第三・五波『小国のうつけ王子』
私はまず一度読んでから、感想を書くと決めたものは再度読み直しながら書いていきます。
つまり「二度読める面白さがある」ことが感想を書く為の最低条件なのです。
その他、本日読んだ作品
『謹啓 勇者様 ~あなたが壊した異世界の後始末に連れてこられましたよ~』……謹啓を用いた理由がわからなかった。結語もなく、手紙形式でもない。
『貧乏領主村、ラナークにようこそ!』……早速裕福になる展開であり、タイトルの意味は早晩失われるだろう確信が持てる。
本日のタイトル
『小国のうつけ王子』
著者:「whitestyle」様
この作品は感想条件である「50000文字以上」を超えていない為、現段階での暫定的な評価値とする。
後に改めて投稿しなおす可能性あり。
ジャンル:記憶転移
タイトル評価:2.5 (最高5.0)
このタイトルでは後の展開に困ることとなるだろう。
「小国」「王子」としてしまった以上、小国の王子以外の何者にもなれない縛りが生まれてしまった。
展開次第では改題することも想定される。
その点を除けばわかりやすいタイトルである。
あらすじ評価:3.5
わかりやすく簡潔であり、展開を想像させるには丁度いい塩梅となっているが、タイトルと被っているのが気になった。
減点対象は「バウエル王国と呼ばれる小国。その国には~~」という書き出し。
「小国。その国には」という書き方をしているが、区切った上で「その国」と言い直す必要はないように思う。これだとバウエル王国という国が強調されてしまうのも宜しくない。
「バウエル王国と呼ばれる小国には」の方が小気味よく流れ、その後にある『うつけ』を強調したいのだとわかりやすくなるだろう。
世界観評価:1.0
「中世ヨーロッパとかその辺りの文明力」
よく用いられる表現だが、中世時代は1000年もある為表現としては最低である。
中世後期のフランスなどといえば特定もできて想像もつくが、中世ヨーロッパとはどの年代のどこの国なのか、読み手によって想像が全く異なってしまう要因となる。
せめて「〇世紀辺りの~~」か「中世〇期の~~」とするべきであった。
また文章内に中世時代にはない環境理念も出てくる為、一層想像が難しくなってしまっている。
文章評価:3.0
やや贅肉の多い文章となっている印象を受けた。人間に例えれば10代前半といったところか。
もう少し句読点を減らし遊びを省いた方がよりクレバーでスリムな構成になるだろう。
主人公が参謀系である場合、地の文には智謀の高さが求められ、遊びとのバランスは非常に難しい。
「ついてこれるならついてきてみろ」という、読み手を振るい落としにかかるぐらいの難解な文章が稀にあることで主人公の智謀を際立たせるという手法もあるが、作者が設定した主人公の能力を地の文でどう表現していくかこれからに期待したい。
構成は良い。誤字・誤用の少なさも高評価。基本的な能力は高い。
内容評価:4.5
この小説の舞台は魔法が存在する世界である。
主人公こそ魔法技能がないが、身の回りに魔法を使える者もいるし、であれば魔法に頼って当然といえる。
しかし主人公はほぼ知識にのみ頼っており、魔法をそこまで当てにしていない。
その為、構図としては「現代知識VS魔法」という形となっており、この点が個人的に面白く好印象を受けた。
私自身「現代知識と魔法を組み合わせて後天的な天才という主人公になるんだろうな」と思って読み始めたものだが、結果として良い意味で想像を裏切られる形となった。感無量である。
総合評価:-
今はまだ規定文字数である50000文字に達していない為、総評が出来る段階ではないとだけ言っておく。
物語はまださわりを少し過ぎた段階であり「面白かった」等、過去形で感想を言えるラインには達していない。
だが、主人公の行先を思うと孤立して魔王の道を行くのか、想像もしない道を歩いていくのか期待に胸が膨らむばかりである。
この作品が恐らく今週イチ押しの作品となるでしょう。
作品リンク
https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n9851ee/