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姫、王子に見とれる

私達の装備は既に持ってきてあったようで、すぐに準備が整った。

私は皮の鎧に劣化防止のために布を巻いていく。

買い換えていないので前回と同じものだ。

ただ、全部真っ黒に染まってしまっているのだ。

一部レースの端切れなども混じっているため、真っ黒なドレスに見えてしまう。

まて、この装備は誰が持ってきたのだろうか!?

これって不法進入なんじゃないですか!


継続的にモンスターが襲ってくるものの、強さとしては弱いと言われるものばかりだが、常に戦い続ける事は出来ない。

先程サブマスから言われたとおり幾つかのチームに別けて交代をしながらモンスター達を倒していく。

また、外へ狩りに行けないので食べれそうなモンスターは確保するようにしている。

町の反対側からはモンスターはやってこないので、今居る側の防衛に専念できるそうだ。


今はウインダムの兵の交代をしているようで、ストーカー王子が最前線に立ち交代が終わるまでの穴埋めをしている。

鮮やかな緑の鎧が目印なのだが、それ以上にその手に持つ淡く緑色に光る剣が彼の居場所を目立たせていた。

その動きは流れるように鮮やかで、淡い光が帯を引き演舞を見ているような感覚に陥ってしまう。

これ、剣を振る度に効果音が流れたら某星戦争の武器に見える・・・

不甲斐なくもストーカー王子がカッコよく見えてしまう。

私もその剣を振り回してみたい。

しかし、御従兄様がやりにくいと言っていた意味が良く分かる。

流れるような動きに翻弄されがちだが、常に攻めているのだ。

ガンバルティア王家の剣術では相性が悪い。

これは戦ってみたくなる。


「エリーちゃん?そろそろ私達の番だよ?

準備は出来てる?」

「ん?えっ、ええ、何時でもいけますわ!」


パティさんに呼ばれるまで時間に気が付かなかった。

王子の剣に飲まれてしまっていたようだ。


「王子、カッコいいよね。エリーちゃん求婚されたんだっけか?それは気になるよね?」


パティさんが妙な笑みを浮かべている。


「ええ、あまりに綺麗な剣捌きだったので、是非とも戦ってみたいと思っていましたわ。」

「エリーちゃん!?それ何か違うよ!女の子の思考じゃないよ!?」


女の子の思考が良くわからないのデスが?


「ほら、二人とも、時間ですので頼みますよ?

早く出ないとルークが飛び出してしまいます。」

「は、はい!」


サブマスから急かされて戦場へと足を踏み入れる。

それと同時に鐘が鳴らされる。

交代の合図らしい。


「交代担当ルーク!一番槍、行くぜ!!」


声を張り上げルークが飛び出した。

町最速の足で冒険者の中を駆け抜けて最前線へ。

素早く豚型のモンスターを仕留める。

即座に狙いを変え、他の冒険者達の退却を促していく。

私もこうしてはいられない。

そう思い、私は跳んだ。


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