姫、敵を見送る
「少々話しすぎてしまったかな?」
「危うく本当の目的まで喋る勢いだったじゃねぇか!」
いや、あそこまで言われれば大体の予想はつく。
簡単な話だ、神様が殺されて、新しい神様が生まれるまで時間がかかりすぎるから、自分達で作ってしまおう、あわよくば自分が神の座に座ってしまおうと言うのだ・・・
狂っている。
「お前達の目的は大体理解した。
だが、何故こちらでやる必要がある?
ここはお前達の神の地域ではないだろう?」
「ハッ!テメェらが追い出したからだろうが!!
それと、今回はオレが復活したのが偶然この近くだったからだよ!
こっちで復活したお陰で誰も邪魔する奴がいなくて予想以上にはかどったがよぉ。
こっちの奴等、危機管理がなってねぇんじゃねぇか?」
「む、ここ俺達の神の地ではなかったか。
貴様が居るから間違ってしまったではないか。」
こちらは20年前の戦争を知らず、黒化の脅威が出てきたのはここ数年のことだった。
無論、邪神教団への脅威も知らないし、警戒も無かったろう。
故にベルンディッテは一人この地で力をつけてこれたのだ。
そして、十分な力が手に入ったので今回の騒動を起こしたと・・・
「この地じゃ適合者が見つからなくてなぁ、苦労したぜ?
どうする?向こうから勇者でも呼んでくるか?
助けてぇ!勇者様ぁ!!って。
そうすりゃオレ達を倒せるかもしれないぜぇ?」
「此度は貴様の力を使い俺は復活したのでな、貴様の魔術は効きにくくなっておるぞ?」
「いいや、この土地で起こった事件はこの土地の者で片付けないといけませんのでね、わざわざ外の人間を喚ぶわけにはいけません。
なので、僕とこの町の人達でお前達を倒して見せます。」
「言ってくれるじゃねぇか!!
今回の目的は終わったが、次はこんなもんじゃねぇぜ?
それまでに精々鍛えておくんだな!!
挨拶はここまでだ、かえっぞゴライアス!」
「うむ、では皆の衆、催促でな。
入団の相談なら何時でも受け付けよう。」
「それとな、この地で動きだしたのはオレだけじゃねぇって事は教えといてやるよ。」
「何故そんな情報をくれるのです?」
疑問に思い、口を出してしまった。
「頼んできた奴が気に食わねぇからだよ。
俺達も色々居るんだよ。」
ベルンディッテの影が大きく広がり、二人が影に沈んでいく・・・
煽るように、沈みきるまで手を振っていた。
これからまだ何かが起こるらしい・・・
忙しい事だ・・・
「王子!ペイン王子はいらっしゃいますでしょうか!?」
町の中から急ぎ現れた兵士によって、新しい事件が始まるのであった。




