姫、勝負する
最後のモンスター達が迫り来る。
彼らも生きる為に逃げているので死に物狂いでこちらを目指してくる。
既に連日連夜の防衛で疲れが見えている人達には酷だが防ぎきってもらわなくてはならない。
早くも黒い巨体に戦闘を仕掛けようとしている集団だいる。
ペイン王子だ。
剣から槍に持ち換え兵士達と共に一気に突き刺すつもりのようだ。
御従兄様の部隊もそれに続いている。
王子達の攻撃が入った瞬間、巨体が大きく動いた。
黒い体を震わせ、身体中から槍のような刺が飛び出し、槍を突き刺した兵士達を串刺しにしていく。
幾人かは避けられたようだが、刺は先端から動きだし、追撃を仕掛けてくる。
刺に突き刺された者は、必死に引き抜こうとするが、抜けず、刺を通して内部から黒く変色していく。
黒化しているのだ。
兵達は、叫び声をあげながら逃げようとしているが顔以外は既に真っ黒に染まり、そのまま黒い巨体に飲み込まれてしまった。
更には巨体の足元から真っ黒な狼が体内から出てきた。
「怯むな!攻撃をするときは相手の肉体を良く観察するんだ!刺が出る瞬間に皮膚が歪む、避けられない速さではない、落ち着いて攻撃をするんだ!!」
「殿下!アレから出てきた狼ですが、全て黒化しています!今居る兵だけでは対処しきれません!」
「巨体だけかと思ったら、こんなものを出してくるとは・・・
黒い狼は俺が何とかする、お前たちはデカブツに攻撃をし続けるんだ、攻撃ではなく身を守る事を優先するように、刺されれば喰われかねん。」
「了解しました!」
「いけ!」
ウインダムの兵達が散開し攻撃を再開する。
攻撃の回数は少ないが、相手を観察しダメージを少なくする方法に出たようだ。
「さて、俺の相手は・・・」
「あの数を相手にするのは骨が折れましょう、私も御一緒させていただきますわ。」
「え、エリー!?なぜ君がここに!安全な場所まで下がっているんだ。
未来の妻に何かあったらどうするんだ!?」
「この状況下でそんなことが言えるのは流石ですわね・・・
私も、こう見えてあの国の血を引くもの、アレを相手にするの場合、相性が良いのです。」
「俺と相性が良いだなん・・・はい、真面目に答えます、斧を股間に当てないでクダサイ。」
「分かればよろしい。
およそ30匹、狼の黒化でしたら町の殲滅までする規模ですわね。」
「手っ取り早く、一人15匹でどちらが早く倒せるか競争はどうだい?勝った方が明日の朝食を奢ると言うのは。」
「よろしいですわ、更に食後のデザートも追加してくださいません?」
「勝つ気マンマンだな!」
「もちろんですわ、ではお先に!」
明日の朝食とデザートを貰う為にフライングをする。
なに、勝てば良いのだ。
黒く染まった狼に向かい、私は戦闘体制をとった。




