第三波『魔法貴族の優雅でない酒造り奮闘記』
他に読んだ作品
『異世界旅行は落ち着かない 』……文章構成に難あり。内容自体は良いだけに今後に期待。
本日のタイトル
『魔法貴族の優雅でない酒造り奮闘記 』
著者「十一屋 翠」様
ジャンル:酒と魔法と女とコメディ
タイトル評価:2.0 (最高5.0)
可もなく不可もなく。
音を良くする為に用いられたのであろう「魔法貴族」という単語だが、作中設定では貴族=魔法使いである為、魔法貴族という単語自体がおかしいものとなっている。
また、よくある「優雅なる」というフレーズの裏を書いて「優雅でない」としたのだろうが、裕福な貴族が女性を連れて酒を飲む姿は優雅そのものである。
酒造りに奮闘しているシーンも見当たらなかった。
あらすじ評価:2.0
タイトルと同じ理由で「魔法貴族」という作中にない単語が登場するのだが、その直後に「魔法が使えない落ちこぼれ」という、あらすじ段階で読者を混乱に陥れるトラップが用意されている。
内容を読めば意味はわかるが、初見ではまず読み直しが必要となるあらすじとなってしまっている。
文章評価;2.5
誤字、誤用がしばしばみられ、句読点の抜けも多い。丁寧さに欠ける印象を受ける。
基本的には文章能力は高く、句点の抜けさえ気にならなければ支障を受けない構成をしている。
話の流れや描写もまずまず。
酒作りに関する知識は備えていると思われるが、いざ酒を造る過程や酒の味、香りを表現する部分はおざなりと言わざるを得ない。
特に酒の味を表す部分で「酒の味」としてしまったのは致命的だった。何ら伝わってくるものはなし。
内容評価:2.5
基本的には1話完結で構成されており、しおりを指すタイミングには困らない。
話はタイトル通りの「酒造り」というよりかは、酒をとりまく周辺の人間関係の話がメインというような印象を受ける。
「酒で繋がる交遊録」とでもいったほうがピンとくるかもしれない。酒造りは話のオチとしてある程度。
総合評価:2.5
酒を造る小説はしばしばあるが、大抵は主人公が適当に作った酒を全自動絶賛マシーンであるモブ共が洗脳されたかのように褒めたたえるだけのご都合主義であるのに対し、この小説は主人公よりもむしろその話ごとに登場したキャラが目立つ造りをしているのが好意的評価につながった。
山場といえる山場は用意されていない、いわゆる日常系小説に属するか。起伏に富んだ話を求める人には向いてないが、のんびりと読みたい時には丁度いい小説であるといえるだろう。
しかし、ほとんど酒を造ってないんじゃなかろうか。
また更新期間が長く空いている為、今後に不安がある。
追記:この小説に限らずよく出てくる「ビンゴ!」というフレーズだが、その世界にビンゴゲームがあるのか甚だ疑問である。
現代からの転生物であれば良いが、そうでない場合は意味不明な言葉を突然思いついた変人でしかない。
またビンゴという言葉が誕生したのは1900年代以降である為、時代的にそれ以前の話であれば「ビンゴ!」と口にしてしまうのは致命的に矛盾していることを指摘したい。
正直感想を書くか非常に迷った作品でした。
今日の気分が飲食系ファンタジーであったことが要因でしょう。
作品リンク
https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n6781cj/