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第十四波『使い魔さんは危ない人でした!』 ※きつめの表現多数。

その他、読んだ作品

『異世界で、のんびり趣味に走りたい』…10話の壁を越えられない。冒頭が鉄壁。呪いの一種かと感じる。

『うちの転生者が諦めない』…何と言っていいのかわからない。無味無臭の空気を食べて感想を求められた時のように答えに窮している。

『日本男子、異世界に立つ』…独り善がりに過ぎると感じた。拘りと勢いは伝わるがそれ以外何も伝わらない。得たものは疲労。

『(連載版)日本が日露戦争後大陸利権を売却していたら? ~ノートが繋ぐ歴史改変~』…これは面白い。感想を書きたい程だがファンタジーと言っていいのかわからない為に感想を諦めた作品。比較的ライトな歴史作品なので詳しくない人も一度は読んでみる価値あり。

本日のタイトル


『使い魔さんは危ない人でした!』



  著者:「ぺす」様




 ジャンル:仮想現実からの異世界転生ファンタジー




 はじめに。

 普段、感想を書く際はまだ読んでいない人の事をベースに考え、可能な限りネタバレを避けつつ参考となるような感想を書くように意識しています。

 ですが、今回に限り読み手の参考というより、書き手に対してのダメ出しというような意味合いで書かせていただきます。

 そうなった理由としては、VR系小説が増えている昨今で、本作品がこれだけは絶対にNOというラインを著しく踏み越えていると感じたためです。

 不快な記述や、個人の価値観による偏りが見られるとは思いますが、ご理解ご了承ください。




 タイトル評価:1.5(最高5.0)

 このタイトルを見て、主人公が「使い魔」だと思う人はどれだけいるのだろうか?

 普通に考えて主人公は「使い魔を呼んだ側」であり、「使い魔として呼ばれた側」は主人公の使い魔という立ち位置になると考えるのではないだろうか。

 もしくは、使い魔を呼んだ側と、使い魔側のダブル主人公で進むと考えるのではないだろうか。

 勿論そうではないからこその低評価ぶりである。

 



 あらすじ評価:1.5

 おおむね特筆すべき点はないが、どういった前提の話なのかはわかりやすい。

 と思ったのだが、内容を読んでみてその評価は覆った。

 異世界に行ってから全く意味をなさないVRMMO設定。更に転生した意味や理由も全て不明。

 内容を少しでも読んだ後にあらすじを見返すと、何の役にも立っていないと感じられる。

 



 世界観評価:0.0

 これが最大の問題点。

 VRMMOの仮想世界なのか、異世界なのか、まずそれがはっきりしない。

 そして、主人公は廃ゲーマーだったはずである。となればある種ゲームに依存しており、ゲーム内での強さや立場などに相当なこだわりを持っていてしかるべきだろう。

 それが突然異世界とやらに呼び出されて、その後はとっくの昔に辞めたゲームの話をしているかのような達観ぶりであり、何ら拘りを持っている様子がない。

 1ページ目でのこだわりは2ページ目で既になくしているという変化ぶりであり、これで納得できる読者は果たしているのだろうか。

 

 まずもって、VRMMOとは当然ゲームであり、そのゲームを作ったゲーム会社があり、プレイヤーは現実世界の人間である。

 これが当然の大前提であり、ゲーム世界で起きたトラブルの責任をとるのはリアル世界の人間ということを忘れてはならない。

 ところがこの作品はゲームを作った会社の名前すら登場せず、そもそも現実世界の情報が登場するのはほんの一瞬だけである。

 VRMMO特有の、リアルとバーチャルの共有という重要な題材が全く生かされていない為に、これほど無駄なことはないと感じてしまう。


 そして最も致命的な欠陥が、VRMMOをプレイしていた現実世界のプレイヤーはどういう状態なのかがさっぱりわからないことである。

 第一に、異世界に飛んだのがVRMMOのキャラクターという可能性。

 第二に、異世界に飛んだのが現実世界のプレイヤーという可能性。

 これらが考えられるが、作品を読んでいるとどちらも否定されているのがわかる。


 第一の場合だが、これならば現実世界のプレイヤーはログアウトできる筈であり、現実世界に戻れるはずである。ところが作中では出れないことが分かっている為、第一の可能性は消滅する。

 仮にログアウト不可状態だった場合、現実世界では大事件となっているはずだが、そんなものは存在しないとばかりに現実世界について触れられていないので推測しようもない。


 第二の場合だが、これだとしたらキャラクターの能力や容姿を有する理屈が成り立たない。

 転移したのが現実世界のプレイヤーだとしたら、転移した時はプレイヤーの現実世界の状態となる筈である。

 仮にVRMMO内部の何らかを媒体にして転移したとするのであれば、現実世界においてゲーム中の人間が突然行方不明になったという事案である。

 これもまた大事件であり、特にゲーム内で有数の知名度を誇るプレイヤーが突然キャラクターごと消滅したとするのであれば、ゲーム内や関連コミュニティは騒然となるはずである。が、そんな描写は一切ないので想像止まりである。


 なのにもかかわらず、何故かVRMMOのマイホームに帰れる主人公。

 一度たりとも現実世界やVRMMO内のプレイヤーに連絡を取ろうとしない主人公。

 これらの説明不足、というより設定不足ははっきりいって欠陥といえるほどに致命的で、最早物語として成り立っていないとさえ言っても良い。




 文章評価:2.0

 文章構成としてはきっちり成り立っている、その点は評価。

 主人公一人称視点と三人称視点が混在している点は大きく減点。

 



 内容評価:0.0

 評価しようがない。前提と設定に欠陥と矛盾が大きすぎる以上、内容は何も意味を成さない。

 粉々に割れた皿の上に料理を載せようとしているようなもので、食べる以前の話である。

 美味しい美味しくない以前に食べる事さえできはしない。




 総合評価:1.0

 VRMMOを用いた物語として一番やってはいけない事をやってしまった作品である。

 現実世界が関わらないのであれば、VRという言葉の意味が成り立たない。

 もし他にVRMMOを題材に小説を書こうとしている人がいるのであれば、反面教師として読んでみるのもありかもしれない。

 


 

作品リンク

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n0061eu/

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