姫、王都へ
明けましておめでとうございます!
少し遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。
山を迂回しきると、王都が見えた。
山によって見えなかったが、迂回した山から目と鼻の先と言っても過言ではないだろう。
木々に囲まれていたのでわからなかったが、低めの塀に囲まれており、堅牢さよりも華やかさを主にした作りをしている。
壁は白く美しいのだが、今は黒の襲撃を受け、血や泥で汚れ、所々が崩れている。
周囲には幾つかの黒煙が上がっていた。
「王子、この周囲や塀の先には生存者の反応は見当たりません・・・」
「ああ、こちらでも確認してみた。
その代わり、黒化した生き物が徘徊しているようだな。」
「城下は、ほぼ全滅状態ですね・・・」
「城門の奥に人の反応が見える。今は動きが無いが民を城に匿い籠城しているようだな。
既に多方面に救援を依頼しているはずだ。
問題は誰が指揮をとっているかだ。」
王子と兵士たちが状況を確認している。
顔は険しく、憤っているが、飛び出さず冷静であろうとしているのが見てとれる。
実際は今すぐにでも飛び出して、城に向かい、城内の安否を確認したいはずだ。
「魔術師部隊より使い魔による王都周辺の調査が終わりました。」
「よし、報告を頼む。」
「現在、王都の半分が黒化した獣とヒトにより壊滅状態に、城門から後ろ半分は家屋を崩し即席のバリケードを三重にして作り侵攻を押し止めているようです。
また、城門より外は兵士や騎士のみ出られるようにして、これ以上民間人の被害を出さないようにしているようてす。」
「この動きからすると、指揮をとっているのは兄上か・・・」
「また、黒の動きは、平時は城下を徘徊して餌を探し、生き物を見つけ次第襲いかかっているようで、時折、大きな遠吠えのようなものを合図に城門やバリケードへ攻撃を仕掛けているようですね。」
「黒化が統率された動きをしているのか?
そんな話は初め・・・いや、ベルンディッテやゴライアスを見る限り、そう言う事が出来る奴がいる可能性を考えた方がいいか。」
「そうだね、僕も使い魔とかを使って調べてみたけど、こいつらは一定の命令にそって動いているような感じだね。」
「賢者様。」
「会議中ゴメンね。でも今は少しでも情報が必要だろ?」
「はい、申し訳ありませんが、力をお貸しください。」
「ああ、もちろん。僕はそのために来たんだ。」
アキラさんの助言に王子は喜び、兵の士気は上がった。
「賢者様が力を貸してくださるなんて、百人力だ!」「流石は賢者様だ、私ももっと精進しなくては!」「王子と賢者様が手を組んだ、これは勝ったも同然だ!!」
と、盛り上がっている。
「この黒化だけど、統率されているのなら、指示を出している司令塔のような役割を持つ奴が居るはずなんだ。
こいつを見つけ出して倒さない限り黒化は王都を徘徊し続け、状況によっては此方を見つけ総攻撃をしてくるかもしれない。」
「でも、どうやってその司令塔を探すんですか?」
「そこが問題でね・・・城下を上空から確認してもそれらしい奴が見当たらないんだ。
家や瓦礫のなかには隠れている可能性もある。
なので、少々じれったいが、その遠吠えによる攻撃が開始されるまで待ってみようか思う。」
「くっ、分かりました。一度森へ身を隠した方が良さそうですね・・・」
「辛いのは分かるが、今は相手の出方を待つしかないんだ。」
「・・・はい。
魔術師部隊に使い魔の監視をさせておきます。」
やりきれない想いを抑え、王子が兵をまとめ、森の中へ撤収していく。
ため息をついてやれやれといった感じでアキラさんが往事を見送ると、私を見つけニヤリと笑って近づいて来た。
「中々に興味深い状況になっているようだよ?」
「その口振りですと、さっきの会話以上に分かったことがあるんですのね?」
「まぁね、まだ憶測の段階を出ないけどね、この隊だけだと司令塔になっている奴を倒すのは君になりそうだからね、予想だけでも伝えておこうかなってね?」
「分かりました、王子は兵の指揮で動けなくなるかもしれませんし、やれるだけはやってみますわ。」
「賢者様、俺はどうしたらいいんだ?」
「ルークは王子の護衛をしてもらおうかと。
本来なら不用な強さを持っているけど、焦りが油断を生むからね。
パティは僕と兵達の補助だ。」
「分かりました!」
「僕の予想が当たれば、案外早く終わるかもしれないよ、今回は。」
いや~・・・年末に足のホネを折りまして、仕事でも私生活でもてんやわんやです。
更には年末を乗り気って、気が緩んだのか風邪を引き完全防寒で仕事に向かっています・・・
皆さんも体には気を付けて!




