姫、練習開始
午後になるとアキラさんの修行が始まったのだが、朝食に出てきただけのはずが、こんな町外れの森に来てしまっていたので、動ける服装ではなかった。
流石に普段着且つスカートでは運動をさせらるないと追い返されてしまった。
ここからギルドに戻るまでは結構な距離があるので前世の知識を堀探りながら帰ることにした。
探してみると、素手での格闘術や柔術、戦闘術が出るわ出るわ。
前世の私は一体何をしていたのだろうか?
この世界での格闘は基本的に殴る蹴るの打撃がメインだ。
間接技や投げなどはそこまで開発されていない。
なぜ?答えは簡単だった。
非人型を相手にそれらはあまり効果がないのだ。
なので、体の弱い部分を殴ると言う結論に至ったようだ。
魔力による身体強化があるため、その威力はかなりのものだが使用者が少ない。
そこまでの身体強化が出来るのなら魔術師のなった方が効率が良いのだ・・・
それ以外だと、獣人の一部が使用するが、その場合でも爪や特殊な武器を使用している。
トンファーなんかもあるみたいだが、見たことすらない。
この世界、格闘系ご不憫すぎる・・・
そんな知識を漁り、実践できそうなもの試しながら帰ることにした。
先ずは中国拳法と呼ばれるものから試していく。
歩法や足捌きを繰返し試していく。
端から見たらダンスの練習にしか見えないんだろうな・・・
町に着く頃には夕方になっていた。
夢中になっていたのだろう、足がクタクタになっていた。
早いところ部屋に戻ってギルドのお風呂に入ろう。
ああ、休みとは一体・・・
ギルドに戻るとそれは居た。
「やはり、ここに来ると思っていたよ!
さあ、今朝の答えを聞かせてくれないかい?」
「おことわり・・・」
彼の胸に両手を優しく置く。
「致し・・・」
足を踏み込む様に前から後ろへと力を与えられ送り込むように重心移動。
「ますわ!!」
「ぬわぁぁぁぁぁ・・・」
そこから生まれる力を腕から相手の体へと一気に押し込む!
簡易的だが双纒手と呼ばれる技らしい。
相手の防御を解除する動作もあるのだが、そこは割愛している。
胸に手を当てられて油断したのか、思いの外綺麗に入ってくれた。
反対側の壁にぶつかり見事に気絶している。
回りの人達も苦笑いをしているが、気にすることではない。
しつこい男は嫌われるのだ。
そうして私はお風呂へと向かうのであった。




