朝
昔父親によく夜空を見に家の近くにある丘の小さな社が佇んでいる場所に連れて行って貰った事があるその時の手が届きそうな程の満天の星空にオレはゾッとした覚えがある
少し怖気ながら父さんの方を向くと少し悲しそうな顔で夜空を見上げていた
その時のオレはまだ子供ながら
(大人には触れてはいけない何かがあるのだろう)
と少しませた気持ちで父さんの顔を眺めて居た。
父さんはふとこんな事も言っていた
『世の中には変えられない事が沢山ある。もしかしたらそれは神々が与えた試練なのかもしれないな…父さんでも変えられない運命や出来事があるいい事も悪い事も…お前はこれから変えられない事が起きても自分を信じて強く前を向いて立ち向かえるような男になれ』
オレはとうとう仕事で何かがあったのかと思うようなその発言をツッコミを入れずただただ手が届きそうな満天の夜空を見ながら噛み締めた。
これから起こる沢山の変えられない事に立ち向かう事になるとはまだその歳には感じないままにーーー。
オレは結城 湊翔
高2年。中3の終わりに親が海外に赴任する事になりオレは高校も決まってた事もあり親に着いて行かず、一人日本に残る事を選んだ。
高校が決まっていたり、日本を離れたいとかではなく何故か親達が残る事を勧めた
『お前ももぅ立派な大人だしなっ』
家も実家のままだしタキさんも居るし大丈夫!!などとそんな変な理由で一人生活二年目の慣れた親の居ない環境。
因みにタキさんは家政婦さんだ週一、二で部屋の掃除や料理などを作ってくれる出張が多い家の家庭ではおばあちゃん的な存在だ。
今日も高校の授業が終わりどこにも寄らず家に直行して録画したアニメをイッキ見する予定だったのだが
「ちょっと湊翔!!」
鞄を手に取りすぐさま教室を出ようとする名前を不意に呼び止めたのはモデル体型で髪はセミロング位いつもいい匂いのシャンプーの香りのするオレとは立つ場所が違うオーラを出してる同じクラスで幼馴染みの姫宮 愛莉 (ヒメミヤ アイリ)だ。
「んだよ今日は家に帰って録画してるのイッキ見してぇんだよーだから見逃して?」
「まーたそんな事言って」
ため息混じりに愛莉は続きを話す
「今日は一緒に買い出しに行くって言ってあったでしょ?」
愛莉は幼馴染みでもあり家が近所というありきたりな幼馴染みキャラだが親が不在の湊翔の保護者件報告係でもある。
「だーかーらーほらっ行くよっえみさんにもちゃんと報告しないといけないんだし」
「母さんに報告ならオレがしとくよーもぅピチピチな17だぜぇ?子供扱いすんなよ一人で買い物も行けるよー」
「湊翔この前一人で買い物行った時三、四日分のご飯それ何日分よ?っていくら位の量買ってしかもそれ冷蔵庫に入れっぱなしで腐らしてたでしょ?」
「ー。」
「ちゃんと報告は来てるんだからね!!だから私がいないとダメじゃないー」
「同じ高校で家近所で世話焼きで幼馴染みでクラス一緒とかどんだけチートキャラだよしかも美人」
「え?なんか言った?」
「いえ。なんでも」
そう言いながら2人は教室を後にする。
家の近くの商店街を歩いてあれはダメだこれにしなさいと口うるさく言う名前
それに従って商品を手に取りお店の人に渡して会計をするそんな作業。
家に着く頃にはもぅ19時になっていた
「今日はありがと色々と」
照れを隠しながら湊翔はお礼を言う
「大丈夫だよー!!ちゃんとバランス良く食べるんだよ?お肉だけ食べて野菜残すのはなーし!」
「あいあいー」
「何かあったらメール分かった?じゃっまた明日学校で」
「子供じゃねーんだから!おうっまた学校でな」
そう言って手を振りながら愛莉は自分の家の方向に向かって行く。
湊翔が家のドアに手を伸ばし家の鍵を開ける。
「さーて料理作ってアニメ観るか♡」
今日買って来た肉や野菜を使う分だけ出し、残りは冷蔵庫にしまう
ちゃちゃちゃっと男飯料理を作り風呂を沸かし、テーブルに料理を並べる。
料理は全く出来なかった湊翔に母さんと愛莉が伝授してくれてオレなりのアレンジも加えれる様に上達した。
ダイニングでご飯を食べならが録画していたアニメを食い入る様に観ていた。
「やっぱ今期いいな~」
ついご飯をもぐもぐしながら誰も居ない部屋で一人語り出したり
「やっぱ声優とのマッチが大事だからなー」
語らずには居られないのか一人でテレビに向かって話すおじいさんみたいな状況だ
ご飯を食べ終わり三本のアニメを見終わり食器を洗いながらアニソンをズレた調子で鼻歌で一人、流しに立ちながらで披露する。
「よっし終わった~風呂でも入るか」
風呂に入りそこでも自慢のアニソン鼻歌は炸裂している、風呂から出たらいつもの様にベッドに潜り込みスマホを片手に携帯小説を読み始める。
何時間位読んでたのだろう。。。ふと睡魔が襲ってきた。
湊翔はウトウトし出して目の前がブラックアウトをしていく様を心地よい眠りに誘われているかのようにゆっくり目を閉じる。
ゆったりとした心地いい夢だった。
耳元で囁かれる歌なのか喋ってるのかそんな曖昧な声で囁かれる音は言葉に表せれないほど気持ちのいい物だった
(運命の扉は開かれたーーーー。)
(星々の導きになりてーーー。)
(神々の愛した地にーー。)
(愛を奏でるー。)
知らないはずの事なのに湊翔の内から言葉が出てくる。
気付くとその声と重なる様に自分も言葉を発していた。
深くそして心から安らぎが溢れてくる綺麗で輝いてるような暖かい感じだったそんな心地よい眠りからふと目覚める事になるのはスマホのアラームの音だった。
それに気付いた湊翔は
「もぅ朝なのか」
そう思いスマホのアラームを消しゆっくりと目を開けるーーー。
何か違和感を感じるのは目を半目から全開にする瞬間だったーーー。