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第十三波『その参謀、十三歳』

最近は別サイトに行っておりました。

こちらでも読んでましたが、ほぼ歴史ジャンルオンリーでしたので感想は書きませんでした。

本日のタイトル


『その参謀、十三歳』




  著者:「刀綱一實」様






 ジャンル:シリアス系仮想現代ファンタジー



 タイトル評価:2.5(最高5.0)

 まずタイトルを見て感じたことを率直に言えば、この物語は物語中の一年の間に全て終わるのか?という疑問である。

 『その参謀、十三歳』という題名の物語で十四歳になってしまったらタイトルの価値はなくなってしまうだろう。


 それ以外で言えば、引き込みという面から見れば、中々に興味が惹かれるタイトルではあるのでその点は評価したい。

 『参謀』というフレーズからして、主人公は知恵者であり、物語に軍事系の要素が含まれていることも推測できる。著者の拘りが感じられるものとなっている。



 あらすじ評価:2.0

 一言でいえば雑。

 何が何だかわからない。

 冷静に考えて、全く話を知らない人が「妖怪と戦う為に軍へ入隊した」と言われても、「軍」て何軍なの?という疑問が出ることだろう。対妖怪専用の非正規軍なのか、国防軍なのか。他の何かなのか。

 更に、まず妖怪という概念を登場させるのであれば、何故妖怪がいるのか。妖怪と人間の関係はどうなのか。

 そういうところの話の筋が欲しかったと感じる。


 例えば

 『ある時【妖怪】と呼ばれる異形のモノ達が蜂起し、人間達にその爪牙を立てた。突然の出来事に始めは混乱した人間達であったが、やがてその混乱に対応すべく対妖怪退治のスペシャリストを集め、一つの軍を起ち上げた』

 のような文を入れても差し支えはなかったのではなかろうかと思う。

 上記文はネタバレを避ける為に重要となりそうな要素には一切触れていない為、かなり不親切だが著者の意向次第では幾つかのワードを加えるだけで、内容を伝えやすくなることだろう。


 実際のあらすじでは物事が雑多に書かれているだけであり『筋』としての説明がなされていないので、その点が大きくマイナス評価となった。



 世界観評価:3.0

 作りこむところは作りこんでおり、拘りが随所に見られる点は非常に高評価。


 また、内容に触れないように書くのが難しい為ぼかした言い方になるが、不思議な世界観ではある。

 ジャンルのところでは、現代という言葉を用いたが、実際には現代なのか不明。

 あくまで仮想現代であり、日本っぽい感じの国で日本語っぽい言葉を話す人達がメインの話というところだろうか。

 イメージとしては現代日本の情景が浮かんでくるが、それで差し支えはないようにも感じられる。

 ただし、妖怪という要素とそれに付随する要素が現実と乖離してる為、人によって主人公やそのほか登場人物の外観が大きく異なるだろう。

 それを想像の自由性と評価するのであればプラス評価。

 イメージが固まりづらいと感じるのであればマイナス評価となりえるだろう。

 


 文章評価:3.0

 三人称視点の最も難しいところで躓いているように見受けられる。

 その点はマイナスといえばマイナスなのだが、酷いとは言えない程度の質は保たれているので減点としない。

 ではその最も難しいところが何かといえば、「純粋に公平な客観性」である。

 つまり、登場人物の心の内を知っていてはならず、肩入れもしてはいけない。あくまで傍観者の独り言でなければならないのだが、これがことのほか難しい。

 その次点として、語調を統一させることが読みやすさに繋がるのだが、そこに拘ると読めるものがなくなるので余程のものでなければ評価対象とはしない。


 では何が減点となったのかといえばだが。

 単調。つまり、一定調子でありすぎるということに尽きる。

 傍観者の独り言、という枠さえ出なければ、遊びのはある程度自由なので、言葉で遊ぼうが登場人物で遊ぼうが自由なのである。

 ところが、この作品は説明に一生懸命でありそれ自体は良いことなのだが、少し強くいえば面白みが薄い。

 それは『こういう文を書いてやろう』という拘りがいまいち感じられないということもであり、長い説明書を読んでいる時のように淡々としてしまっているのが残念だと感じられてマイナス評価とつながった。


 ただし、誤字の少なさを始め、基礎的な能力は抜群に高い。見習うべきと言うのも酷なほどの精密ささえ感じるほどである。



 内容評価:3.5

 主観に偏った事をいえば、私は妖怪が好きである。

 妖怪が出てくるというだけで+1点ぐらいあげても良いほどに。

 しかしそれでは公平な評価にならないので、涙を呑んで1,5の減点をさせてもらった。

 とはいっても完結もしてなければ読了も未だであり、5,0をつけることはないので、実質最高点は4,5と考えた場合減点は1,0となる。

 それも減点理由は明快で、ひたすら妖怪と関わることしかしないのだろうかという機械的な要素に対する不満足感による。

 戦争中だろうと人は花札をするし、兵は殺しを忘れて一時の享楽や現実逃避に没頭することだろう。

 登場人物だけでなく読者の息抜きも必要であるし、人間らしさや束の間の朧気な平和がある程度の頻度で欲しいという想いでもある、そこが減点理由となった。



 総合評価:3.0

 改めて、未だ読んでいる最中であり、最終投稿にまで追いついてはいない。どころか10分の1程度である。正統な評価となるかは自身をして断言はできない。

 そんな段階で感想とはこれいかに、という疑問や叱責を受けてしまうかもしれないが、あらかた読んでからの感想となると数か月後のことになってしまうだろうと予測され、そうなっては第一印象を覚えてるかどうかも怪しくなるので現段階で書かせてもらうこととした。

 何せ現段階で437話もある大河小説にして、シリアス色が強い物語でもある。

 一度に大量に読むとなると、紙面でもなければなかなかに厳しい。

 

 とはいえ、話自体はしっかりと構成され、よく考えられてもいる。

 こういう話が書きたい、という強い意志も感じられるし、437話も書き続けられる強靭な体力と精神力、それに継続性も持ちあわせている超優良な著者であることは疑いの余地はない。

 読者として尊敬を抱くばかりである。

作品リンク

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n7583cy/

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