表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
詩集  作者: 矢作 日和見
PR
19/20

無題2


 喘鳴(ぜんめい)。弱酸性の染みが点々とついた床を浴槽から溢れ出した甘い甘い雲が覆ってしまうけれど、気を確かに持ってどうか響く時計の音に呑まれぬように。

 吐息。眼鏡を直すその左手は震えてはいないか、どうも今日は惰弱な感性がここの世界も灰色の森林にしか見えないようで単調に流し見をするのみ。


 なんて。


 血痰。実験の嗜好性に関わらず落選しようがお構いなしに続けようじゃないか、だってヒトサシ指をしゃぶるという退屈な行為に中毒性を持ってしまうほどに時間の浪費は悲嘆を持って応ずるものだから。


 偽装偽装。構わない想像力で補おう、黒鉄(くろがね)の万年筆で書きなぐろう、情報強者には気をつけて。ただ回る意識を手放さぬように始めはそれで上出来だ。


 口元をぬぐう。明瞭に窓から差し込む朝日という名の業火は白い肌を這いずって綿糸を照らす。小人の踊りはもう滑稽で憤然とした妖精に嘲笑されるのみだ。


 落胆。真白なおしろいを食べる食道は未確認のあぶくとなって消えゆく、しわのよった布団には陰影が行く末を暗示しているようで不気味な、ああ邪魔だもう視界から剥ぎ取ってしまおう。


 牢獄のよう。


 刮目(かつもく)拉麺(らあめん)に落ちた雷は香ばしくも不可逆は延々と終わりなく、垂れる汁が粘性を帯びるまでの時間は次の暗転とどちらが早いだろうか。


 諦観。不安に染められた日常の感度をどれほどに調節するかで難易度が変わるという機械的な思考を持って、非難はされようが仮想のカーテンレールにはぶら下がっていない。届かない。方法がない。


 髄液。母となる病床に背面から広がる雑音が夜鷹の夜さまよう様に似ているようで、偶然だろうと同等の存在は対照的に壊滅的な道徳性を謳歌しているに違いない。



 平臥(へいが)。春泥に囚われるのは私ただ一人なのだろうか。黎明に囁いた夢枕は忘却の大河へ。


 呑まれるな、呑まれるな、呑まれるな、呑まれるな。


 決意。まだ春を知らぬうちに、(ちぎ)りを終えてたまるものか。

 

 せめて一花、咲いてから、それからだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ