姫、一人悩む
説明を聞いてから、私は町の端で兵士達の工作作業を遠目に見ていた。
かなりの人数が来ているようだが、ここからでは詳しい人数は分からない。
町全体を囲うように三重の堀を作っているのだろうか?
規則的に兵士達が堀続けている。
方や簡易的な休憩所を作ったり、私達の持ってきた木を加工しているグループも見える。
二つの国の兵士が共同で作業をしているのだが、動きはしっかりとしていて、各自役割をこなしているようだ。兵士の練度と指揮官が優秀なのだろう。
喧嘩になりそうないざござも起こりはするが、すぐに解決している。
御従兄様は当然だが、あの王子もリーダーとして有終なようだ。
私は御従兄様に言われた神の力の暴走を思い出していた。
実際のところ、私の身体強化の秘密は理解できたが新しい問題が出てきた。
力に呑まれ、暴走してしまうこと。
今は戦闘が終われば何時もの私に戻っているが、戦闘中の私は軽いと言うレベルではなく、強い狂化の影響を受けてしまっている。
力の事を聞くまで意識すらしていなかった。
もしかすると、既に力に呑まれ始めているのではないのか?
そんな考えが私の心を駆け巡る。
正直怖いと思っている。
先日、直接手を下していないが、ヘンリーさんを殺した。
狂化してても嫌な感覚だったのは覚えているし、悲しかった。
力に呑まれてしまったらどうなるのだろうか?
狂戦士のように周りの人々を襲ってしまうのだろうか?知り合いを、友人を、かぞくを襲ってしまうのではないだろうか?
別に一度死のうとしているので死ぬのは怖くない。
だが、自ら命を断ってくれと頼んだ人達の気持ちは痛いほどの理解できた。
大分、自由を手に入れる事が出来た私は、これからどうすれば良いのだろうか・・・




