姫、これまでの経緯を説明する
正気に戻った御従兄様に連れられて、応接室へと連れていかれた。
分かっていたことではあるが、私の現状説明である。
何故生きていたのかは分からないが、目が覚めてからの経緯を簡単に説明した。
細かい補足はサブマスがやってくれている。
「そうか、あの時の落石はお前の仕業だったのか・・・」
「いえ、あれは偶然ですのよ?たまたま崩れやすくなっていた岩が、偶然私が寄りかかったら転がっただけでして!?」
「特に怪我人は出てなかったからよかったが、そんなヘマは敵地に忍び込んだときにはしないようにな。
何が原因で見つかるか分かったものではないからな!」
「え、あ、はい。そっちの心配ですの?」
「それもあるが、何より、無事で生きていてくれて良かった。お祖父様や、お前の両親兄弟も知らせを聞いて喜んでいたよ。
連れて帰りたいが、国で死んでしまった事になっているが、少々ややこしい事になっていて連れて帰れないのが悔しいところだな。」
「御従兄様・・・心配・・・おかけしましたわ・・・」
御従兄様は優しく私のあたまを撫でてくれた。
柄にもなく涙が溢れてくる。
皆に心配をかけたこと、自分の事を報せられなかったこと、申し訳なさと、何処か安心感が合わさってしまい涙が止まらないのだ。
「もう大丈夫なようだな。」
「はい、お見苦しいところをお見せしましたわ。」
「そうですかね?私としては年相応の姿が見れて安心しましたよ?」
しばらく涙が止まらなかったので、せっかくなんで泣き続けた。
サブマスは一言多い。
「しっかし、初っぱなから黒化に遭遇して其を殲滅とは・・・なんの因果かねぇ・・・」
「何か問題があるのですか?」
「もしかして、お祖父様か殿下から王家の人間が受け継いでる力とか聞いている。ないのか?」
「いいえ?何かあるのでしょうか?」
そういった話は何一つ聞いたことがない。
サブマスの方を見ると、目を反らされた。
つまり、サブマスも王家の血が入っていいて能力はあるけど、私に黙っていたのか?
まあ、今回は見逃そう。
魔術が使えない私に一筋のひかりが現れたのだから!
特殊な能力!チートとか呼ばれる力の象徴!
神は私を捨ててなかったのですね!!
「お祖父様から説明していると思ったんだが、仕形がない、本来なら親から説明しなければいけないものなんだが説明しよう。」
「はい、お願いします!」
「お、気合いが入ったようだな!
まずは、俺達ガンバルティア王国の王家の人間に人間は、この大陸を三つに分けた神様の一人の子孫なんだ。」
「神様の子孫・・・」
「そうだ、色々と宗教にもなっているが、基本は人神、獣神、魔神の三柱になり、龍帝山脈を境にして三つの地域に分かれ、それぞれの神様を信仰している。
住む場所と人種と歴史によっては祈る神は違ってくるが、そこは信仰の授業じゃないから省く。
その中で、この地域は獣神の地域になるんだが、俺達には別の地域の神、人神の血が流れているんだ。」
それは初耳である。
そんな大層な血があるとは・・・
むしろ、神様って日との子孫残せたのかって言うことなのだが・・・
いや、前世の知識から神の子から生まれた人達の子孫が血を絶やさずに、現世まで繋いでいる奇跡のような存在が居るって叫んでいる。
なら、あり得るのかもしれない?
「信じられないかも知らないが、この髪が証拠になる。」
そう言うと、御従兄様の髪が銀色の淡い光を出し始めた。
光る剣と言っても常に光っているのではなく、イルミネーションのようにまばらに淡く光りが出ているのだ。
「人神は銀に輝く髪を持ち、剣をもって邪悪と戦い神へと登り詰めたと言われている。
その姿は誰もが引かれ、憧れ、崇めたそうだが、見たことかないし、この地域にはそういった伝承を書き写した本も石板もないんだかな。
なので、王家の人間は銀髪が生まれ、その髪は神の力が宿っていると言われているんだ。」




