姫、次の目的地が決まる
「賢者様、大丈夫なのですか!?」
「ああ、不意討ちを喰らったけど、これでいて結構頑丈な体でね軽い打ち身だけさ。」
結構な勢いで殴られていたが、平気な体とは・・・
竜人の体はそんなにも頑丈なのか?
「してペイン王子、火急の要件のようでしたが?」
「不味いことになりましたね・・・
王都が黒に襲われ城下町の半分以上が被害にあっているようで急ぎ戻らねばならぬようです・・・
幸い、侵攻は遅く食い止める事は出来ているようですが、反撃に出れる戦力が足りないと。」
「それは・・・ゆっくりしている場合ではないね。
今の状況では町から出れる馬はほとんど居ない。
君も兵士も疲弊している。」
「はい・・・ですが、戻らねばこの国が無くなるかも知らないのです!」
「分かった、それならばこの僕が手を貸そう。
しかし、今の君達は疲れきっている。
連絡に来た兵士も余程急いでいたんだろうね、倒れてしまってる。
この状態から休みもなしに急ぎ戻っても奴等の餌食になるだけだ。先ずは休むんだ。」
「ですがっ・・・分かりました。
兵達にも休むように伝えます。」
「うん、それでいい。
急ぐことは重要だが、体を休めることも大切だ。」
焦りからか理解はしたが、納得しきれていない王子はこの場を去り、兵達の元へ向かった。
本人は大丈夫なのかもしれないが、兵は別だ。
数日間連続で戦闘していたのだから一度休みは必要だろう。
今出ていっても、王都までもたないかもしれない。
しかし、何か方法でもあるのだろうか?
「おや、気になるかい?
幾つか手段があるんだが、今回は陸路で行こうかと思ってね。
あいつ等も今回はサボっていたし、働かせないと。
さあ、丈夫な馬車を探さないと。
楽しくなりそうだ!」
「はあ・・・良くわかりませんが、頑張ってくださいね。」
「ん?君も来るんだよ?
サブマスからは許可は貰ってるし、現地で特訓だ。」
「聞いてませんわ!?休みは無いんですの!?」
「うん、言ってないからね!特訓に関しては任されたいるから、その延長だよ?
それに、あいつ等の言っていた事も気になってね・・・」
「ベルンディッテですか?」
「あの男は、あんなしゃべり方だが結構狡猾でね。
昔はよくぶつかり合ったものさ。
さて、君の従兄君にも用事が出来たのでね、行ってくるよ。
君はまう休みなさい。」
頭をポンポンと叩かれアキラさんが御従兄様の方へ歩いていく。
何かあるようだが、話してはくれないみたいだ。
自分で考えろと言うらしい。
嫌な予感しかしないから考えたくないんだが・・・
明日には王都に向かう可能性が出てきたので休まねばならない。
冒険者たちは既に宴会を開始しているようだ。
私も混ぜてもらいに行ったら、食べ物とジュースだけ渡されて部屋に戻された。
解せぬ。
まあ、何よりも御風呂である。
この数日は体を拭くことしか出来なかったので、最優先事項だ!




