オレと俺
目を全開にし今居る場所、出来事に目を回す。
そこには白い壁紙が貼られ、ベッドの横に机とパソコン、その横にテレビが置いてあるいつもの部屋とは違い
ゴシック調な壁に、床は大理石か何か石畳の様な床、カーテンで閉められているが窓もバルコニーが有りますよと言わんばかりの大きな窓
机も木製でその横には本棚に分厚い本がズラリと並んでる。ベッドは壁際って決めた日本人らしさの欠けらも無い真ん中配置。
一言で言うなら
「オレの部屋より広い…」
そんな事を一人思いながら今何が起こっているのか皆目見当もつかない感じだ。
「ここはー。」
「どこ?」
見て取れる、当たり前なセリフを吐き出し目を擦り頭を少し掻き、ベッドに横になっていた状態から上半身を起こし頭を抱えて脳が今の現状をどう捉えるか考えてる間に
ドンっ
上半身を行き良いよく倒された感覚があった。
「もーーーミナト起きた?」
「遅刻しちゃうよ?」
優しい声がベッドに押し倒されたと同時にしたそこはモデル体型で髪はセミロング位いつもいい匂いのシャンプーの香りがするオレとは立つ場所が違うオーラを出してる愛莉が居た。
「うぅえぇ!!愛莉!?おまっ何っやっ」
「何よ?いつも起こしに来てあげてるんだから感謝しなさいよね!」
「ちょっちょっ!いつもっ!?ってここはどこなんだ?お前も起きたらここに居たのか?」
にわかには信じられない現象を夢の続きか何かだと思っている湊翔は愛莉の言葉など耳にはいらず、愛莉に問いかける。
「は?何言ってるの?寝ぼけてるの?」
湊翔が寝ぼけてると思い愛莉は少しため息を着く。
「いやだから。。。ここはーーー。」
「もぉここはどう見てもあなたの部屋で」
「オレの部屋!?」
訳が分からない何で家が変わったのか?
(いきなり両親が帰ってきてオレが寝てる時にオレを別の場所に連れ出した?
それとも家政婦のタキさんが来て急にオレの部屋を模様替え?)
頭の中は混乱でバカみたいな発想しか思い浮かばない。
とにかく今はどうしてと言う問いしか頭に入って来ない。
「おいおい。オレの部屋ったっていつこんなゴシック調の感じにレイアウトしたんだ?」
「パソコンとテレビはどこだよ…電気類取り上げ?生きていけないっ」
湊翔はオドオドしながらそう答える
「もー本当にどうしたの?ミナトずっとここに居てその…電気?って何?」
今だ押し倒された状態のままの湊翔の上に乗りかかり健全な男子には何!?この状況と思わせる体制で二人の会話。
湊翔は少し落ち着く事を考え
「ちょっといいか?オレも健全な男子だからその…この嬉しい…じゃないこの体制を一回どうにかしたいんだが」
そう言いながら今のこの押し倒されてる状況をなんとかしたい状況を伝えた湊翔。
それを聞くと少し顔を赤らめて
「そっ…そうね」
愛莉は上に乗っかるのを素早く辞めてベッドの足元の方に座る。
湊翔も起き上がりその隣に座る
湊翔はゆっくり今の出来事を確認するかの様にゆっくり考えながら話す事にした。
夜寝る前は普通に湊翔の家。
朝、目が覚めるとそこは知らない空間…
湊翔のアニメ脳がある一つの見解を生む。
そして湊翔は恐る恐るは愛莉に質問をする
「それで…そのここはオレの部屋なのは分かったでもここは日本…?なのか?」
「本当にどうしちゃったの?寝ぼけてるのかと思ったけど昨日どこか頭でも打ったの?」
愛莉はそういいながら一拍置いてオレに話し続ける
「日本?ってどこの地名なのかは知らないけどここは王都モイラ。ずっと私達は子供の頃からここに居るじゃない」
予感は的中していた…
湊翔の脳から何か弾けた感じがした。
湊翔はおもむろに立ち上がり少しふらつきながら窓の方にヨロヨロと向かうその動きとは反対に湊翔の顔はプレゼントを貰ったかのように心が躍るようなそんな気持ちのままカーテンを手に取り一気にカーテンを開け放った。
「…」
湊翔は言葉を失った。
目の前の広がったのは空と言う空そして所々に浮かんでる浮遊島とも言うべきなのか何島か見える。本当にファンタジーの世界に居るかの様な光景に目を眩ませる
「やべぇーマジなんだ…」
湊翔は思わずそう呟いて今自分が立っている所が急に怖くなって急いで部屋の方に向き
「おいっ!!ちょこの部屋浮かんでる感じが半端ないんだけど、どうなってんだよー!」
気持ちの高まりを抑えられないでいる湊翔に愛莉は至って冷静だ
「何言ってるの?よく下見て」
「えっ?下?」
そう言って恐る恐るベランダなのかバルコニーなのか感覚的にはベランダより少し広めな場所
石で出来ているのか頑丈な感じがある。
そこに出て下を覗いてみる。
そこには広大な街が広がっていた。
そうここはさっき上空に浮かんでいたのと同じ浮島の上なのだ。
何か大きな建物の上の階。想像するにマンション12階以上の城と言うか壁が石で出来ている建物の上に建っている。
「すげぇ…」
想像を超える不思議世界に湊翔は足を竦ませ、ただ唖然の表情を浮かべるしかなかった。
そして湊翔は自分が異世界に召喚された事に気付くのだ。
「本当にどうしちゃったの?」
愛莉はいよいよ湊翔が寝ぼけてるだけではない事に気付いたのか少し不安気な表情でこちらを伺ってくる。
「大丈夫?体調悪いなら今日の学科休む?」
「いやっオレは何ともないぜ?」
湊翔はそういいながら少し考えている。
(オレが寝てた時は普通になにもなかった…でも起きたら異世界に転移されてた…でも愛莉は昔から知ってる愛莉そのままだ)
そう自分が全く新しい人間としてこの世界に召喚されたと言う事ではないと言う事。
だとしたら元々湊翔と言う一人の人間がこの異世界に存在した事になる。
「ちょっ…ミナ…と」
(もしそれが真実だとしたらこの世界のオレの人格はどうなったんだ?オレの方が優秀ちゃんだから異世界に召喚されたのか?そしたら前のオレの人格は消去されたとか?おいおいそれはどう考えても残酷だろ…可愛いそうなこの世界のオレの人格…)
そんな事を考えて一人で簡潔にまとめていた。
すると後頭部から軽い衝撃が走る
「痛って」
「ちょっと人が話してるのにうわの空しないでよねー!」
そう言って愛莉は湊翔の頭を小突いた
「わりぃわりぃってちょっと考え事してた」
「もー」
「で?どぉするの?学科行けるの?」
「なぁ愛莉…」
「なっ何よ真剣に」
湊翔は真剣な顔で愛莉に近づいて行く。
愛莉は急に湊翔が近づいて来て同様を隠せない状況だ。
「ミっミナトちょっ…今日おかしいわよどしたの?」
「愛莉……」
「ミナト近づき過ぎ…」
「オレの事…教えてくれ」
「は?」
二人の間に沈黙が流れたーーー。