見をするのみ。
なんて。
血痰。実験の嗜好性に関わらず落選しようがお構いなしに続けようじゃないか、だってヒトサシ指をしゃぶるという退屈な行為に中毒性を持ってしまうほどに時間の浪費は悲嘆を持って応ずるものだから。
偽装偽装。構わない想像力で補おう、黒鉄の万年筆で書きなぐろう、情報強者には気をつけて。ただ回る意識を手放さぬように始めはそれで上出来だ。
口元をぬぐう。明瞭に窓から差し込む朝日という名の業火は白い肌を這いずって綿糸を照らす。小人の踊りはもう滑稽で憤然とした妖精に嘲笑されるのみだ。
落胆。真白なおしろいを食べる食道は未確認のあぶくとなって消えゆく、しわのよった布団には陰影が行く末を暗示しているようで不気味な、ああ邪魔だもう視界から剥ぎ取ってしまおう。
牢獄のよう。
刮目。拉麺に落ちた雷は香ばしくも不可逆は延々と終わりなく、垂れる汁が粘性を帯びるまでの時間は次の暗転とどちらが早いだろうか。
諦観。不安に染められた日常の感度をどれほどに調節するかで難易度が変わるという機械的な思考を持って、非難はされようが仮想のカーテンレールにはぶら下がっていない。届かない。方法がない。
髄液。母となる病床に背面から広がる雑音が夜鷹の夜さまよう様に似ているようで、偶然だろうと同等の存在は対照的に壊滅的な道徳性を謳歌しているに違いない。
平臥。春泥に囚われるのは私ただ一人なのだろうか。黎明に囁いた夢枕は忘却の大河へ。
呑まれるな、呑まれるな、呑まれるな、呑まれるな。
決意。まだ春を知らぬうちに、契りを終えてたまるものか。
せめて一花、咲いてから、それからだ。




