姫、肉を食べる
合流から三日目。
徐々にではあるが、モンスターの量が減り始めた。
やはり無限ではないようだ。
現場からは微々たる差異を見ることは出来ないが、指揮をとっているサブマスからの連絡であった。
その報告に皆はよろこび、希望を見いだしていた。
だが、私達は違った。
迫り来る脅威がゆっくりとやって来ているのが見えるのだ。
その事が分かっているのは、私と、御従兄様、サブマス、アキラさん、王子の五人だ。
私達は直感で、アキラさんははじめから分かっていたようで別途迎撃準備をしている。
分かっているなら最初から言って欲しかったが、逃げ出す兵や冒険者が出てくるし、数が減っていたら今この町は残っていなかったのだろう・・・
そういった選択も戦争には必要なのだと言われた。
理解はしているが、結局は皆を騙しているので納得はしなかった。
ならば、納得するために多くのモンスターを倒せと。
正しいだけでは生き残れない、神の力をつかうなら清濁合わせ飲む覚悟で使えと。
悔しいが、私が頑張っても大きな流れは変えられない。
そう考えることで無理矢理納得した。
王子は純粋に魔眼の力で、やって来る物を確認した。
大きくて黒い生き物が迫っている。
本人は人間サイズの敵を得意としているので大型は苦手のようだ。
黒くて大きい。
ピエールさんを思い出す。
アレがやって来るのだろうが?
ベルンディッテは失敗作と言っていた。
今から来るのは成功したものか?
ベルンディッテ本人も来るのか?
来たのならリベンジをしなくては・・・
それにしても、この三日間肉ばかり処理してきたから戦場での食事も豪華になってきた。
最初は野菜のスープと黒パンだったが、肉の処理が追い付いたのか、ローストした肉や煮込んだ肉、ハンバーグ等が出てさ来るようになった。
肉肉言ってるのは種類が分からないからだ・・・
かろうじて豚系、牛系、鳥系か確認出来るレベルで細かな種類は全く分からない。
たまに牛と鳥を混ぜたような肉もあったが、あれはなんだったのだろうか?トカゲかな?
後は臭みと後味で判断するしかない。
大方の雑食系は臭いのだ・・・
味は美味いと柏手を打ったり、口から光が出そうになるが、独特の臭みからかリヴァースしそうになったりする。
下処理は重要。
臭みが強いのは、熊、狸、狐、猪、鹿、羊とかだと思う。
初めて食べた時は、未知の臭みとエグみで意識を刈り取られそうになった。
前世の知識がヨーグルトに浸けろとか、血抜き処理したら縄で芝って川に沈めておけとか、本当に前世は何者なのだろうか・・・
あと、それらの処理は時間が必要なので野戦食としては諦めろ、カレー粉使え。
カレー粉は高価過ぎるんだよ・・・
スパイスをふんだんに使った串焼きや鍋物は結構な人気がある。
私も多分羊であろう牛のような食感の肉にスパイスをふんだんに使って臭さを誤魔化した串焼きにはまりそうどある。
この酷さがまた癖になる・・・
いつの間にか、休憩所や待機スペースの周りには露店が出来ていて、兵や冒険者相手に料理を振る舞っていたり、薬草などの回復アイテムを販売したりしている。
商魂たくましいことだ・・・
そんなこんなで、食に関しては結構な量が食べられるので兵士や冒険者の士気は高い。
端から見たら、ほとんど演習兼お祭り騒ぎだコレ。
出来れば、やって来るのが前回と同じ失敗作出会って欲しいのだが。
蛇が出るか鬼が出るか・・・
不謹慎ながら、私は少しワクワクしていた。
「おじ様、この串焼き二本追加してくださいまし。」
「お嬢ちゃんも好きだねぇ・・・」
前言撤回、癖になった。
年末進行で二日間も休んでしまいました
申し訳ないです




